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ぼっちなヒロインの育て方 ~傷ついて孤独な女子のために俺なら出来ること~  作者: コイル@オタク同僚発売中


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明日海と三人で部室

「はじめまして、星野明日海です。優真とは幼稚園からの幼馴染み。あ、私は優真の兄の真広さんラブで、漫画みたいに優真が好きでっ……一緒に部活に入った女っ……許さないっ……とかないから、安心してね」

「はじめましてっ……田見笑衣子ですっ……あの……どうしても小さな声で話すくせが付いてるんですけど、なるべく頑張ります……」


 そう言って田見さんは両手で三つ編みを掴んだ状態でバッ……と頭を下げた。

 お昼休みになって、俺と田見さんと明日海の三人で部室に集まった。

 基本的にアニメはパソコンで作っているので、部室で何か作ることはほぼない。

 アニメを作るソフトはかなり高いので、そこら中のパソコンに入れられるものじゃない。

 この部室を使うのは、学園祭や部活紹介の時とかに、PDFを作る程度だ。

 だからこうして話し合いに使う場所として活用されている。

 三人……そして家には清乃。四人いればかなりまともな物が作れるはず。やっとアニメ研究部本格始動だ!

 さっさと飯食おう。

 明日海はお昼ご飯をパカッと開いた。相変わらず品数が多い豪華なお弁当だ。

 俺はそれを見て、


「毎朝それ自分で作ってるの、スゴすぎるな」

「半分は今日の晩ご飯に使う物だし。この豚肉、夜は生姜焼きになるの。そうやって使い回してるだけ」

「すげーよ、マジで」

「もう私こうなったら胃袋で真広さんを捕まえるって決めたから! お昼のお弁当……いつも外で買ってるって言ってたから、それなら私が作ったの食べさせてあげたい。私ご飯作るの大好き……だって私が作ったご飯が真広さんの身体の中にはいって、真広さんを動かす力になるんだよ……私が作ったものが真広さんを作っていくの……」


 そう言って明日海は目を輝かせた。

 異物混入の予感……食べ物の中に明日海の遺伝子が含まれた何かを混在させそうで怖い……。

 そんなことを幼馴染み相手に想像してしまう俺が……イヤ俺は何も悪く無い。

 どう考えても明日海が変態すぎる。それをはじめて会った田見さんの前で言うなよ!

 田見さんドン引きでは……と田見さんを見たら、目が輝いていて、


「人間は60兆個、260種類の細胞で出来てるんですけど、好中球は3日、腸の粘膜細胞は2日程しか生きられないんです。細胞は、それぞれの寿命が来るとアポトーシスという自殺を自らしてるんです……そして栄養素を取り込んで新しい細胞を作っていく……だから星野さんが作った食事は二日程度で真広さんの身体になっています……」

「え~~~?! 二日で?! えっ……じゃあ四日前に私が作ったハンバーグは、もう真広さんの身体になってるってこと?」

「そうです。もう身体の一部になってます」

「やだ~~~! えっ……じゃあ二日ごとにご飯作らないと、私が作ったご飯で真広さんを生成できないってこと?」

「多ければ多いほど、人体形成の礎になりますね」

 

 田見さんは真剣な表情で明日海を見た。

 うん、ごめん、変態しかいなかった。

 俺は呆れながら、


「田見さん、それは何の本で読んだの?」

「読んだ本はすべて表紙を撮影して、言葉ログとしてノートに写真を張り付いています……これです……『アポトーシス: 細胞の生と死』……『あ』なので、先週読み終わったので、よく覚えています」

「え、なになに? 『あ』ってなに?」

「学校の図書館で『あ』から順番に読んでるんです」

「はあ~~~? 変態でしょ~~?」


 お前が言うな。

 でも明日海が「私には好きな人がいるから」と、ど頭から宣言してアホなことを言っているおかげで、一気に田見さんの表情が柔らかくなった。俺も食べさせられる異物混入が怖すぎるけど、それを遙かに上回る存在感……ガチで助かる。

 明日海はお弁当を食べながら、


「私、真広さんのこと……ちょっとガチすぎて……真広さんに引かれてるんだよね……」

「そんな……」

「でもね、弟の優真と一緒だと、真広さん超私に優しいの!」

「なるほど」

「だから部活ガチるのは良いけど、目的は五億パーセント真広さん。分かってる、分かってる、真広さんは15才に手を出すような男じゃない、そこもいい、それがいい、だから私はあと3年頑張って18になったら裸族になる」

