第一節
拙い文章ですが、どうぞ宜しくお願いいたします。
今日は20歳の誕生日。
一人、タバコに火をつけて星空を見上げた。
何十回目だろう……またこのビルの屋上の淵に立っている。
光が見える……
だが、明らかに星ではない……
なんだ?
その光はこちらに近づくにつれ光量を増してくる。
やがて目の前は見て居られないほどに眩しく輝き
辺りは真っ白に包まれた。
あまりの眩しさに、おもわず腕をかざす。
やがて誰かが……いや、光が語りかけて来た。
「私を信じるなら、前へ踏み出してみよ」と……
そんな台詞、どこかで聞いた事があるような?
あぁ、思いだした……あの時だ。
ずいぶん昔に友人の親に勧められて強引に連れて行かれた教会で
散々と神の話を聞かせられた事がある。
あの時に出てきた話だ。
もしかすると、目の前の話している光がそれなのか?
だが、神を見た人なんて最近では居ないはずだ。
何故か太古の記述の中では神が人の前にガンガン出て来るのだが
今の時代は人前に出てこないのが定説になっている。
あの当時、
「何故、ここに神は姿を現さないのか?」と質問する私に
「見ずして信じられる者は幸いです」などと
苦しい言い訳をしていたのを良く覚えている。
教会の牧師が言っていたのだから間違いない。
それに、たまに神を見たなんて話があっても
激しく信憑性に欠ける話ばかりだ。
目の前の光を、神だと断定するにはあまりに押しが弱すぎる。
そもそも、眩しいだけだし……
その時、また声が聞こえた。
「恐れることはない、来なさい」
いきなり、そう言われてもなぁ?
全く前置きが無いし……
せめて名前くらいは名乗って欲しい……
まぁ、普通なら行く事は無いだろう。
なんか、イカサマ臭いし……
それに一歩進めば硬いコンクリートへ
落下するしか道はないのだ。
しかし実際の所、もう何もかもがどうでも良かった。
それが神であろうが悪魔であろうが、もはやどうでも良い。
私はその言葉に従い、素直に前へ踏み出した。