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第六十一話


「マジかよ! まだ来るのか?」


シノの空間異常を検知したという報告を聞いて、バロックが叫ぶ。


「違いそうです! この識別信号は海賊です! 艦数は十二隻」


「へ? 海賊!? 何で、このややこしい時に来るかな」


直美が呆れたような声を上げた。


「あ、ブラッディ・ローレライです。それとレッド・レクイエム……それにバッド・ドーラ? ブラッディ・ローレライから映像通信です」


「繋いで!」


「やあ、久しぶりだね。直美、元気にしていたかい? ってそんな状況では無いようだね。とにかく、援軍を連れて来たよ」


「アンヌさん! 久しぶりです。無事だったのですね。それにバッド・ドーラってルクレールさん所の?」


「ああ、そうさ。奴は私の部下でね。ちょっと潜伏してもらって、日和っていたシルヤコブ伯爵に発破をかけてもらってたのさ。それでジェンガ―の戦艦と私の軽巡、ルクレールの武装船、シルヤコブ伯爵のとこから戦艦一隻と重巡四隻を借りて来たんだが……この戦力差は厳しね」


「それでも助かります! 皆さんは駆逐艦や巡洋艦などを出来るだけ減らしてください」


「そうだな。私たちは正規軍じゃないから、組織立っては動けないが、連れてきた連中は私が指揮して格下の艦を潰すよ。ま、私もしっかり働かないと、後でオルヴァン参謀に何言われるか分からんからな」


「あ、オルヴァンさんの言っていた元部下てアンヌさんだったのですね。あれ? ジェンガ―さんは違うのですか」


「そうだ。私も参謀本部でオルヴァン参謀の許で働いていたんだ。ジェンガ―も同じさ、私の元同僚だな。さあ、昔話は終わりだ。他の援軍が来るまで、少しでも敵を削り落としておくとしようかね」


「はい! よろしくお願いします!」


直美は、そう言うと通信を切った。彼女たちは自分たちの出来る範囲で戦って貰う。


「そう言えば、セレナもアンヌさんをどこかで見たことがあるって言っていたっけ。そう言う事だったんだね」


「だぁぁ、何だよ。アンヌもジェンガ―もルクレールまでも元軍人かよ。先に言ってくれよ。しかも全員、俺より先輩じゃねぇかよ。めっちゃ気まずい」


バロックが席で身もだえているが、放っておくことにして。


直美は公爵家の艦隊、戦艦十隻、空母二隻、重巡十隻、巡洋艦十五隻、駆逐艦二十隻の合計三十七隻に向かって攻撃を仕掛けることにした。


公爵家の艦隊は空母を中心に二重の円陣を組んでいる。一番外の円は駆逐艦と巡洋艦で構成され、内の円には戦艦と重巡で固められ、その中央に空母という八卦の陣に似たような陣形だ。

この陣形では、細かい操作は出来ない亜空間魚雷で、空母や戦艦を狙うのは難しい。


亜空間魚雷は、魚雷を超短距離ワープを行い、大まかな位置で通常空間に出現させて、目標に設定された艦を目掛けて突撃するのだが、途中で障害物に当たると爆発してしまう。そのため、密集した艦隊の中心付近にいる艦を狙うのは難しいのだ。


しかも、通常であれば攻撃力を高めるために、全ての艦が同じ方向を天上とし、その反対を天下として形成しているが、公爵家の場合は艦体数が多く戦力に余裕があるので、艦ごとに天上、天下をひっくり返して配置されていた。


「うーん。この陣形は厄介だね。何処に攻めても、周りの艦から集中砲火を浴びそうで、重要な艦には近づきにくい。おまけに一艦ごとに天地をひっくり返しているから、陣としては腹下が無いのか。まあ、仕方がない。少しでも崩し易そうな所から攻めるか」


「良し! 戦闘開始だよ! バロック、デッカイの狙うよ! まずは、砲撃で周りを崩しながら、公爵家の戦艦を沈める! カシア、艦載機を発艦させておいて! オオサカ、艦載機で周りの駆逐艦を引っぺがしてね」


