い、痛くないですし?!
「ル、ルア……」
「痛くない!全然痛くないよ!!ちょっと口を滑らせてイガラシにナイフ突き立てられたからって全然痛くないからね!!」
俺は少し心配そうにしているファルにそう言うと競歩の選手が目を点にして驚くような速度の早歩きで建物内を歩く。
その時後ろから「あれ絶対痛いやつだメェ」「マスター絶対強がってる」などと聞こえてきた気もしなくもないが幻聴だろうと切り捨てる。
「こんな事ならルスでも連れてくるべきだったな」
「まさかこんな事になるとはね」
「いや、こんな風に何かに巻き込まれるだろうとは思ってた」
「えぇぇーそれなのに来たの?」
ファルは俺の返事にムスッとした顔で答えると俺との距離を徐々に縮めていく。
「どうした?甘えたくなったのか?」
「違うよ、分かってるくせに」
「えぇ、もちろんですとも。こういうこったろ?」
俺はふざけた笑いを浮かべながら次空間からナイフを射出する、勢いよく飛んでいったナイフは俺のベクトルを変える魔法で不自然に曲がり角で待っていたであろう何かにザシュッという音を立てて刺さる。
その少し後に男共の悲鳴が聞こえ俺は口元を緩ませながらその角を曲がる。
するとそこには眉間にナイフを突き立て大の字になっている男がいた。
おっおっおっ、綺麗に眉間に入ってらぁ………ん?こいつほかのと少し外見が違うな。
「「キャ」」
キャ?
「「キャプテーーーーーン!!」」
キャプテーン?!
周りの空賊共が涙目になり、俺が目を見開き驚いていると突然キャプテンと呼ばれている男の体がピクリと動く。
「ふ、ふふふ…………フアァッハッハッハ!!んだこりゃあよぅ!ナイフが眉間にぶっ刺さっちまってらあ!!」
「いやいやいや、笑い事じゃないから!!なんでそれで生き残ってんだよ?!」
「あぁ?誰だァ?おめえ」
思わず声を出してしまい空賊共に気付かれた。
「それよりもその眉間のナイフどうにかせんかい!!」
「あぁ、んなもん痛くも痒くも気持ち良くもねぇ」
冷静に考えてこいつは人間では無いな。
アンデッドかゴーストあたりが妥当だろう。いや、眉間に刺さり続けているところからするにアンデッドか、ゴーストは肉体を持たないはず。
結局は本で読んだ程度の知識しかないが。
「ルアン、どうした、の…………嫌あぁぁぁ?!」
「フフゥ面白い反応をしてくれるお嬢ちゃんだ事!!」
「おい、ファルに手を出したら楽に死ねると思うなよ?」
「おお、怖い怖い。だがまぁおらぁ元から死んでアンデッドになってんだがな!!」
自分から答え合わせしてくれるとこ、嫌いじゃない。
っと、そんなくだらないことを考えてる場合じゃないな。
「ちょっとこのお馬鹿どもの行いを止めてくれはしないか?」
俺のその言葉に船長はニヤッと笑うと
「やめてくれませんかでやめたら空賊失格だなぁ!!」
船長はそう言うと腰のサーベルを抜き構え不敵な笑み━━
「そういう事は頭を潰してから言うこったな!!」




