脱走少女
「なんであなたはここにいるの?」
すべての始まりは、あの脱走少女が話しかけてきたときから。
「君こそ、何でこんな時間にいるのさ?その制服、レチミア学園のだろ?あのお嬢様学校だろう?今日は学校じゃないのかい?」
黒のブラウスにネクタイ。下は制服にしては珍しい・・・・確かスカッツとかいう奴だ。
しかも校則では髪型は三つ編みなのに、その少女はウェーブのかかったツインテールだった。
「え?学校?もちろん脱走してきたけど?」
少女はなんでもないことのように答える。
「レオンが脱走しちゃったの、学校。あ、レオンって、あたしの彼氏。レオンを探しているの。あ、あたしはミルリっていうの。友達からはルリって呼ばれてるけど。あなたは?」
「・・・・シェレサーニ。でも、シェーサって呼べばいいさ。」
「へぇ!結構古風な名前ね!シェレサーニ・マルガレッタって知ってる?ねぇ!」
「それより君、そのレオンくんとやらを探さなくていいのかい?」
「・・・あ!いけない!じゃあね、シェーサ!」
脱走少女のミルリは、こうして駈け出して行った。
・・・へえ!初対面でいきなり呼び捨てかい!
しかし参ったね。あんな無能っぽい子でもシェレサーニ・マルガレッタを知っているのか!
ああ、でも僕が馬鹿だった。
レチミア学園は、お嬢様学校であると同時に、エリート学校でもあるからね。
でも、校則が厳しいから、どうしても見た目がほかの学校に比べて地味臭くなって、あのときも「レ地味ア学園」なんて馬鹿にされてたね。
でも、そんなの金持ち階級の話だよ。全く。
普通以下は、働くだけさ。子供でもね。