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大地の鉄槌

張り詰めた空気の中、二人は互いに攻められずにいた。


メェ、まずあの跳弾を何とかしないとこっちが一方的に攻められるだけ、かと言って全方位に魔力障壁なんて張っていたら魔力が先に切れる。

ここは無理にでも攻めてあのクロスボウを剥ぎ取るしかないメェ。


シー・プゥはその考えに至ったその瞬間、予備動作なしでアスの目の前まで跳躍する。

その勢いのままアスの手に持っていたクロスボウを蹴りで真っ二つにし、続けてアスの顔に回し切りが入り5メートルほど吹き飛ぶ。


「これで跳弾は使えないはず……メェ」


シー・プゥは一番厄介なクロスボウによる跳弾を防いだ代わりにもっと厄介なものを引き出してしまった。


「あ、あぁ、あぁぁ……マスターがくれた物、壊した……絶対、許さない」


その瞬間シー・プゥは背中に伝う冷たい感覚を覚えた。


不味い、何かが来る。


「ま、魔力障壁!!」


シー・プゥが魔力障壁を発動したのと同時にアスの体格からは考えられない程の恐ろしい威力と速度を持つダガーがシー・プゥ目掛けて飛ばされた。


一秒も無いうちに障壁とダガーが激しくぶつかり合い、火花を散らす。


「ん、ぐううぅぅ」


シー・プゥの持てる力を全て使いようやくダガーを抑え均衡を保つていられた、が


その均衡はアスによって破られる事となる、その光景を見てアスはダガーだけでは破れないと悟り粘土の弾丸(クレイバレッタ)を発動させダガーの柄に正確に当てる。


すると均衡はあっさりと敗れシー・プゥの胸にダガーが突き立てられる。


「カハッ……」


これは、あれを使わないと殺されるメェ………………あれ、醜いから使いたくなかったんだメェ。


「マスターからの贈り物を壊すからこうなるの」


シー・プゥにダガーが命中したことを確認するとアスは鼻をフンスと鳴らすと腰に両手を当て胸を張るがシー・プゥの様子がおかしいことからすぐに警戒態勢をとる。


「メ、メヘヘヘッ互いに互いの逆鱗に触れ合ったって事メェ」


━━『霊獣化』━━


シー・プゥがそう言うとシー・プゥの体がみるみるうちに肥大化していき、その姿を大きな羊のものへ変えていく。


シー・プゥの変化が止まる頃には14〜5メートルはある大きな羊へとなっていた。


「もうこうなったらおメェを潰してその後ルアンなり仲間なりをグッチョグチョのミンチになるまで踏み潰してやるメェ!!」

「そんなこと私がさせる訳ない」


アスは粘土の弾丸(クレイバレッタ)を複数回発動させ床に壁や天井、そこらに置いてある装飾品を使って跳弾で四方八方からシー・プゥに撃ち続ける。


しかし、弾丸はシー・プゥを傷付けることなく毛の中に埋もれるだけだった。


「メェ、無駄なの無駄なの無駄なの!!この羊毛の鎧にはそんな物一切通さない!!」


どこかネジの外れたシー・プゥは楽しそうに言いながらアスめがけて何度も何度も前足を振り下ろす。


それをアスは寸でのところで全て躱す、それに頭にきたシー・プゥは両前足を上げ体ごとアスへ叩き付ける。


だがそれはアスが最も望んでいた結果だった。


「かかった、『大地の鉄槌(ガイアナックル)』!!」

「しまっ」


━━ドゴン


体をあげ身動きのできない状態のシー・プゥを轟音とともに巨大な鉄槌が顎に吸い込まれ、激しい目眩と脳震盪が襲う。


「まだまだ終わらないよ」


アスのその言葉と共に天井や床から無数の拳がシー・プゥを殴りつけ、数秒後にはシー・プゥは球体になった壁や天井に顔以外を押し固められていた。


「マスター達を起こしてね?」

「ぐっ、わかった……」


シー・プゥが観念して何かを唱えると眩い光がルアン達に降り注ぐ。


「…………後は勝手に起きてくるはずメェ、せめて命だ━━」

「そう、じゃあおやすみ」


その言葉を最後にシー・プゥの意識は途絶えた



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