黒い記憶
昼ごはんを食べるために店を探していると無邪気な笑い声が聞こえてくる。
「そういやアウルがいないな」
「アウル?誰ですかその人?」
「ん?あの子だよ、あの……………なんでだ?思い出せない……」
いや、正確には思い出させてくれないアウルとの事を思い出そうとするとその部分が黒く塗りつぶされたような感覚に陥る。
「ルアン、どうかしたの?」
その様子を見て心配になった服が顔を覗き込んで聞いてくるが俺は「大丈夫」と一言言うとまたアウルに関するものを脳内を片っ端から探り出す。
しばらく脳をフル回転させているとある一つの記憶だけもやがかかっていなかった。
それは互いの自己紹介の時だがやはり姿だけは黒く塗りつぶされている。
「我輩は獄炎を司る第482の魔神アウルなのだ!!」
と言う元気のいい自己紹介が脳内再生される。
「500の魔神……」
「500の魔神がどうかしましたか?」
「シファー、500の魔神について教えてくれ」
「わかりました。
━━まず500の魔神とは魔法や魔力を司る500の下級神の事を言います。
その神は様々で魔法の一つ一つに一人の神が付いている、とも言われています。
そう言えばその魔神の内の一人が下界に逃げたという話を聞いたような気もします」
多分それがアウルだな、つまりアウルは脱走がバレてほかの魔神がアウルに関わった俺らの記憶を消したって事か。
「他になにか情報はないのか?」
「うーん、ごめんなさいあの神達隠密スキルが高くて今の私にはこれ以上はわからないです」
「ありがとう、それが聞けただけでも十分だよ」
さて、図書館に行ってみるか。
俺の中では情報に困ったら図書館と決まっているのだ。
だがその前にイガラシに聞いてみるのも忘れないようにしなくては。




