エマージェンシー天空都市
あれから買い物や観光、それと魔法の勉強をしているとあっという間に天空都市が上空を通過する日がやって来た。
「点呼するぞファル」
「はい」
「アス」
「はーい」
「フィル」
「あいっす!」
「メア」
「は……はい」
「イガラシ」
「いないでーす」
「どう見てもいるだろ」
「あ、バレた?」
「はぁ、バレルもなんもないだろ。次、ケト…………あれ?ケト?」
返事がない、ただの寝坊のようだ。
という事でケトを起こし全員揃ったことを確認すると俺達は街から離れた所でドラゴンの姿へと変わる。
ねぼすけさんは俺がおんぶしてここまで移動して来た。
『よーし、みんなそれぞれに乗ってくれ』
俺がそう言った瞬間ケトが小さな声で兄ぃ、と寝ぼけながら呟いて俺の上に乗った。
後はフィルにメア、ファルにイガラシ、追加で俺にアスが乗っている。
『ケト、寝ぼけて落ちたらシャレにならないから気を付けてくれよ?』
「あい、兄ぃ」
寝ぼけているがいつもここまで素直だと可愛いのにな。
『さて、飛ぶぞ』
俺の号令と共にファルとフィルが羽ばたき宙に舞う、俺も空へ飛ぼうと大きく羽ばたくと瞬く間に空へ空へと上がっていく。
それは人の状態で羽ばたく数十倍であり、街の壁などとうにこしてしまった。
『おいケト、アス大丈夫か?!』
「ん、だいじょうぶ」
「兄ぃ、苦しい」
『ご、ごめん!』
ケトの事を考え翼を広げて空気抵抗を増やし上がる速度を落としていく。
『ルアンはまだまだだね!』
『ご主人はまだまだですね!』
ぐぬぅ、こればっかりは口答えできん。
しかし、飛びすぎた結果眼前には天空都市が現れていた。
『おお、これが天空都市ってやつか』
でも、何か様子がおかしい気がするぞ?
天空都市を良く見るとところどころから煙が上がり、怒号が聞こえてくる。
更には骸骨の描かれた旗がついた船が天空都市に停泊していた。
俺の悪い予感はほんとに当たるな!!
『全員、戦闘用意をしとけ!すぐ戦闘になるかもしれないぞ!!』
「『了解』」
三週間も休みが取れたんだ、久々の急展開でもなんでも来やがれってんだ!!
心の中でそう叫ぶと俺達は速度を上げ天空都市へと向かって行く。