直美の合図で、グレムリンが、次々と艦載機を発艦させた。

本来の空母では無いので、スマートな発艦では無く、まさに放り出すような感じで艦載機を放出していく。


「よっしゃ。皆、ミサイル積んどるな。ほな、行くで!」


オオサカが艦載機を使って、公爵家の艦隊に突撃を開始した。グレムリンは発艦を終わらすと直ぐにハッチを閉じてグリムリーパーの後方に付くと、防御シールドを後方に展開した。いつもの隊形だ。


「防御シールド、前方に展開! 第三戦速! バロック、射程距離に入ったら、好きなように撃ちまくってね! まずは駆逐艦一、二、十九、二十が固まっている所から攻撃して陣に穴を開けるよ」


その部分は艦の配置の関係で、わずかに巡洋艦が少なく、代わりに駆逐艦を多めに配置されていた。直美にとって、駆逐艦ぐらいでは数がいても関係が無い。


「オオサカ、チャフミサイルを四発用意して、適当に目標を分散してバラまいてくれる。発射タイミングは任せる」


「はいよ。迎撃されるのが前提のミサイルやし、この規模やからな適当に打ち込むわ」


敵のレーダーに自分たちが映らなくする事が目的なので、細かい事は気にしない。しかも規模が大きいので完全に隠れる事も出来ないことは分かっている。

見えにくくなれば、それで良いのだ。外部モニターを使って、ちょこまかと動き回る敵を目視で追いかけながら射撃するのは、それだけで難易度が高くなり、精度は落ちる。


ズン! ズン! という発射音のあと、チャフを搭載したミサイルが敵陣に飛び込んでいく。それ以外にも、オオサカが操る艦載機が敵の副砲を避けながら、外円の要となっている巡洋艦に近づき一撃離脱で対艦ミサイルを放つ。


その為、あちらこちらでミサイルの爆発する光と衝撃波が入り乱れる。

直美は急旋回しながら、駆逐艦一に接近する。駆逐艦の主砲がグリムリーパー目掛けて発射されるが、グリムリーパーの防御シールドで容易く逸らされていく。


バロックが撃たれたお返しとばかりに、グリムリーパーの三つの主砲を駆逐艦一、二、十九それぞれに向けて連射する。

戦艦クラスの主砲を受けた駆逐艦の防御シールドはわずか一発で真っ赤に染まり、ギリギリ砲撃に耐えているようだったが、二発目を受けた瞬間シールドはあっけないほどに突き破られ、艦体へと吸い込まれて行った。

グリムリーパーの主砲を受け取った駆逐艦たちは、次々と炎に包まれ火の玉となり、円陣の外円部分に穴が開く。


その穴を押し広げるようにグリムリーパーが突撃していく。さらには後続のグレムリンが穴を防ごうとやって来る巡洋艦十五に砲撃を加える。

巡洋艦十五はグレムリンの砲撃を防御シールドで防ぎながら、反撃の主砲を放って来るが、その攻撃もまた、グレムリンの防御シールドで防がれる。お互いがガードしながら殴るという互角の戦いであったが、そこに横槍が入る。オオサカが操る艦載機が対艦ミサイルを巡洋艦十五の近距離で発射したのだ。


チャフがバラまかれた宙域でレーダーが使えず、目視で戦っている最中に、小型機の接近に気付くのが遅れたのだ。巡洋艦十五はエンジン付近に対艦ミサイルの直撃を受けた。巡洋艦の足が止まる。しばらくすると艦内に火災が発生したのか、小さな炎を吹き出しながら、艦の制御は失われ、味方の駆逐艦十八に体当たりまでして、ようやく止まった。


「しめた! 亜空間魚雷六発、発射用意! 目標、戦艦十、重巡一、二、それぞれに二発づつ、それと対艦ミサイルを三発、目標、戦艦十、重巡一、二」


グレムリンとオオサカのお陰で外円に大きな穴が開いた。

そのチャンスを直美が逃すはずがない。グリムリーパーの六門ある魚雷発射管の全てを使って前方の大型艦に狙いを定めた。


いつものお願いではありますが、

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