ゴリラさん
「んで?これはどういうことだルアン?」
肩を竦めて小さくなっている俺にゴリラが超近距離でガンを飛ばしながら言う。
「いや、これは仲間が連れ去られそうになったからやったことで……てか俺は踏んだだけだし(ボソッ」
「それは本当なのか?」
「ほ、本当ですよ。こいつが無理やり連れてこうとするからまず鳩尾を殴って怯んだところを顎に膝蹴り入れてやっただけです」
さすがアサシン、見事に急所を突いて即KOじゃねぇか。
「お、おうならいい。おいルアン、何だこの嬢ちゃん急所を的確に突いてるとか普通じゃないぞ?」
「情報屋の娘です。それ以外はよく知らないですがクソ強いです」
俺の言葉になんとも言えない顔をしている。
「ところでゴオルさんはどうしてここに?」
「ここらで悪魔だのドラゴンだのが混じった奴がいるって聞いてな、ぶっ潰しに来た」
マジで?そいつ俺のことだと思うんだが……しかも情報早いし来るのも早えぇ。
「ゴオルさん?ちょっとこっちに来てください」
「なんだ?俺に何かしようってか?」
「違いますよ」
ゴリラを裏路地まで連れて周りに誰もいないことを確認するとゴオルに告げる。
「はぁ、ギルド長と見込んであなたにお話があります」
俺の真剣な態度が伝わったのかゴオルは無言で腕を組みこちらの話を聞いている。
「あなたの目的は悪魔の討伐ですか?」
「あぁ、そうだ」
「ならここで手を引いてもらえないでしょうか」
「何故だ?」
「ゴオルさん、あなたを信用して言います。あなたの討伐対象は俺です」
「は?どういうこったぁ?」
ゴオルのその言葉に尻尾や角を出し答えるとゴオルは呆けた顔をしてこちらを見る。
「こういう事です。俺は別に何もしてないんだけどなぁ……何で討伐対象にされてるのか」
「よし、ルアン剣を取れ。勝負だ」
「え、いや。ゴオルさん?」
「俺が討伐に出た理由はそいつと戦ってみたかった、ただそれだけだからな。だから剣を取れ」
「ふぅ……わかりました。やってやろうじゃないですか」




