王都到着
王都への道中、風景を楽しみながら順調に進んでいたが、昼過ぎには空が曇り始め、雨が降り出した。雨が次第に強くなってきたため、仕方なく俺たちは途中の森で野宿することに決めた。
大きな木の下にテントを張り、その周りで焚き火を起こした。木の広がった枝が雨をしっかりと遮ってくれたおかげで、焚き火の周りは比較的乾燥しており、心地よい暖かさが広がっていた。簡単な料理を作りながら、サラは雨に濡れた髪を拭きながら、火を囲んで元気な声を上げた。
「アダス兄、お肉が焼けるまでちょっと遊んでくるにゃ!」
サラが小さな丘に登り、雨の中で楽しそうに跳ね回る姿が微笑ましかった。彼女が跳ねるたびに、雨粒がキラキラと輝き、まるで雨の中で舞っているようだった。
「サラのやつ、猫の癖に雨の中を楽しんでるなぁ。」
俺も焚き火の周りで温まりながら、ダニエルが手際よく食事の準備を進めていた。火の中で薪がパチパチと弾ける音が心地よく、雨の音と相まって、まるで自然のシンフォニーを聞いているようだ。
「雨の中でのキャンプも、たまにはいいもんですねぇ。」
「そうだな、こうして自然の中で過ごすのもなかなか悪くないな。」
夜が深まるにつれて雨は上がり、星空が顔を出した。焚き火の明かりの下で、俺たちは雑談をしながら、しばしの休息を楽しんだ。サラが星空を見上げて言った。
「今夜の星、すごく綺麗にゃあ。それに、お月さまが真ん丸で明るいにゃあ。」
「本当だな。明日は王都に着くから、今日はこのままのんびり過ごそう。」
その言葉通り、俺たちは星空と満月の下で静かな夜を過ごし、心地よい眠りについた。風に揺れる木の葉の音と、焚き火の微かな匂いが、夜の静けさを一層引き立てていた。
翌朝、早めに起床した俺たちは、晴れ渡る空の下で王都への道を歩き始めた。途中の風景が次第に変わり、王都の壮大な景色が視界に広がってきた。王都の城壁は高く、石造りでしっかりと築かれており、その上に重厚な塔がそびえていた。遠くからでもその存在感は圧倒的で、王都の繁栄を物語っていた。
王都の門に到着すると、その巨大な門は精巧に装飾されており、王家の紋章が彫られていた。門の周囲には衛兵が立ち、通行人に親しみやすい微笑みを浮かべていた。門をくぐると、広大な街並みが広がっていた。
王都の街路は広く、舗装された石畳が整然と並んでいた。高層の建物や華やかなショップが立ち並び、街は活気に満ちていた。市場では様々な品物が並び、色とりどりの布や食材、装飾品が目を引いた。街の中心には大きな広場があり、そこには噴水が設置され、周囲にはカフェやレストランが並んでいた。
広場の近くには壮麗な教会がそびえ立ち、その青色に輝く屋根は遠くからでも目立っていた。教会の周囲には美しい庭園が広がり、花々が咲き乱れていた。その庭園の中には池もあり、蓮の花が静かに浮かんでいた。
歩いていたら、遠目だが城が見えた。複数の尖塔がそびえ立ち、白い石と金色の装飾が太陽の光を受けて輝いていた。尖塔の上には、風にたなびく旗がひらひらと揺れ、王都の威厳を一層引き立てているようだ。遠くからでも、城の壁には精緻な彫刻や紋章が施されているのがわかり、その壮麗さと歴史の深さを感じさせた。
ダニエルが宿の場所を案内し、宿に到着すると、宿の主人が笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。熊腕亭へようこそ。」
宿の主人が部屋を準備し、荷物を置いた後、食堂へ向かうと、そこでは吟遊詩人が演奏をしていた。楽しい音楽と共に、美味しい料理が提供され、リラックスするひとときを楽しんだ。暖かい光が差し込む食堂で、俺たちは美味しい料理と楽しい音楽に包まれながら、素晴らしい夜を満喫した。
サラは民謡のリズムに合わせて体を揺らしながら、楽しい時間を過ごしていた。ダニエルが王都の美味しい料理を勧める中、俺たちは心地よいひとときを楽しんでいた。




