またいつか一緒に【第一話】
今回は、設定事項を用意しました。以下の内容に添って、執筆お願いいたします。
リレー小説(第二弾)設定・注意事項
★全40話
★一話2000文字以上
★登場人物数制限なし
★ファンタジー要素無し
★SF要素無し
★地の文は主人公視点
★重複執筆可
★ジャンルはその他
★執筆予約制廃止(予約を入れてくださる著者様を拒みはしませんが、ある程度の執筆予約が入ってからの執筆開始はしません。執筆予約を入れられた著者様に関しては、活動報告に掲示させていただきます)
★執筆著者様は、執筆前にご連絡ください
★執筆投稿後、必ず御一報ください
★あらすじは、前話までの要約を明記
★全ての物語を聖魔光闇がお気に入り登録します
★後書きに執筆著者様募集広告を添付
よろしくお願いいたします。
その事件は高校生活最後の旅行。そう卒業旅行の帰りに起こった。
僕は友達四人と、小学生の頃に修学旅行で行った伊勢まで、卒業旅行に出掛けた。伊勢神宮や鳥羽水族館、志摩スペイン村で有意義に遊んだ僕達は、帰り和気あいあいと電車を乗り継いで、帰宅していた。そうあの時までは、何も変わらない平和な生活だったんだ。
「なぁ、智哉。タバコないか?」
僕に話掛けてきたのは、北口 優僕の一番の親友だ。
「お前、今日の旅行できっぱりタバコは止めるって断言してただろ!」
「そんな事言うなよ。禁断症状で気が狂いそうなんだよ」
「おいおい、優。そんな事言ってたら、一生禁煙なんてできねぇぞ」
優に説教じみた事を言って呆れているのが、クラスの秀才、山中 勝俊。
「そんな事言ったってよぉ! 勝俊、テメェタバコを知らねぇから、そんな悠長なこと言えんだよ! なぁ智哉、タバコ分けてくれよ」
僕の名は霧島 智哉。こいつらのまとめ役みたいなものだ。
「悪ぃな、優。俺は本当に今回の旅行でタバコとはおさらばしたんだよ! その証拠に、ほら! タバコ、全て旅館に置いてきた」
僕は、かばんの中身とポケットの中身を隅々まで優に見せてやった。
「くそぉ! 裏切り者がぁ!」
今にもキレそうな優の肩に、ポンと手を置き、
「まあ、諦めろや。良い機会じゃねぇか」
そう言って、澄ました顔で電車を待つのは、クールでポーカーフェイス。ニックネームが【能面】の異名をもつ只野 三日月。
「三日月。お前タバコ持ってないか?」
優も相当諦めがわるい。周りの友達に掴み掛かっては、タバコを要求している。
「優! うるさい!」
タバコタバコとうるさい優に突然キレたのが、口梨 来栖。コイツは、状況判断及び、旅行プランの発案者で、僕達のある意味引率者だ。
「タバコぉ……。タバコねぇのかよ!」
優が悲痛な声で訴えを続けていると、電車がやってきた。
「よし! 帰るか!」
優の悲痛な叫びを余所に、来栖の掛け声と同時に、僕達はプラットフォームで電車の到着を待つ。
そんな時だった。一人の酔っ払いのオッサンが、僕達の背後に立ち、フラフラした足取りで電車を待っているようだった。
僕達は、話に夢中でそんなオッサンの事など気にしていなかったのだが、突然オッサンがよろけたと思うと、僕の背中に倒れ込んできた。
「オッサン何すんだよ!」
と振り向き様に叫んだが、その刹那、僕はプラットフォームに入ってきた電車に右半身がぶつかり、燃えるような痛みが全身を駆け巡った。
「智哉大丈夫か!?」
駆け寄ってきた優が突然足を止めた。
「なんだよ優!」
右半身の激痛に耐えながら、優に近付くと
「ひぃ!」
と声をあげて、優は尻餅をついたと思うと、そのまま後退りした。
周りを見渡すと、勝俊も能面も青ざめた顔で僕の方を見詰め微動だにしない。
激痛の走る右半身に手をやると、僕自身気を失いそうになった。
