風呂
う、後ろ……。
頭を洗っている時、後ろに誰かいるような気配を感じる事はないだろうか。目を閉じ、背後を扉の方に向けたまま頭を洗う。初めは何も思わなかったのに、突然背後に寒気に似たおぞましい気配を感じる。『気のせい。気のせい』と思いながら、頭の泡を洗い流し後ろを振り向くと誰もいない。こんな経験ありませんか?
俺は只今入浴中、そして洗髪中
『ほらきた。背後に感じる何かの気配。しかし、俺が気にするから、感じる気がするんだ』
俺は普通に頭を洗い、よく洗い流した後、後ろを勢いよい振り返った……。
『ほら、誰も……!「うわぁぁぁぁ!!」
俺は思わず後ろに転倒し、大きな叫び声をあげた。
「どうした!! 何かあったか!」
父さんが落ち着いた口調で聞いてくる。
「お、お、お、お前がいるからだろうが! しかも、そんなお面付けやがって!」
俺の後ろには……、厳ついお面をつけた父が見下ろしていたのだった。
「どうしたの!? 何かあった!?」
と母が飛び込んできたと思うと、俺の股間を見て、
「立派になったわねぇ」
と言い残して去っていった。
父は父で、
「そんなにビックリしたか? まだまだ子供だな。ハッハッハッ!」
と呑気に笑っていた。その後、俺は父さんと久しぶりに風呂へ入った。背中を洗ってもらったりして。
『俺の家族は変なヤツばっかりだな……。……っていうか、母さんに裸見られた! 父さんのバカァ!!』
こいつら、あっての俺達か……。