アウルとルアン
部屋の中で暇していると、遠くから悲鳴や誰かの奇声が響いてくる。
「おい、今外では何が起きているのだ」
『解 オコタエデキマセン』
「言え」
『デキマセン』
我輩の質問にその機械的な声でできませんとだけ答える。
「ほぅ?貴様は我輩がここから出ることが出来ないとでも?」
『解 デキマセン』
その言葉がトリガーとなり、アウルの纏う魔力が暴風のように殺風景な狭い部屋を暴れ狂う。
「貴様は我輩を舐めすぎだ!!」
『荒れ狂う獄炎』
次の瞬間、アウルを中心に一つの炎の渦が部屋の壁へ向け一直線に突っ込んで行き━━
━━ゴウ!!
轟音が部屋中に響き渡り獄炎が部屋の全てを燃やす。
しかし、その獄炎は壁を貫く事が出来ず魔力は空気中へと霧のように消え去っていく。
「チッ、この魔法すら防ぐか!!ならばこれならどうだ!!」
『獄炎の双龍』
今度は二つの焔の龍が先程の炎の渦の焼いた場所に突っ込んでいく。
しかし、それでも壁は壊れること無くただ黒く焦げるだけであった。
「む、むぅ……魔法対策がしてあるのか」
『解 アナタガダッソウスルコトヲカンガエマホウショウヘキヲハッテオキマシタ』
やはりか、それなら今までの我輩なら出れなかったのだ。
「ならこれならどうなのだ!!」
勢い良く大声で叫びながら自空間魔法を発動させる。
が━━
━━カラン
「む………」
自空間から飛び出したナイフは力無く地面へ落ちる。
あ、あれ?おかしいのだ、ルアンはこれで閃光のような速度でナイフが出ていったはずなのだ?!
そうアウルが困惑していると
━━ドゴッ
その音と共に壁が砕け散る。
「アウル!!久しぶりだな!!」
「ルアン!!」
砕け散った壁と壁の砕け散る音と共に最愛の友達が助けに入ってきてくれた。
「ルアン、どうしてここがわかったのだ?!」
「主人公補正ってやつだろうな!!」
ルアンは我輩の質問によく分からない答えをするが、だがそんな事どうでもいい姫の事を王子が助けに来てくれたことが何よりも嬉しかったからだ。
「ルアン!寂しかったのだ!!」
「アウル、俺は少しの間君の事を忘れていたごめんな。だけどこれからは忘れることは無い、これからはみんなで一緒にいよう」
ルアンの言葉に我輩の口は無意識のうちにムニムニと動く、その動きを無理矢理止め口を開くと
「待ってたのだ王子様」




