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悲しい知らせ

ある報告が俺の耳に嫌なほどこびり付いた。


それはオル・グラド討伐隊の全滅だ。

いや、それ自体なら俺はどうとも思わなかっただろう。

我れながら酷い人間だな、と思う。


しかし、その討伐隊に問題があった。


「おい、嘘だろ、嘘だって言ってくれよ…」


冒険者ギルドに置いてある討伐隊の遺品の中にゴオルのものと思われるグレートソードが置かれていた。


俺は忘れていたのかもしれない、この世界では命が簡単に潰えることを。

このように生き残れていることがどれ程幸せで幸運なのかを。


「ルアン…」

「…………」


ファルが側に来て声をかけてくれたが今の俺には返事を返すことすら出来なかった。


すると無言の俺にファルは包み込むようにして抱き着き、ゴオルさんのことは悲しいけどいつでも私はルアンの傍にいるからね。と彼女なりの励ましをしてくれる。


「ありがとなファル、これから俺は仇を討ちに行く。だからファルはま「一緒に行くよ」……はい?」

「だから、一緒に行く。オルグの事殴りに行く」

「ファル、何を言って「私だってドラゴンだよ?戦えるんだよ」………でもまだ体が完全に治ってないだろ」


それにファルをまたあんな目に遭わせたくない。


しかし、その言葉は口に出ることはなく心の中で静かに消え失せるだけだった。


「傷なんかルアンの方が多いんじゃないの?とにかく私は行くよ、グラドを止めてまた一緒に買い物したいもん」

「はぁ、それを持ち出されたらなんにも言えなくなるじゃないか……わかった、でも無茶だけはしないでくれよ?」


互いにニッと笑い合うとクエストボードにある緊急依頼オル・グラドの討伐もしくは撃退と書いてある紙を取りカウンターへと持って行く。


ゴオル、俺はあんたみたいに強くない。

俺より強いあんたがこんなザマなら俺は戦いにすらならないと思う。

でも俺は戦うよ、世界なんてちっぽけなものじゃなくて俺の失いたくないと思った大切な物を守るために。


「なぁ、受付さん。このグレートソード少し借りてもいいかい?」

「え?えぇっと………それってゴオルさんのものですよね」

「必ずオル・グラドを倒して返しに来ます。だから、お願いします。これでゴオルさんの仇を討ちたいんです」


その言葉に受付さんは暫くうんうんと唸ると


「わかりました、このクエストの間だけは持って行っていいです。ですが!きちんと返しに来てくださいね?」


俺はその言葉に力強く頷くとクエストカウンターを後にした。


「すみませーん!!待ってくださーい!!」


ギルドを後にすると後ろから知らない女性の声が聞こえてくる。


「あ、あの…ルアンさんですか?」

「あ、うん」

「私もオル・グラド討伐に参加させてください!」



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