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ちょっとしたお決まり

ファルはオレの首を噛んだ後に至近距離でジト目で見てくる。


「で、ルアンはシファーに何をしようとしたの?」

「アスにいつもやってる頭グリグリ」

「マスターよんだ?」


ドアの前にスタンバっていたのだろうか、俺がアスの名前を出した瞬間にドアを勢い良く開け無機質ながらもキラキラとした瞳をこちらへ向けてくる。


「呼んでないわ!」

「そんなこといってーほんとうはきてほしかったんでしょー?」


よく見るとファルもアスも少し顔が赤くないか?


「お、おい。まさかさっき酒とか飲まされてないよな?」

「なんのこと?」

「ルアンさん、二人ともさっきアガナさんに何か勧められてましたよ?」


アイツ許さん


「ルアンさんこの二人が暴れる前に寝かし付けましょう」

「そうだな、この二人が暴れたら宿屋がどうなる事やら」


俺がそう答えるとシファーが口元を少し吊り上げ


「ファルさんアスさん、今日はルアンさんが一緒に寝てもいいって言ってますよ?」


それを聞いた瞬間二人は弾かれたようにこちらへやって来る。


「シファー、貴様謀ったな!?」

「ふふ、何のことでしょうね?」


まあ酔って暴れられるよりましなのか………



〜〜〜



翌朝、目が覚めるとシファーの姿は無く両脇にはスヤスヤと眠る天使のような二人がいた。


寝顔を見て改めて思うがこの二人はかなりの美少女なんだよな。


「むふふぅ、お肉ぅ……ムニムニ…」

「マスター………ふふっ」


こいつらどんな夢を見てるんだろ。


━ガチャッ


この世界ではノックをするという常識がないのだろうか。


「うわっ、一応お前の事は信じていやがってやったのにここまでの変態だとは思いもよらなかったです」

「おう、誤解だ。俺は嵌められたんだ」

「問答無用だってんで「ルアン~!!」


ナイフを構えたケトの後ろからネスが突っ込んできた。

その唐突で殺意のない押し出しは容易にケトの体をよろめかせそのまま俺の上へ倒れて来る。


それと同時に顔の横スレスレをナイフが通る。


「うぉぅ?!あっぶねぇ!!」

「あ、あれ?どういう状況?」


ケトを飛ばした張本人は困惑して尻尾と耳をピクつかせている

が次の瞬間ネスは走り出し俺の上へダイブをする。


それを察知したケトは少し横にずれネスを躱す。


「ごフッ!」

「取り敢えず混ざっとけばいいよね!」


どうしてそうなった。


「ち、ちょっと疲れていたところです、だから暫くこのままでいてやるです」


ケトもここでデレなくていいからぁ……。


この状況男として幸せなんだが流石に精神がゴリゴリと削れる。


「はぁ、もう諦めよ」


そうして俺は抗うことをやめた。

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