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ダンジョン1

今日も村の周辺を散策していたが、盗賊は少なく、今日も見つからなかった。そこで、今日は魔物狩りをしようと思う。

魔物は狩っても狩ってもすぐに湧いてくる。冒険者の父、アダムスに聞いた話だけど、魔物が減らないのは近くにダンジョンがあるからかもしれないって。

自然に生まれる場合もあれば、ダンジョンから漏れ出た場合もあるらしい。

そして、狩っても狩っても減らないのは、ダンジョンが近くにあり、魔物が漏れている可能性が高いとのこと。魔物がダンジョンから漏れると、ダンジョンブレイクの前触れとされるんだと。

ダンジョンブレイクは、魔物が容量を越えて一気に外へ放出される現象だ。数万匹の群れが放出され、周辺の村や町を襲う厄災となることもあるんだとか。

だから、見つかったダンジョンは攻略して崩壊させるか、冒険者ギルドに管理されることが一般的だけど、未発見のダンジョンも存在するんだということ。


「んで、いつものように散策するって言って出かけたら、まさか洞窟ダンジョンを見つけちゃうなんて、運が良いのかな?」


ゴブリンが棍棒を振り下ろしてきたのをすばやく避け、ゴブリンの足首に足を引っかけてゴブリンを転ばせながら、俺は呟く。


「本当に適当ですか?」


追加で現れたゴブリンの顔面にケイトが謎の薬品をぶっかけて対処している。薬品をかけられたゴブリンは顔を押さえて棍棒を落とし、転がっているところを、ケイトが拾った棍棒で滅多打ちにしている。


「本当に適当に歩いてたんだよ。」

(うわっ、可愛い顔してやってることがバイオレンス!)


「ええ、歩いていたのは認めますけど何か、解せないです。」


「はははっ、ケイトは解せないかぁ。」


転ばしてジタバタ暴れるゴブリンを踏みつけてトドメをさし、俺は笑った。


「しかし、このダンジョン何層まであるんだろうな?」


「そうですね。ヒロイックのダンジョンでは何百と層がありましたから同じぐらいでは?」


「いやいや、あれは運営の悪趣味でしょ。」


「運営?」


「あっ!……運営、ヒロイックの神々の悪趣味ってことだからこっちじゃそこまでダンジョンの階層がないかもよー。」


「なるほど、確かにヒロイックの神々は個性的でした。こちらに神がいるのかはわかりませんが、納得しました。」


ほっ、ケイトが素直で良かったぁ。


(ヒロイックの世界がゲームの世界とか言ってもたぶん信じないと思うけどあまりそう言うのは言わない方がいいよなぁ。)


「あ、次の階へ行く階段がありましたよ兄様。」


「おー、じゃあ次行こうか。休憩とか大丈夫かい?」


「この程度のゴブリンなんてよゆーです。」


「頼もしい~」


ちなみに、ゴブリンはこの世界の強さで言うと弱い部類の魔物である。一匹だけなら村人でも容易に勝ててしまうほどだ。しかし、ゴブリンは群れる魔物であり、規模が大きいと都市を壊滅させたことも過去にはあったそうだ。


「まぁ、今は俺たちには良い修行相手だよなぁ。」


下りの階段からゴブリンが飛び出てきて俺に攻撃してきた。

ゴブリンの攻撃を左右に避けて接近して右拳でゴブリンの顔を強打し、返す刀で左手の手刀でゴブリンの首を折る。

手に、生き物の骨を折る感触は正直いって気持ちの良いものではないが、やらなければこちらがヤられてしまうので仕方ない。


さて、次に行こう。


階段を降りると、前の階層よりも薄暗く、湿った空気が漂っていた。壁には苔が生え、遠くで水の滴る音が聞こえる。


「この階層は上の階層とちょっと雰囲気が違うな。気を引き締めていこうか。」


「はい、アダス兄様。」


ケイトが少し緊張した表情で頷く。


突然、奥から何かが動く音が聞こえた。

ゴブリンとは違う、重々しい足音だ。


「何でしょうか、今の音…」


「注意して進もう。ゴブリンとは違う何か大きなものがいるかもしれないぞ。」


慎重に進むと、前方に巨大な影が現れた。

そこに立っていたのは、筋肉隆々のオーガだった。

赤黒い肌に包まれたその体は、見るからに凶暴で、圧倒的な力を誇示している。

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