『無い! ぼ、僕の……。無いぃぃ!!』
僕の右腕は、電車との衝突により、粉砕し無くなっていたのだった。
「うわぁぁぁぁ!」
僕は半狂乱の中、友人に助けを求めた。しかし、恐怖におののき、理性を失った友人達は、微動だにしなかった。そして僕は、そのまま出血多量の為か意識を失った。
気が付いたのは、真っ白な壁と天井に囲まれた窓もない個室の中だった。
何が起こったのか把握出来ないでいると、白衣をまとった医師らしき人物と、その傍らには、これまた白衣に身を包んだ看護師が立っていた。
「ようやく気が付いたようだね。君は、自殺未遂で走ってくる電車に身を投げ出し、運が良かったのか悪かったのか、一命を取り留めたのだよ」
『自殺未遂?』
話の内容に違和感を覚えたが、そこまで聞いて、あのプラットフォームでの出来事を思いだした。酔っ払いのオッサンが僕に体当たりをしてきて、僕は電車に接触したのだ。
「ぼ、僕は何故ここに……」
やっとの思いで口にした言葉はそれ以外になかった。
「君は、君の友人と名乗る少年達にかつがれてここにきたのだよ」
「優・来栖・勝俊・能面。ありがとう。……いや、自殺未遂って何だ?」
そう思ってベッドから降りようとしたが、上手く力が入らない。何とかベッドの端に辿り着き、立ち上がろうとした瞬間だった。
『ひ、膝に力が入らない……』
僕は、ベッドから滑り落ちると、そのまま床に倒れ込んだ。
「あぁ。言い忘れていたが、君は両下肢の不随状態を引き起こしていてね、立つ事どころか、歩く事すら今後出来ないよ」
医師は、僕の精神状態など知らないかの如く、淡々と説明をしていく。
言葉の意味を理解するのに、数分の時間を要したが、避けようのない現実に直面し、僕は大声で叫び続けていた。
「うわぁぁぁぁ!! どうなってしまうんだよ僕の人生! こんな事なら一層の事殺してくれ!」
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにして、叫び続けた。声が枯れ、喉が張り裂けそうになっても、僕は叫ばずにはいられなかった。立つ事も歩く事も出来ず、右腕を失った僕に、もう生きる希望など存在しなかった。
そして、平和な日常から切り離された僕は、絶望感に支配された生活を送る事を余儀なくされたのだった。
数日後、優と来栖・勝俊・三日月が見舞にやってきた。アイツ等は
「ごめん」
「あの時は、気が動転してて」
「早く治して、卒業式にでろよ」
と勝手な事を言って、一輪の薔薇を花瓶にさしていった。
僕は、友人達が帰ると、さしたばかりの薔薇をごみ箱にほうり込むと、電車に突き出したオッサンよりも、友達甲斐のない友人達に理不尽な恨みを感じていた。
『あの時、誰一人として助けてくれようとしなかった。アイツ等をいつか見返してやる!』
僕の頭の中には、酔っ払いのオッサンへの恨みではなく、自分を見捨てた友人への恨みで溢れかえっていた。
『必ず復讐してやる! 必ず見返してやるんだ!』
怒りの矛先が間違いである事も気付かずに、長い時間を経過した後、僕は車椅子で移動する手段を覚え、卒業旅行で一緒だった四人への復讐に心を燃やしていた。
『絶対殺してやる! 俺と同じ苦しみをあじあわせてやる!』
そんな思いの中、僕は優・来栖、勝俊、三日月への復讐プランを練り続けていた。
その時既に、卒業式は終わり、僕の手元には、母の持ってきた卒業証書が一枚と、卒業アルバムが一冊あるだけだった。
これはリレー小説です。
リレー小説とは、複数の著者様による合同執筆(合作)の事をいいます。
前回同様、執筆して頂ける著者様は、事前にご一報、そして投稿後にご一報ください。
よろしくお願いいたします。