掃除機魔法
アガナと共に闘技場のような空間から出ると俺はファルを探すためアジト内をうろつくことにした。
アジト内をうろついていると本が大量に置いてある部屋を見つけた。それは学校に付いている図書室のような部屋のようでありここには本を読むやつは俺ぐらいしかいないためその部屋は静かで少し埃をかぶっていた。
「掃除でもしてやるか」
小さい竜巻を起こしてゴミを吸い取ろう、イメージは吸引力の変わらない掃除機のあのシステムだ。
『プチトルネード』
そう唱えた次の瞬間拳二つ分位の大きさの竜巻が現れる。
ひとまずは成功、これを動かせれれば簡易的な掃除機ができるはず。
しかし、初めてやったのにそこまで上手くいくわけもなく━━
━━その竜巻はすぐさま掻き消えてしまう。
失敗か、まぁこのあたりは綺麗になったから良しとするか。
この調子で失敗を繰り返すこと十数回、やっとの事で動かせるようになったがそれは既に床の掃除が終わった時であった。
よし、動かせるようになった!けどもう終わってるんだよな……。
「さっさとファル探すか……」
「なぁに?」
「うおっ?!何時からそこに?!」
「何か風を起こしてる時から」
簡易的な掃除機練習してる時からか……
「何してたの?」
「ん?あぁ、掃除用の魔法の練習だよ」
「見せて!」
「そんな面白い事じゃないと思うんだけどな?」
「いいから見せて!」
ここまで目をキラキラさせて言われたら断れないな……。
「わかったよ、『プチトルネード』これでいいのか………?!」
「え?なんでやめたの?」
「ファル、明日一緒に買い物に行くか……」
「なにかはぐらかされたような気がするけどまぁいいよ」
もっと早く買い物に行っていればよかったな……下、何も履いてなかったのか……。
そうだよな、人の姿になってから俺が持っていた服を着せただけだもんな………ってことはあの状態で一緒に……。
途端に顔が赤く熱を持ちファルから目をそらし誤魔化すように先程買ってきた首飾りを渡す。
「これ、買ってきてくれたの?!」
「あ、あぁファルに似合うと思ってな」
「ありがとう!」
次の瞬間ファルが俺に抱きついてくる。
うぐっ、柔らかい感触が……いや、何も考えるな、ここは素直に受け取ろう。
この後絶対に買い物に行こうと誓った。




