第五節
さて、次は薪を集めなければいけない。
洞窟の入り口横あたりに跡があるので、ここで焚き火をしていたのだろう。
本来なら中で火を炊きたいが、通気性が悪ければ死んでしまう。
それを考えての事だろう。
周囲を警戒しながら薪を集める。
森を歩きながら、他にも使えそうなものは無いか視線をめぐらせる。
植物の種類も確認して回る。
薪以外に必要な物は枯葉だ。
火種に使うだけでなく、布団の代わりにもする為かなりの量が必要である。
何度も往復しながら集め続けた。
使えそうな大きな石も集めた。
かなり重いので運ぶのが大変だった。
洞窟入り口にある焚き火の跡は
上手いと思わせる。
かなり、焚き火に慣れた人の使い方だ。
しかし、これは一番簡易的な方法。
シンプルなだけに火の管理や調整も
まめに行わなければならない。
好きな人に言わせると、そこが良いらしいのだが……
まぁ、それでも構わないのだが、
先程から少し風が強くなってきているので、このままでは不安要素がある。
もし雨でも降って来れば、そこは水浸しだ。
雨風の対策も加味して、私は石を集めたのである。
焚き火の跡を囲むように石を積み上げる。
まず地面からは完全に浮かせた状態にして、
水が溜まらない様に流れ道を作りながら石を積んでいく。
そして、その上に二段になるように石を重ねた。
屋根が無いので雨は確実に薪に掛かるが、
水が溜まらなければ何とかなるはずだ。
これでダメなら、また対策を考えよう。
下の段に枯葉を放り込み、上に太い木を積み重ねる。
そしてライターで枯葉に火を付けた。
このライターも何時まで持つだろうか?
今は大事に使うしか無いが、いずれ他の方法も考えなければなるまい。
枯葉の乾燥の状態はなかなか良好で、すぐに火が大きくなっていく。
そしてその火が真上に上がると、木材に連鎖していく。
何とか成功だ。
簡単に煙突構造を利用したものだが、
これの方が圧倒的に火が付きやすい。
そして風にも強いのが利点だ。
あとは木材の量で火を調節するだけだ。
肌寒くなってきた気温の中で、炎の温もりが染み渡る。
小高い洞窟から、少し見渡せる森を眺めた。
思わず軽い溜め息が漏れる。
さて、これからどうしたものだか……