黒い生意気な悪魔女
更新遅れてすいません。
「なんだ……あれは?」
ぼくは、目の前の光景に困惑していた。
今、ぼくの視界には一人の女性がもう一人の女性を踏みつけている光景が写っていた。
踏みつけられているのは、金髪の髪を長く伸ばして白い鎧に身を包んだ女性だ。
そして、もう一人。
女性を踏みつけているそいつは、明らかに人間とは違う風貌をしていた。
夜の空のように真っ黒な髪を腰まで伸ばし、頭にはヤギのような角が二本生えていた。
着ているのは、黒い布地のビキニのような露出の多い物。腰からは一本の尻尾が生えていて、まるでファンタジーに出てくる悪魔の様だった。
「ほらほらぁ、もっといい声で哭きなさいよぉ!」
「ぎっ!あああっ!」
悪魔のような女が金髪の女性の背中を凄まじい勢いで降り下ろした足で何度も踏みつけていた。
どうする?
ぼくは、二人の女性を見比べる。
助けるべきか?
だが、情報が少なすぎる。
あの悪魔女がぼくより強いかもしれない。
それなら、関わらない方が安全だ。
などと、思案していると。
また、悪魔女が足を降り下ろして金髪の女性の背中に傷痕を刻んでいた。
そして、その時垣間見えた悪魔女の顔が誰かと似ていることに気付いた。
「……ああ。そうだ」
皐月だ。
あの、人を虐げる顔。
あれは、ぼくの全てを否定したあの時の皐月と同じ顔だ。
そう思った瞬間、ぼくの中で答えが決まった。
「やめなよ」
ぼくは、木の陰から出て二人の女性の前に姿を晒した。
「ああ?誰だ?」
まず、反応したのが悪魔女だった。
「やめなよ。なにがあったか知らないけど、もういいんじゃない?」
ぼくは、悪魔女の顔をまっすぐ見てハッキリと言い放った。
数瞬、悪魔女は間の抜けたような顔でこちらを見ていたが、次の瞬間それは変わった。
「くっふふふっ。あははははっ!なーんだ、なにかと思ったらハーフオークじゃない!?」
「それが何か?」
目に涙を浮かべて爆笑する悪魔女に、いかにも気にしてませんよ、と言った具合に聞いてみる。
「はははっ!なにかですって?ハーフオークでしょ?性欲で出来てるようなオークが人間の女を犯しまくって生まれた、もっとも下等なゴミがっ!人間にも魔族にも蔑まれるような種族が人間を庇うんですもの!笑うなって方が無理だわ!」
「……下等かどうかは、人種じゃなくて本人次第だと思うけど?」
怒りに震える手を握りしめながら言う。
「人種?あー、傑作だわコレ。このゴミ、自分が人間のつもり?やっぱり、下等生物になに言っても無駄ね。わたしのような誇り高き魔族の考えは一生かかっても理解できないんでしょう?もう、死ねばいいわ。このゴミ。クズ。カス」
………。
やっぱり似てるなぁ。
皐月に。
どうしてだろう?
……………………………………………………………………………………………すごいムカつく。
「ほら、さっさと死んじゃいなさいよ」
悪魔女が地面に落ちていた金髪の女性の物と思われる剣を振りかぶって、こっちに向かってきた。
「それで?」
ぼくは、逃げも隠れもせずその剣を真っ正面から掴んだ。
そして、そのまま握力を込めていき刃を握りつぶす。
「なっ!?」
悪魔女の顔が驚愕に染まる。
「大したことないね」
最初は、唖然としていた悪魔女の顔が今度は赤くなり出した。多分、怒っているんだろうな。
「こ……っの!」
今度は、右手をつきだしてくる悪魔女。
次の瞬間、その手から雷が放たれる。
恐らくあれが悪魔女の魔法だろう。
しかし。
「弱すぎ」
ぼくの体に当たった雷は、大した効果もなく、全くダメージにならなかった。
どうやら、ハーフオークに生まれ変わって筋力や耐久力も大分上がっているようだ。
「ば、馬鹿な……」
「もう、終わり?なら……こっちの番だ」
悪魔女と同じ様に右手を掲げて、ぼくの使える唯一の魔法を発動させる。
「魔龍爆誕」
魔方陣より出現した龍が辺りの空間をも喰らいながらとぐろを巻く。
「なっ!?暗黒属性魔法!?まさか、魔王因子所有者!?」
「ごちゃごちゃ五月蝿いよ」
ぼくは、手加減なく黒龍に悪魔女への攻撃を命ずる。
「がああぁっ!?」
黒龍の尾が唸りを上げて悪魔女の脇腹に叩きつけられたた。
ベキベキ、とあばらを砕く嫌な音が響いて悪魔女は、吹き飛んで木にぶつかった。
「がっ、ああぁ……」
吹き飛ばされた悪魔女は、追撃を避けるかのように四つん這いで這うようにこっちに来た。
そしてーー。
「はうっ……ペロッ。チュウウゥっッ。ご、ごめんなさい。まさか……まさか、ここまで強いだなんて。謝ります。謝りますから、なんでもしますから……許して……」
ぼくの足にキスをしながら許しを請ってきた。
………………。
「ねえ。君、名前は?」
ぼくは、悪魔女に優しげな口調で聞いた。
「ふぁ、ファーレン。ファーレンです」
悪魔女ーーファーレンは、目に涙を浮かべがら訴えるように言ってきた。
「……ねえ、ファーレン。君は、人を虐げる時は喜んで笑ってるくせに、立場が逆になると泣いて許してもらうだなんて考えるの?……そんなの、おかしいよね?」
ぼくは、残虐な笑みを浮かべて必死に足を舐めるファーレンの頭に足を踏み下ろした。
~数時間後~
「ペロッ。チュッ、チュパッ」
「ねえ、舐方が汚いんだけど?」
ガッ!
ぼくの足が足元に膝まずくファーレンの頭を踏む音が響いた。
「ぐっ!ご、ごめんなさい!ご主人様っ!ふぁ、ファーレンは!ファーレンは、良い子になりますから!お願いですっ!もう、痛いことしないでっ!」
「言い訳とかいいから、早く足きれいにしてくれない」
「は、はいっ!チュッ、チュルルルッ。レロッ」
衣類を完全に剥ぎ取られたファーレンは、ぼくの足をひたすら舐めていた。
「さて……いい物手に入れたな」