気持ち。
ベッドと机は、横並びにしてある。
背が低い私はベッドに座りながら机に向かうと丁度良い高さなのだ。
机まで転がり(これが一番楽な移動方法なのだ)、引き出しを開く。
あの時もらったメモを綺麗にしまってある。
今日は祝日だからきっと忙しくないよね。
『080…』
番号を1つ1つ、ゆっくりと打つ。
1日しか経っていないけど、胸がドキドキするのが分かった。
図書館で会った時は普通の男の子。
でも今は、あたしの好きな子。
その差は本当に大きい。
最後の番号を打ち終えた。
発信ボタンに親指を添える。
そこでちょっとためらった。
あたしのこの姿…
やっぱり、恋人がこういう体なのは嫌なのかな…。
あんなに優しくても…。
『はぁ…』
よし。こういう時は書き出してみよう。
ルーズリーフとシャーペンを取り出す。
『1、当たって砕ける』
『2、待つ』
『3、告白はしない。諦める』
いやいや。3は絶対嫌だ。
それだけは絶対にしない。
でも…なんだか待つっていうのはなぁ…。
今、彼女はいないらしいから今のうちに…。
…よし。決めた。
発信ボタンを…押す。
〝プルルルル…〟
その音が、余計に私の心臓の鼓動を強くする。
ふぅ…。
『もしもし』
…繋がった。
繋がっちゃったよ…(笑)
『もしもし??』
『あっ、あの…私…』
『あれ、もしかして由実ちゃん?』
『え?あ、うん』
『なんだびっくりした(笑)知らない番号だったから』
『そっかぁ…(笑)』
そういえば私の番号は教えてなかった。
なんだかんだで慌ててたのかあぁ…?
『今日はどうしたの??』
『うん…あのね…私…』
…脈拍を全身で感じる。
『私…篠塚くんのこと…』
そこで言葉に詰まってしまった。
何も声が出せない。緊張が度を越えちゃたのかな…?
それが何秒も続いた。逆に言えば、
何秒しか無かったのに、
私には何十秒にも感じられた。
『…俺からも言いたいことがあるんだけど、良いかな?』
『あ、うん…』
たったそれだけしか出せなかった。もーどうしちゃたの私(泣)
『俺がどうして由実ちゃんを探していたか、分かる?』
…え?
『由実ちゃん、2年前からずっとあの図書館に通ってたよね』
…え、ちょっと…本当に?
『その度に話し掛けたかったけど、勇気がなくてできなかった。』
まさか…。
『今は勇気があるから言える。』
『うん…』
『俺、由実ちゃんが好きだ。』
えぇぇーーーーーーーーー!!!
え…。
冗談で言ってたのが…本当になっちゃった…。
でも…
『私も、篠塚くんのことが好き』
篠塚くんが先に言ってくれたお陰で、私もすんなりと言うことができた。
初めての告白。
初めて、人に好きという気持ちを伝えた。
女の子と楽しそうに歩いているのを見た時、
私は篠塚くんとは釣り合わないなと思った。
でも彼女は彼の妹だった。
彼は誰に対しても優しいんだなと思えた。
そんな篠塚くんが、大好きでたまらない。
『ありがとう。じゃあ…付き合ってもらえる??』
当たり前じゃん。初恋が両想いなんだもん。
『うんっ!よろしくお願いします☆』
『なんで敬語なの(笑)』
『初めてなんだもん…誰かと付き合うなんて…』
『そっかぁ…。じゃあさ、初めてのデート、今度の日曜日に行こうよ』
『…早過ぎない(笑)』
『いいんだよ。これから一緒にやりたい事はたっくさんあるんだから』
そうなのか…(笑)
でもデートは早く体験したい事の1つ。
『じゃあ日曜日で決まりね♪♪』
『おうっ!何かやりたいことある??』
やりたいこと。
もう全部、考えてある。
『それはしないことにしたあたしが決めちゃダメ?当日まで秘密ってことで』
『えー(笑)分かった。楽しみにしてるよ』
『うんっ☆じゃあまたね♪』
『またっ』
通話を切る。
『ぷはぁ~』
そのまま再びベッドに転がる。気づけば30分も電話していた。
いままでまったくしたこと無かったのに…。
さてっと。
さっき書いた紙を裏返しにする。
『タイトルは…』
〝理想のデート〟。




