イケ男くん売却記念リンチ
遅くなっちゃってすいませんでした!ホントすいません!マジでスンマセン!
「……こちらが、ギルド証になります。奴隷の売人として名が売れていけばランクが上がるので頑張って下さい。なお、紛失した場合は再発行に料金が発生いたしますのであらかじめご了承下さい」
受付のお姉さんが青白い通り越して薄灰色の顔で小さなカードを手渡してきた。
「…………せめて営業スマイルくらいしない?」
「幾ら払いますか……?」
「何に?」
「…………営業スマイルに」
うん。ダメだ。スマイルに代金要求してきやがったよこの女。
この世界には、スマイル0円って言葉は存在しないようだ。
でも、これでーー。
「ボクも立派な奴隷商人か……」
今さっき貰ったばかりのギルド証をズボンのポケットに入れてボクは、後ろに控えていた奴隷(?)共に視線を向ける。
「さーてと、これからどうしよっか?」
すると、ロザリアさんが受け付け広場の右奥の小さなカウンターを指差した。
「まずは、不要な奴隷を売り捌いてはどうだろうか?」
ロザリアさんが指差したカウンターを見てボクは、へえ、と感心した。
「あそこで、奴隷を売れるの?」
「ああ。本来は、商人と顧客が一対一で交渉して売買するが、駆け出しの商人などのよな顧客のツテが無い者は、あそこでギルドが買い取ってくれる仕組みになっている」
なるほど。
奴隷商人として名を売っていけば顧客が手に入るが、最初はあのカウンターで取引をしていかなければならないのか。
となるとーー。
「…………今、この中で要らないのはどれかな?」
途端にビクンッと肩を震わせるファーレン。
慌てて媚びるようにボクの右腕にその豊満な胸を潰れんばかりに押し付けてくる。
「ご、ご主人様!わ、わたしは、ご主人様の為ならばなんだってしますっ!身体だって売りますっ!お金稼ぎますっ!だから……だから、どうか売ったりしないでくださいぃ!!ギルドにだけは……ギルドにだけは……」
必死の形相ですがり付いてくる。
…………。
「……そんなに、酷い所なの?」
「まあ、最低ランクの売却所だからな。まともな買い手が見つかることはまずないだろう。………ところでシュンヤ殿。わ、わたしは、シュンヤ殿の役に立って……いるよ……な?ちゃんとお利口なお人形……だよな?す、捨てたり……しないでいてくれ……るよ……な?」
最初は、得意気だったロザリアさんも最後の方は売られる心配でかなり弱々しい声になっていた。
「まあねー。……で、そう考えると一番要らないのは……」
ボクは、ゆっくりと視線をファーレンの横で四つん這いにって気色悪い笑みを張り付けた犬…………じゃなくてイケ男くんに向ける。
「うん。……やっぱり君が一番要らないね♪あっ、そうだ。もう、売るんだから服とか要らないよね?二人とも持ち物全部剥ぎ取っちゃって」
「は、はい!ご主人様っ!」
「分かった、シュンヤ殿」
ボクの命令を受けたファーレンとロザリアさんが、これから自分の辿る末路も知らずに呑気に笑っているイケ男くんに近寄っていく。
「おらっ!さっさと脱げ!この犬っ!!」
ファーレンの爪先が勢いよくイケ男くんの脇腹に突き刺さる。
突然、腹を蹴られたイケ男くんは仰向けにひっくり返って口から泡を吹いていた。
そこにロザリアさんが追い討ちをかける。
「なにを休んでいる、このクズめ!さっさと服を脱げっ!」
空いたお腹に躊躇なく靴の裏を叩きつける。
グフッ、ゴフッとむせ返りながら、のたうち回るイケ男くん。
「おらっ、ご主人様を待たせるんじゃない、このクソ犬がっ!!」
「生きる価値もない犬がっ、シュンヤ殿を待たせるとは何事だっ!?」
倒れているイケ男くんに容赦なく追撃の蹴りを加え続ける二人。
ファーレンは、ともかくロザリアさんも容赦ないねー。
あれでも、元婚約者のはずなのにね。
散々、イケ男くんを蹴り回すと今度は二人でイケ男くんの服を脱がしていく。
「ふんっ!貧相なモノぶら下げて……。もう、コレ要らないでしょ?ぶっ潰してあげる」
そう言ってファーレンは、服を脱がされて全裸に剥かれたイケ男くんの股間を連続で蹴り始めた。
「野良犬風情が…………!」
ロザリアさんもファーレンに加勢するようにイケ男くんの股間に蹴りを叩き込む。
「あっ!ぎっ!ぎいいぃっ!?」
想像を絶する痛みを味わったイケ男くんは、白目を剥いて舌を垂らして掠れた悲鳴を上げ続けた。
「はい、そこまででいいよ~」
そろそろ、イケ男くんが死んじゃいそうだっだから止めに入る。
さすがに、これから売るものをぶっ殺されちゃ堪らない。
「いやぁ、それにしてもロザリアさん、よく平然と蹴れるね?元彼氏さんでしょ?」
「ふっ、何を言っているのだシュンヤ殿。こんな犬など知らん。わたしが想い続けているのはシュンヤ殿だけだぞ?」
ロザリアさんは、最後に一発イケ男くんの顔に蹴りを入れると、その後はボクに抱き付いてきて、もうイケ男くんには見向きもしなかった。
「よし、じゃあ早速売りにいこうか」
幾らで売れるかなぁ。ボクは、床に倒れてビクビクと痙攣して動こうとしないイケ男くんの髪を引っ張って右奥のカウンターまで引っ張って行きながらそんなことを考えていた。
さあ、奴隷商人ライフの始まりだ。




