空賊の用心棒と時計
チク、タク、チク、タク
━━と時計の針が動く音がある場所で響く。
その音は時計と同じリズムで動いている、様にも聞こえるがよく耳を済ませると少し違う。
チック……タク、チック……タクという不思議な音を立てながら巻き戻しの時計が部屋の中で外で起きている事など梅雨知らずただただ鳴るばかりだった。
〜〜〜
先程飛ばした空賊達の首や腕が逆再生で元に戻っていく。
いくらちぎっても切っても消し飛ばしても空賊は関係無く体が逆再生しながら回復する。
それはまるでいくら抗おうとも決して覚めない悪夢のようだった。
「何をしても再生しやがる……何か手はないのか?!」
「マスター、あっちのほうがくからおかしなまりょくはんのう」
「でかした!!アス、ここは俺達が何とかするからアスはアイツらの切り札を壊して来てやれ」
俺の指示にアスはひとつ頷いて「あいつらにぜつぼうをあげる」と言うと魔力反応のするという場所へ走って行く。
しかし、それを大人しく見ている空賊ではなくアスの目の前に立ちはだかる。
だがアスが行くのを許さないように俺もアスを邪魔をするのを許さない。
立ちはだかった空賊の四肢が閃光と共に吹き飛ぶ。
「アス、頼んだ」
「うん、まかされた」
「━━汝に風の加護を与える」
「ありがと、マスター」
さて、この空賊はどう処理したもんかね。
〜〜〜
不味い、さっきの小娘が向かった方角はあれのある場所だ。
もしあの小娘が本当にあれの魔力を感知できるというなら見つかるのは時間の問題、そしてあれが壊れたらここにいる野郎ども諸共即刻殺される。
「くそ、イカズチ!!あの小娘を止めろ!!」
「御意」
イカズチという呼び名の用心棒を呼び小娘の妨害を命令すると目の前にいる特に特徴のない男と対峙する。
「はっはあ!!あいつに追われたら最後綺麗な死体になって帰ってくるだろうな!!その身体で俺達を楽しませてもらうとするか!!」
「流石お頭容赦ねーな!!」
「ケハハハ!!楽しみだな!!」
瞬間、骨の髄まで凍るような寒気と共に気を失うような恐怖を覚えた。
「てめえら、そんなことを言ってるくらいだ覚悟があるんだろうな?」
男は何処から出したのか何か液体の入った瓶を出すとその中にナイフを入れ━━
━━次の瞬間には自分を含む全ての船員が首、股関節、心臓のどれかにナイフの傷が出来ていた。
「馬鹿だな!!そんなもので俺たちは殺せないぞ!!」
「殺す気は無いさ、知ってるか?ある一人の不死身の力を持った英雄は毒の矢を受けて死ぬ事が出来ず長い間苦しんだ結果教え子に不死身の力を渡し死んだんだぜ?お前らみたいなヤツらにこれが耐えれるかな?」
それを言う男の口は三日月のように吊り上がっておりまるで悪魔の様だった。




