俺の名前はアダス
それからさらに数ヶ月が経ち、俺はハイハイで動けるようになり、ようやく自分の状況を確認する余裕ができた。
まず、俺の名前はアダス。 アダス・ラズロ。
父親は、アダムス・ラズロ。
母親は、ルミナス・ラズロ。
そして俺は、この2人の息子らしい。
そして、俺の家だが、どうやら村の中でも裕福の方らしい。 豪族ってやつか?
父親は村一番の力持ちであり冒険者で、母親は主婦をしているが薬草の知識や魔法を使える魔法使い。
「あぅー」
俺はいま揺り籠に寝かされている。
そして、ある試みをしようとしている。
そう、ステータスの確認だ。
ゲームの世界ではないが、俺はヒロオンのキャラクターで転生したんだからゲームと同じステータスのパネルが出てくるかも知れない! ステータスが確認できたら今後どう過ごすか決まってくだろう。
「あうばーぶ!」
俺はそう願いながらステータスがパネル表示されるのを待った。
……だが、何も起こらない。
「あぅー」
ステータスがパネル表示されるのを待ったが、何も起こらない。
「あぅー」
ステータスがパネル表示されるのを待ったが、何も起こらない。
……まぁ、そう都合よくはいかないよな。
(ステータスの確認はまた今度だな)
俺は揺り籠から見える天井を眺めながらそう思った。
……だが!俺はまだ諦めない! いつか必ず確認してみせるぞ! ステータスがダメなら
「ばぶぅあ!」(ウィンドウ!)
俺の目の前に、半透明のパネルが現れる。 やった!出た! こっちじゃウィンドウなのか!
俺は興奮しながらも自分のウィンドウを確認した。
名 前:アダス・ラズロ
年 齢:1歳
レベル:0
性 別:男
種 族:人間族(異世界人)
職 業:なし
体 力 :30/30(4386)
魔 力:5/5(1246)
物理攻撃力:6(679)
魔法攻撃力:3(230)
物理防御力:5(338)
魔法防御力:3(344)
命中率:4(230)
敏捷力:10(888)
攻撃速度:20(6485)
魔法速度:8(612)
お、おう。 どういうことってばよ。 カッコのステータスがゲームと同じなのは良いとして、赤ん坊の能力こんな高くてヤバくない?
(まぁ、考えてもわからないし、とりあえず放置で良いかぁ。 俺、赤ちゃんだし)
俺はそう結論付け、ウィンドウを閉じた。
……さてと! そろそろおむつ替えの時間だな! おむつを替えられるのはもう慣れたぜ! バチ来いママん!!
「あぶぅー!」
俺はそう叫びつつ、揺り篭から見える天井を眺めていた。
それからさらに数ヶ月経った。
「あらぁ、アダスちゃん。私の魔法書なんてどこから持ち出したのかしら?」
おむつを替えようと俺を揺り篭から持ち上げた母親は、俺が持っていた魔法書を見てそう言った。
「あぶぅー」(なんだそのことか)
俺は赤ん坊である自分の現状に慣れてきたので、行動範囲を広げることにした。 ハイハイで家の色んな場所を探索していたのだが、ある部屋に入った時、本棚に並べられていた魔法書に興味を持ったのだ。 そして、この魔法書は母親の物らしい。 だから、ちょっと借りて読んでみたのだが……全くもって解らなかった。
だって、文字が読めなかったんだもん。 よし、今後の方針として喋れることと文字を覚えることを優先しよう。
「アダスちゃんには魔法書はまだ早いわね。 でも、魔法書に興味を持ったなら将来有望ね♪」
「あぶぅー!」
ふふ、ママんよ。 魔法書を手に取ったのは俺の気まぐれなのさ。 俺の将来はもう決まってるぞ! 俺は素早さ特化の冒険者になるのだ!
「あぶぅー!」
俺はそう叫びつつ、揺り篭から見える天井を眺めていた。