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ギルド長

「まずは自己紹介からしよう。私はギルド長のラクサだ。」


ギルド長ラクサの声は、力強くも落ち着いた響きを持っていた。逞しい体格と傷痕のある顔が、その威厳をさらに引き立てている。


「私は受付嬢のエバです。よろしくお願いいたします。」


エバは柔らかい笑顔を浮かべながらも、その背後にはしっかりとした信念が感じられた。


「俺はアダスで、こちらはサラです。よろしくお願いします。」


「サラだにゃ。」


俺とサラが簡単に挨拶を済ませると、ギルド長が話を切り出した。ラクサの鋭い視線と、傷痕が刻まれた顔が、その言葉に重みを加えていた。


「さて、早速本題に入ろう。まずはEランク冒険者アダス、お前について調べさせてもらった。」


ラクサが手元の資料をめくりながら、言葉を続けた。


「お前がCランクの依頼を解決した件について、いくつか確認したいことがある。」


ラクサは書類から目を上げ、厳しい表情で続けた。その眼差しは、まるで真実を引き出すかのようだった。


「まず、お前の依頼達成についての詳細を教えてもらいたい。どのような経緯で依頼を完了したのか、具体的に説明してもらえるか?」


「わかりました。」


俺は頷きながら、詳細に説明を始めた。生まれ故郷のノルグリム村を出て、商人が盗賊たちに襲われた所を救い、討伐をした経緯を詳しく話した。盗賊たちを退治した後、このエルダ村に来て1泊し、ギルドに向かったこと。新しい依頼を受けようとしたところ、討伐した盗賊たちの依頼が出ていないかを確認し、盗賊たちがCランクの討伐依頼に該当することを……


話を聞いている間、ラクサは鋭いまなざしで俺たちを見つめ続けていたが、やがて納得したように大きくうなずいた。彼の顔に刻まれた傷痕が、その表情に深い歴史を物語っていた。


「なるほど……依頼達成に間違いはないようだな。Cランクの依頼をこなせるなら、ランクを上げた方がいいだろう。」


ラクサの言葉に、俺は少し驚いた。こんなに簡単にランクが上げられるのか?


「それでは、Eランク冒険者アダスのランクを見直しとして、正式にCランクへ昇格させる準備を進める。ギルド内で確認を行った上で、Cランク昇格試験の手続きを進めることにする。」


ラクサは真剣な表情で続けた。その言葉には重みがあり、試験がただの形式ではないことが伝わってきた。


「EランクがいきなりCランクになるのはギルド長である俺が職権乱用だとみなされかねないからな。だが、過去には低ランクが飛び級した例もある。それに習ってアダスにはCランク昇格試験を受けてもらうことにする。」


「あ、はいわかりました。それで、試験はいつ受けることに?」


「そうだな、試験は迅速に済ませたい、明日の午前中にどうだ。試験内容は、Cランクの依頼に相当する魔物討伐をしてもらおう。アダスの仲間であるCランク冒険者サラのサポートは無しで、アダス一人で挑戦することが条件だ。」


ギルド長の言葉に、俺は覚悟を決めた。


「わかりました。試験に備えて準備を整えます。」


「アダス兄なら余裕だにゃ。」


サラは自信満々に言った。


「話は以上だ。明日の試験に向けて準備するといい。」


ラクサは軽く手を振り、部屋の外へ出るように促す。


「わかりました。ありがとうございます。」


俺は深く礼をし、サラと共に部屋を出た。


アダスとサラが部屋を出た後、ギルド長ラクサと受付嬢エバは静かに会話を始めた。ラクサの表情には、幾分の憂慮が見え隠れしていた。


「さてエバ、ギルド前でアダスに絡んでいた自称Bランク冒険者たちについて、どうするか決めないといけないな。」


エバが頷きながら答えた。


「はい、ギルド長。あの人たちの態度は以前から問題があったことが調べでわかっています。特にBランクとは言ってますが、実際の能力はCランクあるかも怪しいところです。」


ラクサは深く息を吐いた。その顔には厳しい決断を下す覚悟が感じられた。


「はぁ、ランク詐称か。処罰としては、まずその自称Bランク冒険者のランクをCランク、いやDランクまで下げてから、一定期間ギルドからの活動を停止させるのが適切だな。当然、そいつのパーティーも同様に処罰しよう。」


「それが良いかと思います。加えて、他の冒険者たちにも、このような行動が許されないことを再度周知させる必要がありますね。」


「その通りだ。冒険者たちには、ギルドの規則とマナーを守るように徹底させるべきだ。さっそく掲示板に告知を出し、全員にその旨を伝えよう。」


ラクサとエバは、処罰の手続きと周知活動を進めるための具体的な手配を始めた。ギルド内の混乱を最小限に抑え、アダスの試験が円滑に進むようにするための準備が整えられた。

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