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第四節

 途中で丈夫そうな木を見つけると、

手持ちの棒と見比べて何度か交換しているうちに

硬くて真っ直ぐな良い感じの棒を見つけた。

杖にもなるし、攻撃力も高そうだ。

本当は刃物が欲しい所だが、残念な事に

いつもキーホルダーの代わりに付けているツールナイフしかない。

5㎝程のナイフやハサミ等を引っ張り出して使うツールである。

サバイバルグッズとして意外に有名だが、

それほど万能な物でもない。

そもそも職務質問されて最悪没収されても良いように、

100均で買った物だ。

最初は使い物にならない程に酷い商品だったが、

分解と調整をしてナイフの刃は砥石で完全に立て直した。

とりあえずは使える状態までになったが、

耐久性には相当の不安がある。

とても武器にはなりそうにない。

それでも、何も無いよりは遥かにマシで

これを持っている事で、精神的に安心感を与えてくれている。

だが、武器として考えるなら、リーチの長い木の棒の方がよほど有効なのである。


 歩き続けて、一時間が経った。

深い草むらを抜けると、

視線の少し上に小さめの洞窟が見える。

とりあえず、あそこを目指してみよう。


 洞窟の入り口に辿りついた。

この状況で、テレビに出てくる探検隊のように

いきなり堂々と入って行くのはさすがに頭が悪すぎる……

まずは、様子を伺ってみよう。

詳しくは判らないが、特に獰猛な気配は無いようだ。

次に拾った石を奥に投げ込んでみた。

何か硬い物に当たったようだが、これと言って反応は無いようだ。

さてと……

暗闇に注意しながら、静かに中に入って行く。

これ以上行くと、完全に暗闇だ……

携帯を出してライト代わりに照らして確認してみる。

奥に何かあるようだ……

確認してみると、手作りのテーブルのようなものが置いてあった。

拾ってきた木で作ったようで完成度は微妙だが

それなりに良く出来ている。

その横から覗き込んでみると、奥に骨がある。

何の骨だ?

近づいて確認してみると人骨のようだ。

完全に白骨化した頭蓋骨を見ると、猿ではないと思う。

棒で突付きながら上に向けてみると

見事に見覚えのある人間の頭蓋骨であった。

ここが何処だか知らないが、人間が存在するようだ。

そしてここは、きっとこの人が使っていた場所なのだろう。

だが、とりあえず骨は後回しだ。

他を見回してみる。

生き物の糞は無いようだ。

転がる残骸を見ても、他の動物が住んでいる様には見えない。

それは非常に有難い事だ。

下手に動物の住処に居れば襲われる事は間違いない。

この棒一本で勝てる自信も無いので、それは避けた方が良い。

ひとまず、ここは荒らされていないと考えていいだろう。

かなり良い所が見つかったものだ。

人骨に手を合わせて、黙祷する。

「落ち着いたら墓を作りますので、しばらくここ使わせてください」













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