兄ぃ♪
シファーから天空都市の話を聞いてた後、俺はみんなを集めて会議のようなものを始めていた。
「んで、その天空都市とか言う所にこれから行くってんですね?」
「あぁそうだ、だがそこに関しては数人で行こうと思っている。何故なら空を飛べるのは俺、ファル、フィルくらいしかいないからな」
この三人なら普通にみんなを乗せて街から街まで飛ぶことは出来るだろう。
しかしこれから行くところは天空都市、上へ上へと上らなければならないのだ。
そんな中何人も乗せて飛ぶことはさすがに無理がある、それ故に少数で行かなければならないのだ。
でもこういうのって絶対向かった先で何か問題が起きるんだよなぁ………。
テンプレだから仕方ない、主人公が先読みするんじゃないという幻聴が聞こえてきた気がするがそこはお得意のスルースキルを使っていく。
「な、なら私は行かねぇですみやがるですね」
「何言ってんの?行くに決まってるじゃん」
その言葉を聞いた瞬間ケトは涙目になりながらこちらをじっと見てくる。
「後はアスにメアとイガラシ計七人で行くぞ」
「おいおい、俺も天空都市とやらに行ってみたいんだが」
「これ以上乗せると天空都市につけない可能性があるから却下で」
アガナにサラッと却下を下すと会議を終了させ、後各自自由行動をとる事になった。
さて、これから三週間何をして過ごすか。
今思えばろくな観光もしてないし異世界のご飯もあまり食べてなかった。
俺って異世界ライフをここまで満喫してないんだよな………
「に、兄ぃ」
そう考えていると後ろから腕をちょいちょいとケトが引っ張っていることに気づいた。
「どうした?」
「た、高い所嫌」
「うぐ、そうだよな、そうだったよな。ごめんな、代わりにほかの人と変えるか」
しかし、ケトは俺のその言葉にふるふると首を横に振る。
「でも行く、折角選んでくれたんだし」
「無理なら無理って言えよ?」
「うん、それと兄ぃに乗せて欲しいの」
ケトさん、顔を赤くして言ったら行けない事言ってるみたいだよ………。
「ああもう分かったよ、ケトが言うならそうするよ」
俺が頭を掻きながら答えるとケトは嬉しそうに頬を緩めて腕に抱き着いてくる。
「ケト、あんまり男にそういうことしちゃダメだぞ?」
「兄ぃになら良いでしょう」
うーん、あの時だけって言ったはずなんだがなぁ………。
ケトの嬉しそうな顔を見るとそんな事を言うのが馬鹿らしく思えてくる。
しゃーない、もう少しだけケトのお兄さんでいてやるか。




