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短編小説・奇妙

作者: 日徒

不思議な短編小説


一日一短編


宜しくお願いします!

私がまだ子供の頃は影踏み、鬼ごっこ、ケードロ、缶蹴りなど外で走り回る遊びが流行っていた。


人見知りであまり友達がいない私だが小さな頃から遊ぶ友達くらいはいた。


近所にいる年齢もバラバラの10人くらいの仲間。


特に集まる時間がある訳でもなく、学校が終わったら自然と集まる感じだ。


いつも集まる場所に早く着いた私は、石蹴りをして遊んでいた。


だいたい遅くても10分くらいで誰かしら来る。


まだ幼かった私には一人で過ごす10分は意外と長い。


ふと後ろを振り返ると知らないオジサンがいた。


この辺りでは見掛けない人。


嫌な感じがした私は遠ざかろうとした。


その時。


「ワシの身体おかしくないかい?」


そのオジサンはニッコリと笑いながら話を掛けてきた。


物凄く寒気のする嫌な笑顔と声。


でも答えないといけない気がした。


質問の答えを間違えてはいけないような威圧感。


私は再度、振り返りオジサンを見る。


松葉杖2つで身体を支え立っていた。


よく見ると左足が足首あたりから無い。


「左足がありません、事故か病気ですか?」


私は正直にそう答えた。


オジサンは首を縦に振り頷く。


言葉は発せず、その場を去った。


何故だか分からないが穏やかな顔をしていたように思える。


その後、30分くらい待ったのだが誰も来なかった。


みんな今日は忙しいのかな?そう思い帰ろうとした時。


何度かは聞き覚えのあるサイレンの音が聞こえる。


救急車のサイレンの音だ。


かなり近くで停まり騒ぎになっているようだった。


私は気になり行ってみたが状況はよく分からない。


ただ何故か先程のオジサンが思い浮かんだ。


何かしら関係しているのだろう。


そんな気がした。


次の日。


近所には噂が回っていた。


命には別状はないが子供が左足を切断されたというショッキングな話。


犯人はまだ捕まっていないそうで暫くの間は登校は親付き添い、下校は先生付き添いの一斉下校となった。


被害にあったのは学年は違うものの、いつも集まる友達の一人。


この事件から近所では外で遊ぶのは実質禁止され専ら遊ぶのは屋内でのテレビゲームとなった。


友達のお見舞いに行った時に聞いたのだが私と同じ質問をされ「おかしいとこなんてありません。」と彼は答えたそうだ。


どうやら彼は『間違えた』らしい。


そのオジサンはまだ捕まっていないようだ。


何が目的だったのか、質問の意味が何だったのか、今でも分からない。


彼の無くなった左足を見て、もしかしたら私がこうなっていたのかも知れないといつも思う。


そして私たちは毎日を選択で迫られているのだと。


右か左か。買うか買わないか。勉強するか遊ぶか。


誰もが答えなど知らない。


そんな世界で『間違えた』答えによる代償は大きい。


あの時、右に行っていたら事故にあったかも。


あの時、遅れなければ刺されていたかも。


あの時、遊びに行かなければ火事に巻き込まれたかも。


危険はいつも隣り合わせ。


私が生きているのは、まさに奇の積み重なる跡のような奇跡に感じる。


私は奇妙な偶然で生かされているのだ。


世の中は奇妙に溢れ奇妙に生かされている。


そう感じた事件だった。


私は役割を全うするまで奇なる妙な因果で生かされるのだろう。



あなたもまた奇妙により生かされているのかも知れない。



読んで頂きありがとうございました!


忙しく返事は出来ませんがご意見ご感想など頂けたら凄く嬉しいです♪

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