祭りと女神
あの後オル・グラドは精神体という物になってどこかへ飛んで行った。
彼曰く精神体とは目に見えぬいわゆる透明化に近いものだと言う。
それと『我のような大きくて威厳のある竜がそこらを飛んでいたら人間達もビビってしまうだろう?』との事だった。
なんかすごくムカつくけどその通りなんだよな、威厳はあるかどうか知らないけどあんなもんが空を飛び回ってたら落ち着けはしないよな。
「ルアン?ボケっとしてないで行くよ?」
「お、おう」
不意に視界の下から現れたファルに驚き後ずさりしながら返事を返す。
「ねぇ、ルアン街に着くまで手繋いでくれない?」
「い、いいけどいきなりどうしたんだ?」
「何となくだよ」
ファルは俺の手を握るとニッと笑いそう言った。
その後は何事もなくただ二人手を繋ぎ街へ帰っただけであった。
〜〜〜
街に戻ると先に戻ったニーシャ達がオル・グラド討伐者達として祭りごとのようなものに巻き込まれていた。
「ルアン、楽しそうなことがやってるよ?」
「お、俺は勘弁願いたいな……」
「行こっか!」
「デスヨネー」
面倒だな…『欺く気配』
俺は欺く気配を使いローブを目元まで被り祭りごとの中を歩いていく。
流石にこれでバレて騒がれる事もn━━
「おい、こっち来いよルアン!」
「一応主役はあなたですよ?」
「さっさと来やがってください!」
「あっはは、ルアン、お気の毒さま」
━━無いと思った時期がありましたよチックショウなんであいつらにはわかんだよ!!
………しまったファルと手を繋ぐようなやつ俺だけか!!
案の定前へ連れてこられ奉り上げられメンタルブレイク寸前まで陥った。
途中アスやらシファーやらが乱入してきてもうそれは騒がしいことこの上ない物になっていた。
こういうのは苦手だって言ってんだろぉ……。
だがまぁみんなと騒ぐのは悪く無かったが。
〜〜〜
その晩宿屋の部屋へ行くとそこにはアテナが椅子に座って待っていた。
「あらあらこんなところに神様がなんのようで?」
「貴方は何者なんですか?」
何者、と聞かれてもねぇ?
「ただの存在感の薄い一般人だよ」
「これでもしらを切る気ですか?」
一瞬にして首筋に二振りの剣が当てられアテナがドスの効いた背筋の子をるような声で言う。
「はぁ」
ここで顔に出したら負けだ、平然を装って強気でいかねば。
「少なからず私は貴方に期待はしてましたがここまで来ると一般人では済まされない」
「へぇ?この世界ではこのくらいが一般だと思ってたんだが……しまった」
「この世界?まさか貴方は異世界人だとでも?」
次の瞬間シファーがレイピアで首に当てられていた二振りの剣を弾きアテナとの間に入る。
「さて、アテナ様?何の用でしょう、用がないならお帰り願えますか?」




