正義ゆえの悪
あの後屋根をつたい図書館まで来た俺は魔神達の研究所についての情報を集めるために歴史や逸話の本がある場所をうろついていた。
「魔神、魔神、魔神、お?これは魔人の事か。なかなか魔神については無いな」
一人そう呟いているとふと、ある本に目が止まった。
[邪竜と人族を裏切った反英雄ルアン]
これはどういう事だ?何故この名前が書いてあるんだ。
俺はその本を手に取ると魔神そっちのけで読み始める。
昔昔ある所に一人の将来の英雄と謳われた若者がいた。
その若者には特殊な力があり全ての生き物と話が出来き若者はその力で困っている生き物全てを助け人からもほかの全ての生き物からも好かれていた。
その生き物の中には後に人と敵対する悪魔も竜も神の元についている者達も例外ではなかった。
しかし、それを傲慢な神が許すことはなく悪魔に付いた遣いを呼び出し邪竜を若者に接触させ若者を邪悪なものへと仕立て上げろと命令したのだ。
そしてその名を受けた遣いは竜族の里へ入り込み地下深くに封じられていた邪竜を若者を邪悪なものに変えることを条件に解放し若者の行方を教えると様子を伺い始めた。
邪竜は天を切り裂くほどの速度で飛びすぐさま若者の元へとたどり着き一つの願いを若者に言った。
『どうか自らの主に手向ける物を用意するのを手伝ってはくれまいか』と。
若者は手向けるものが何なのかも知らず断ることを知らぬまま了承し邪竜と共に世界を崩壊させる事となった。
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んだこの話、胸糞悪いな。
このルアンは全く悪くないのに悪者にされているのか、悪いのは全て邪竜に悪魔そして神だっていうのに。
『ソウダ、スベテアイツラガワルイ』
これじゃあこいつが何のために手助けしてきたかわからないじゃないか。
『ボクハミンナノエガオノタメニヤッテイタノニ』
俺が本を閉じるとその本は虚空へと消え、代わりに龍をかたどった短剣が手の上に乗っていた。
俺はその短剣を次空間へしまうと魔神達の情報を探し始める。




