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反英雄と呼ばれた男

俺は意識を失った後、いつもの白く殺風景な部屋に立っていた。


非日常という名の日常の今を生きている俺にとってこの程度のことではもう驚くことはなくなった。


「今回は誰だ?シファーか?ベルか?それともアテナか?」


俺はこの部屋にいるであろう誰かに大声で呼びかけるが返事も何も無いのを確認すると適当に寝転がって天井を見上げる。


「知らない天井だ、ってね」


そんなふうにふざけていると床よりもっともっと深い何処かからルアン、と呼ぶ声が聞こえてくる。


「誰だ?」

『初めましてルアン、僕の名前もルアンだよ』

「初代ルアンさんこんにちは」

『初代って…………いや、そんな話をしに来たわけじゃないんだ』


先程までのゆるんとした優しいお兄さんから世界を旅してきた強者の雰囲気へと変わる。


『ルアン、君はそう遠くないうちに僕の影の部分と僕と一緒にいた方のファフニールと戦うことになるよ』

「何故ですか?」

『堅苦しくしないでいいよ。それと、その事だったね。まず僕の影の部分だけど、それは僕がファフニールと行動しているうちに溜まっていってしまった負の感情の塊。それが僕が死んでしまって解き放たれたんだ』


恐らくそれは俺が図書館に行った時に聞こえてきたあの声の事だろう。


「それで、ファフニールと戦うって言うのは」

『ファフニールに関してはまだ先の話になりそうなんだけど、僕はファフニールのやっている事がいい事ではないと反英雄と呼ばれた頃にやっと気づいたんだ。それで僕はファフニールを封印した、でもその封印があと数年のうちに解けそうなんだ』

「それでファフニールとルアンの影の部分と戦うことになるだろう、と」


つまり、俺はそれまでにそいつらよりも強くなってないと死ぬぞ、って事だよな。


『なんかごめんね?僕が不甲斐ないばかりに』

「い、いやいや、そんなことは無いでしょう。最後にファフニールを封印してくれてなかったら今頃どうなっていたのか分からないんだ、だから不甲斐ないなんて事絶対に無い」


俺がそう言うとルアンはそう言ってくれると嬉しいなぁ、と言い残しどんどん存在が薄れていっていく。


「またここで会えるか?」

『君が望むなら頑張ってみるよ』

「ありがとう、また会える日を楽しみにしてるよ」

『僕もさ………………』


ルアンはその言葉を最後にこの(空間)から消え去った。



「さて、対ルアン、ファフニール戦に向けてこんなところで寝てる場合じゃないな!!」



〜〜〜



「マスターおきてー…………あのジンギスカン本当に解除したのかな?あれ起こしてマスターを本当に起こしてもらおうかな」

「ん、んん」

「マスターおめざめ!!」

「なんか今一瞬アスが恐ろしい事言ってる夢を見た」


その一言に肩をビクッと震わすアスだがルアンが起きた事に深く安堵している様子だった。


「ところでその球体なんだ?」

「ジンギスカ…………いや、なんでもない」

「何だよそれめっちゃ気になるじゃないかよ」


俺はアスに問いかけるがアスは何かを誤魔化そうとして抱き着いてくる。


まぁ別に無理してまで聞く事じゃないか、言いたくなさそうだし。


「マスター、しんぱいだった」

「ごめんな、これからは心配かけさせないように頑張るよ」


でも、アイツら相手に心配させないなんて出来ないし俺より強いやつなんて大量にいるんだろうなぁ…………


「マスターはひとりじゃないんだからちゃんとたよって、ね?」

「じゃあ遠慮なく頼らせてもらおうかな」

「あいあいさー」



そんな会話をしながら互いに笑い合うがアスのそれはゴーレムという無機質なものよりも普通の女の子のものに限りなく近かった。

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