お人形のお漏らし
「じゃあ、どうお仕置きしようかなー」
怯えた表情で座り込むロザリアにゆっくりと近づいていく。
「よせっ!やめろっ!ロザリアに……ロザリアに触れるなぁ!!」
木に縛り付けられたイケ男君が血走った目を見開いて叫びまくっている。
まあ、どんなに叫んだところで止めるつもりなんて毛頭ないんだけどね。
「ご、御主人様……何かお手伝いできることはありますか……?」
縄から解放してやったファーレンがビクビク体を震わせながら媚びるような表情を浮かべて言い寄ってきた。
「うーん、じゃあイケ男君見張っといて」
「は、はいぃ」
さて、イケ男君はファーレンに任せておいて、ぼくはロザリアさんの相手を始めるかなー。
それにしてもーー
「いい表情だね」
肩を震わせながら麻痺毒で動かなくなった足を引きずりながら必死に後退るその表情は、なんとも嗜虐心をそそられるものがある。
「ま、待ってくれ。わたしは……わたしは、裏切るつもりなんか無かったんだ。たのむーー」
ガッ。
「あ、アァぁっ!?」
右膝の間接を上から思いっきり踏みにじられたロザリアさんは、目を見開き白い喉を反らして掠れるような叫びをあげた。
「……ぁぁ、ムカつく。いるんだよねぇ、こうやって仲良くするふりして近づいてきて盛大に裏切る奴」
ぼくの脳裏には、ある人物の顔が浮かび上がっていた。
神崎志穂。
ぼくのクラスメートで皐月の親友と言える立場にいた彼女にぼくは、皐月との仲を取り持って欲しいと頼んだことがある。
皐月ほどじゃないけど、そこそこ可愛い志穂がぼくに協力してくれると言った時は、結構舞い上がった物だった。
これで皐月もぼくの物になると本気で思っていた。
(でも、実際は)
ある日、朝学校に行くとみんながこっちを見て大爆笑してきた。
訳が分からずキョトンとするぼくに一人の男子がスマホであるメールを見せてくれた。
『皐月にゾッコンなキモオタwww』
こんな件名のメールだった。
開いてみると、そこにはぼくが志穂に相談した時に言った皐月への告白用のセリフとデートコース。そして、それに対する志穂のコメントだった。
『マジウケるだけど。クソつまんなそう、このデートwww』
明らかに悪意の籠ったコメント。
こんなメールが昨晩、クラス中にまわったらしい。
この日、ぼくは一日中みんなから指差して笑われながら過ごすことになった。
でも、何よりも辛かったのは……その中に皐月もいたことだった。
あの後、志穂に問い詰めたが志穂は「悪気は無かったんだよ」などと言って笑っていた。
本気で相談していたぼくのことを、ただの遊びみたいに踏みにじった癖に。
次の瞬間、志穂に殴り掛かったぼくは駆け付けた志穂の彼氏に顔が腫れ上がるほど殴られ続けた。
「あぁ、思い出してきただけで腹が立つ」
ホントに腹が立つ。
こっちは、善意で接してるのにそれを簡単に裏切って踏みにじる。
本来、責められるべきことなのに周りは何も言わず、裏切った本人は男とベッタリ。
あぁ、ウゼぇ。
「死ねよ」
ドスッ。
「オぉエエェ!?」
下腹部に爪先がめり込む程の力を入れて蹴りつける。
蹴りを食らったロザリアさんは、白目を向きながら口から胃液らしき物をビチャビチャと撒き散らかしながら舌を出してうずくまった。
「ねえ、どんな気分?痛い?痛いよねぇ。でも、ロザリアさんが悪いんだよ?」
裏切ったりするから。
ぼくの愛を裏切った皐月みたいに。ぼくの思いを裏切った志穂みたいに。
そんなだから、痛い目に遭うんだよ?
「かっ……あぁ」
気が付いたらロザリアさんが唾液と胃液の混じった液体を口から垂れ流して動かなくなっていた。
どうやら、気付かない内に結構蹴りまくってたみたいだ。
「ねえ、なに勝手に休んでるの?」
気絶しているロザリアさんの下腹部をさらに蹴る。
「がっ、ああぁ……」
すると、ロザリアさんは体をビクッと痙攣させて意識を取り戻した。
「気絶したら終わりだと思ったー?残念、終わるわけ無いだろ」
目を覚ましたロザリアさんの虚ろな目を覗きこんで、ぼくは精一杯の笑顔で言ってやる。
途端に絶望一色に染まるロザリアさんの顔。
「や、やめて……くれ。たの……む」
「だーめ(ニッコリ)」
ズガッ。
推定Eカップは、ありそうなロザリアさんの胸を思いっきり踏みつけて、綺麗な金髪を鷲掴みにして上に引っ張る。
「ぎ、アアアァッ!」
激痛に耐えきれず獣のように絶叫するロザリアさん。
その下半身からチョロチョロと音ともに琥珀色の液体が染みだしてきてロザリアさんのスカートを濡らしていく。
「あはっ!お漏らししちゃったの?いい歳して恥ずかしいねぇ?」
「うぅくうぅ……」
女としてのプライドをズタズタに引き裂かれ、ロザリアさんは顔を真っ赤に染めて涙を流し屈辱に耐えていた。
「あぁ、ホントにいい声で啼くね。このお人形」
足元にうずくまるロザリアさんの頭を踏みにじりながら、ぼくは恍惚とした笑みを浮かべていた。