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夜空の下

あれがルアンか、話通り特に特徴の無い男だったな。


「シー・プーゥ、あっちに連絡しておけ反英雄の名を語る不届き者をこれから抹殺しに行くと」

「はぁい、ところで連絡は大事魔将十柱のどなたにしますか?」

「普通に()()()()本部に連絡しろ、」

「了解ですぅ」


チッ、こいつと話していると気が抜けるな、これだから催眠魔法の()()は嫌なんだ。


「あぁ、本部は何故こんな奴と行動しろと言ったのかわからん」


男はそう言うと仮面を付けシー・プゥと呼ばれる一柱と共に人混みの中へ消えていった。



〜〜〜



夜、夕飯を食べ終え何もすることの無い俺は星達が瞬く空を見上げ物思いにふけていた。


しかし、あの時の火………何故空気が無くても燃え続けていたのだろうか。

もしかしてこの世界では酸素以外の可燃性の気体があるのか?

こりゃあ前の世界の知識だけに頼ってると痛い目を見るな。


「よし、この事について考えるのはやめだ。俺一人が悩んだ所で特に何も進展はないだろうしな」

「ルアンどうかしたの?」


俺が呟いていると後ろからファルが急に現れ質問してくる。


「お、いたのかファル」

「うん、別にどこにいてもやることないからね」

「だよな」

「だよね」


その時ファルと目が合い、二人で顔を見ながら笑い合う。


「ルアン」

「なんだ?」

「ありがとう、こんな私にここまでしてくれて」

「なんだよ………恥ずかしいじゃないか」


ファルからの唐突な感謝の言葉に俺は頬を掻き照れ隠しをするときちんとファルの目を見て


「ファルはこの世界に来て一番最初に会った友達で一番大切に思ってるんだからそんな事当たり前じゃないか」


と真剣にファルに言う。


「ふ、ふふふ………こういうのって言われた方も恥ずかしいね」


ファルはそう返すと顔に両手を当て真っ赤になった顔を隠してそっぽを向いてしまった。


その後二人の間に静寂が訪れる。


あぁどうしようか、これは何か話しを持ち出した方がいいよな。

いや、でもファルから何かあるかもしれないし………いや、ここは俺が言った方が………。


ああもう!!


『『何か話しかけなくっちゃ!!』』

「「え?」」


その時俺の思考とファルの思考が念話によって互いに知れ渡った。


「ぷっ、なんだよ何か話しかけなくっちゃって」

「ル、ルアンこそ同じ事考えてたじゃん!!」

「あぁ、この世界に来て…ファルに会えて良かったよ」

「私もルアンに会えて良かった」


こうして二人は笑い合い、夜がふけていくのであった。

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