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プロローグ
今でも夢に見る。あの日の光景を。
辺り一面に散らばる赤い色。そして鼻に届く、鉄のような匂い。
眼前に横たわる、ついさっきまで妹だったものの傍らに膝をつき、これ以上壊れてしまわないようにそっと抱きしめる。
どうしてこんな事になってしまったのだろうか。いや、分かっている。全てはアイツのせいだ。アイツが、妹を、私の全てを奪ったのだ。
「待っててね花。お姉ちゃんが必ず仇を取るから」
花を再度寝かせ、私は腹部に突き刺されたナイフを抜き、投げ捨てて立ち上がった。
そして、一歩踏み出そうとした時だった。
地面一帯に広がる赤い血で滑ったのか、もはや足に力が入っていなかったのか、はたまたその両方か。
そのままうつ伏せに、コンクリートの上に倒れ込んでしまった。
霞む視界。それでも脳裏にしっかりと焼き付いているヤツの顔。
眼帯の化け物の顔。
「……グリード、必ずアンタは私が――」
この日、私氷川雪は死んだ――




