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キメラハンター達を問い詰めているコウの姿をロウは見ていた。
すると突然、べシーンという音と共にハンターたちが真横に吹っ飛んだ。
レオの 太い尻尾の一撃である。
ハンターを居ない者のように平然と無視して、コウがこちらへ戻ってきた。
「いいんですか?あのようにして。」
つい聞いてしまった。
「あんまり、話 したくないし。顔を覚えられたらいろいろ困るからね。
このあたりの道が薄暗くてよかった。」
「・・・でもレオの姿は きっと覚えられてますよ。」
レオの方を見ながら言う。
何対もある翼、顔を覆う羽毛、
そしてその口から垣間見える牙は私のモノより凶悪に煌いている。
私でもあの牙の一撃を受けたら、一溜まりもないだろう。
そんな竜を目の前で見て、なおかつ攻撃されたならば
忘れたくても忘れられない姿になるだろう。
しかし、コウは言った。
「大丈夫。だって俺の相棒だからね。」
そう言うコウの横顔はどこか誇らしげで、少し笑っているようにも見えた。
ふと、レオの方を見るコウ、
するとコウの意思を汲み取ったのか、レオがぐぐぐと首を下げ、体を縮め始めた。
気が付くと、コウの肩に乗る大きさになっていた。
「どう?これで最近流行のペット ファードラゴンと見分けがつかないだろう。」
確かに、コウの首に巻きつくその姿はペット以外の何物でもない。
先ほど 大の大人二人を吹っ飛ばした竜には見えない。
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「さて、俺たちは町に用事があって行かなければいけないんだが、
その連れ去られた者たちの 家や森はわかるか?」
「臭いを嗅げばきっと大丈夫ですよ。住む家の近く ぐらいはわかります。」
正直、コウとレオのことをもっと知りたいと思うが、
連れ去られた者たちを 元の場所に返してあげなければいけない。
「じゃ、よろしく頼むぞ。」
短く言って、コウはすたすたと歩きだした。
その後ろ姿に、叫ぶ。
「今日は助けていただきありがとうございました!
人間のことをもっと知りたいので、今度 旅にご一緒させてください!」
本当は人間ではなく、コウとレオ、 また、キメラのことが気になっている。
あんな人間は初めて見た、
もっと彼らのことを知りたいと思った。
私は叫ばずにはいられなかった。
コウは一度立ち止まり、振り向いて
「かまわないよ。」と言った。
肯定の言葉を受け取った私は、急いで誘拐された者たちを
元の場所に戻すため、皆を担ぎ上げ、夕方の空を駆けるように走った。
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化けオオカミのロウを見送った後、俺たちは町へ向かって歩く。
ちょうど日が暮れ始め、あたりも暗くなっていた。
レオは疲れたのか、俺の首に巻きつきながら眠っている。
それにしても、あのオオカミは俺の何処を気に入ったのだろうか。
俺がキメラだから? それとも 見たこともない竜のレオが珍しかったから?
・・・どちらも少し違うような気がする。 まあ、今は理由はいいや、
きっと 長生きだから知識欲が強いのだろう。
長生きの生物は基本、 その寿命を生かして他の生物には理解できないことを
時間をかけて とことん調べ、知りつくすのが好きなようだ。
ロウよりかは短命だが 人間も同じようなものだ。
見たところロウは 温厚な性格のように思えるが 戦闘力は高そうだ。
人の世界の知識もあるし、人にも化けることができる。
旅のお供としては十二分に頼もしい奴だ。
それに 人間じゃない。
あたりも暗くなってきた。
今日はここら辺で野宿をしよう。
適当な太めの木を選び、その枝に登って腰を掛ける。
俺は眠りに落ちた。