「らっ……!! あはははっ……すいません……ちょっとあのっ……」

「あ、普通の声で笑った。声全然可愛いよ、大丈夫」

「!! ……ありがとうございますっ……」

「もう裸で布団に潜り込んで待つわ。さすがに抱くでしょ? JKが裸スタンバイ、抱かねえ男いねぇよなあ?!」

「っ……すいませんっ……もうあのっ……」


 田見さんが地声で楽しそうに笑ってるのは嬉しいけど、食欲が失せすぎてキツい。

 俺は「せめて飯を食い終わるまで黙れ!!」と叫んだ。

 兄貴の部屋も明日海もよく知ってるから、すぐに絵が浮かんできてキモいんだよ!! 田見さんは目の涙を抑えながら、


「動物性タンパク質は、90%以上身体に取り込まれるので……やはりお肉が一番人体形成されると思います」

「今日の晩ご飯生姜焼き~~。あーー、優真、今日も真広さんの家いこ」

「昨日行っただろ。兄貴の迷惑考えろよ、毎晩誰かが来たら落ち着かないだろ」

「じゃあさあ、毎週火曜日とか、金曜日、とか定期的に行きたいー。それが生きていく励みになる~~」

「兄貴に何曜日なら大丈夫か聞いておくよ。週イチ……多い気がするけど……」

「もう結婚っ……結婚したいっ……毎朝真広さん起こして朝ご飯食べさせてスーツ着てる所覗いて同じお弁当作って同じ時間に家で食べて、晩ご飯の買い物に子ども三人連れて行くみたいな生活したい!」

「妄想が濃い……」

「ふたつお弁当を作って、別の場所なのに、同じのを食べてるのは……エモいですね」

「でっしょ~~? 田見ちゃん分かってる~! 今これ食べてるかな? って考えるのが良いよね」

「長く一緒にいた夫婦は、同じものを食べているから嗜好が似て、離れた場所にいても、同じものを食べる……という本を読んだことがあります」

「素敵……!」

「嗜好は食事で作れるらしいので可能かと」


 明日海の妄想に理論武装で立ち向かうスタイル……すごいな田見さん。

 明日海はスマホを取りだして、


「私木曜日がいいな。金曜日は土日のための品出しがキツい。優真もでしょ?」

「そうだな、月曜日と、金曜日は絶対駄目だな。水曜が安パイか?」

「水曜は店も暇だし、水曜がいいな~~。真広さんに聞いて、今聞いて。はい今すぐ」

「うっぜええええ……」


 明日海に横に立たれて、俺はしぶしぶ兄貴にLINEを打った。

 明日海がスマホを見ながら、


「あっ……でも来週の水曜日は駄目だ。グループワークで出かけるんだった。優真の所も同じテーマ? 淡浜の?」

「そうそう。学年テーマなんだな。じゃあ再来週の水曜にしよう」

「遠いっ……真広さんが不足して死ぬっ……来週は木曜!」


 俺たちがギャーギャーとスケジュール調整していると、さっきまで元気に笑っていた田見さんがどんどん小さくなって完全にうつむいてしまった。

 俺は田見さんをみて、


「……大丈夫だよ。俺が一緒だから」

「え? なに?」

「グループワークに、生駒がいてさ……」

「襲われた?」

「さすがに女の子襲わないだろ……って言いたいけど、まあ別の意味で襲われた……かな。入学式初手で声のこと生駒に言われたらしい」

「ぐえー……あの子は言いそう。言動がキツんだよね。裏表が全くないという利点でもあるんだけど。グループワークわりとがっつり組まされるから大変だね……。でも優真が同じ班なら大丈夫だよ。優真マジでそういうことだけは頼りになるから。使いな、コレを」


 そういって明日海は田見さんの背中を撫でた。

 使いな……って。俺は明日海にとって何なんだ、マジで。

 田見さんは三つ編みを掴んでうつむいていたけど、コクンと頷いて、


「……最近、お昼がとっても楽しいので……ちゃんと……ちゃんと動けば、楽しいって分かってきたので……頑張ります!」

「いや、生駒はダンプカーみたいなものだから、頑張ると被害甚大、何もしなくてもぶつかってくるからさ、俺がなるべく生駒の相手するから、田見さんはその知識量で助けてくれると助かる」

「……はいっ!」


 そういって田見さんは顔を上げた。

 そしてお昼休みが終わって俺たちは部室を出た……ってあれー?!

 アニメの話が何も出来なかったどころか、今も明日海と田見さんは「何を食べさせたら人体が一番効率良く形成できるか」を話ながら歩いている。俺が作ったのは人体形成部だった……?

 アニメが……作りたい……です……。



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― 新着の感想 ―
 あなたはあなたが食べたものでできている。  味の素のCMでしたっけ?  全然おかしな意味じゃなく、愛情籠もったご飯を食べることは、健康にも精神安定にも寄与すると思うのです。  がんばれ明日美!  …
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