猫耳娘参上!
しばらく進むと、道の先に女性の姿が見えた。彼女は遠くから戦闘の様子を見ていたようで、こちらに近づいてきた。
「すごい戦いぶりだったにゃあ。ウチはサラ。アンタたちと同じくエルダ村に向かっているにゃ。よかったら一緒………ってアダス兄?」
「ん、んん?」
サラの見た目は濃い灰色の髪に猫耳。
イタズラ好きそうな琥珀色の瞳は驚きに開いている。
「あー、お前サラか。お前もこっちに来てたか。」
この猫耳少女の名はサラ。
サラはケイトと同じヒロイックオンラインで俺が作製したサブキャラクターの1人。
器用さと改心率をメインに育て上げたキャラクターで狙撃手である。
サラは色々な武器を使いこなすことができ、弓矢や銃なんかも使える。
「アダス兄も赤ちゃんからにゃ?」
「ああ、そうだ。ケイトもいたぞ。」
「ケイト姉も!て、ことは兄妹達もみんないるのかにゃ!?」
「かもな、俺はその可能性を感じてみんなを探す旅をしてるよ。ケイトは未成年だから村に置いてきたけどな。」
「ケイト姉、いにゃいのかぁ。ウチは村にいる母ちゃんがうるさいから家出して、てきとーにブラブラしてたからにゃあ。よし、皆に会いたいしアダス兄についてくにゃ。」
「家出って、なかなかだなサラ。」
「照れるにゃ。」
照れるなよとツッコミたいが、あえて反応しない。
「さてさて、お二人の話は終わりましたかな?そろそろお腹がすくと思いまして、ここらでご飯にしませんかな?」
商人のオッサン、「ごほん、私の名前はダニエルです」とダニエルが声をかけてきた。
「そうだな。道中も長そうだし、腹ごしらえをしておくか。ダニエルのオッサン、ここらにいい場所あるのかい?」
「オッサン……はぁ、ありますよ。この先に小さな休憩所があります。そこで一息つきましょう。」
俺たちはダニエルに案内され、道沿いの休憩所へ向かった。到着すると、ダニエルは荷馬車から食料を取り出し、調理してくれて簡単な食事を用意してくれた。
「どうぞ、趣味で料理をしてるんですが、お口に合うと嬉しいです。」
「お、ありがとう。いただきます。」
「お腹ペコペコだったにゃあ。ありがとう!!」
サラと俺は、ダニエルが用意してくれた食事を楽しみながら休憩を取った。食事中、サラは自分の旅の話をしてくれた。
ちなみにどんな料理かと言うと、オークの豚汁だ。旅商人をしてるダニエルが、東方に出稼ぎに行ってるときに覚えたとのことだ。
俺もいつか、東方へ旅に出るのもいいかもな。
「ウチは家を出てから、いろんな村を回ってきたにゃ。そこで色々な人に会ったり、助けたりしてきたにゃ。」
「そうか、お前も頑張ってるんだな。俺は今回で初旅だから頼りにしてるぞー。」
「うにゃあ、任せるにゃ!アダス兄は強いし、ウチも心強いにゃ。」
食事を終えた後、俺たちは再びエルダ村を目指して歩き始めた。道中、ダニエルは自分の旅や商売の話をしてくれたり、サラは道中で弓を使った狩りを披露してくれたりして、旅は順調に進んだ。
「さて、そろそろエルダ村に着きますよ。」
ダニエルの言葉に前方を見ると、村が見えてきた。
「あれがエルダ村か。へぇ、道の分岐点にある村だけあって栄えてるな。」
エルダ村は、交通の要所として知られる村で、中心には市場があり、交流のある他所の村から出稼ぎに売っている特産品や手作りの品々が並んでいる。見た感じ、ここの住人は温かく、商人たちが頻繁に訪れるため、活気があるのが感じられる。
俺たちはエルダ村、南門の入口にたどり着き、ダニエルと別れた。
「アダスさん、サラさん、ご縁があればまたお会いしましょう!」
「ああ、じゃあな!オッサン!」
「またにゃー!!」
こうして俺はエルダ村に足を踏み入れたのだった……。
エルダ村の門をくぐり抜けると、賑やかな市場の雰囲気が広がっていた。商人たちの声や、客のやり取りが耳に心地よく響く。アダスとサラは市場を横目に、まず宿に向かうことにした。




