竜の目覚め
ゴオルと共に冒険者ギルドへと戻ると不安そうな顔をした2人が出迎えてくれた。
「マスター、だいじょうぶ?」
「ルアン、傷だらけだぞ?!」
「少しやんちゃしてきただけだよ」
その様子を見てゴオルは頭を掻き回し
「あぁ…稽古だ稽古、こいつに稽古つけてたらこんなになっちまってな。怒んなら俺に怒ってくれ」
そのゴオルの言葉にアスはジト目で恨めしげに見つめイガラシはしょうがないかという雰囲気を出す。
「はいはい!もう過去は放置!アス、イガラシさっさと行くぞ」
この空気が嫌になった俺は二人の手を引きアガナの待つ場所へ歩いていく。
「たまにはあっちのギルドにも顔出してやれよ?」
その言葉に俺は片手をあげることで返事をし裏路地へ入っていく。
「あんのバカ片手で返すとか随分偉くなったもんだな。でもまあ只者じゃないと思ってたがまさかここまでやるたァなたいした野郎だ」
「あ、あの。轟腕のゴオルさんですか?」
「あぁ?人違いだ人違い、そんな奴じゃ━━「ゴオルさーん」…はぁ」
その時、タイミング悪く紙を片手に受付嬢が走ってくる。
「あんだよ」
「ゴオルさん指定のクエストです」
その紙には大地竜オル・グラド討伐と書いてあった。
先程話しかけてきた新人が目をキラキラとさせこちらを静かに見てくる。
だが、その紙を見たゴオルは一切笑ってなどいなかった。
「おい、その依頼。偽もんじゃ無いのか?」
「勿論これは上が出した依頼なので偽物ではありません」
「こりゃあとんでもないことになっちまったな」
ゴオルはこれから起こることを想像し大きくため息をつく、そして
「本格的に竜まで動き出してくるとはな」
小さな声でそう呟いた。




