成人式を迎えます
次の日、俺は起床して部屋を出ようとしたが、とある事件が起きて硬直していた。なんと、ドアノブを握りつぶしてしまったのだ。
「な、なんじゃこりゃぁぁっ!?」
驚愕したが、慌ててドアノブから手を放し、自分の手のひらを見る。
「え? どういうこと?」
それから慌てた俺は、部屋中の物を次々と壊してしまった後、ようやく冷静になり始めた。自分がいつもと違う力を持っていることに気付いた俺は、試しに『ウィンドウ』を唱えて自分のステータスを開いて見ることにした。
「なんだこれ?」
名前:アダス・ラズロ
年齢:16歳
レベル:35
性別:男
種族:人間族(異世界人)
職業:なし
体力:4786/4786
魔力:1336/1336
物理攻撃力:829
魔法攻撃力:280
物理防御力:438
魔法防御力:434
命中率:350
敏捷力:1288
攻撃速度:7185
魔法速度:692
称号:【韋駄天】
画面に表示されたステータスを見て、俺は驚愕した。体力、魔力、攻撃力、防御力……全てが昨日までとは桁違いに強化されている。さらに、命中率や敏捷力、攻撃速度、魔法速度も驚くほどの数値になっていた。
ちなみに、前日見たときのステータスが以下の通りだ。
名前:アダス・ラズロ
年齢:15歳
レベル:35
性別:男
種族:人間族(異世界人)
職業:なし
体力:400/400 ( 4386)
魔力:90/90 (1246)
物理攻撃力:150 (679)
魔法攻撃力:50 (230)
物理防御力:100 (338)
魔法防御力:90 (344)
命中率:120 (230)
敏捷力:400 (888)
攻撃速度:700 (6485)
魔法速度:80 (612)
頑張って、子供の頃に見つけたあの森のダンジョンで修行し、レベルを上げた結果、朝見たステータスがその数値を上回り、知らぬ間に称号【韋駄天】が付与されていた。いや、称号はかっこいいからいいんだけどさ。
「これって……前世の、ヒロイックオンラインのアダスのステータスが今の俺に統合されたってことだよな?」
俺は少し考えたが、さっぱり分からない。ステータスの数値もとんでもないことになっているし、このことについては今後の様子を見ようと思う。
「とにかく今日は成人式だし、準備をしなきゃな。」
俺はぎこちない動きで着替えを済ませ、朝食をとりにリビングに向かった。
「アダス、おはよう!昨日はよく眠れた?」
「うん、母さん。おかげさまでぐっすりだよ!」
「おはよう、アダス。もう準備は済んでいるわ。」
両親と軽く挨拶を交わし、俺は席についた。
「今日は成人式ね!アダスもついに大人の仲間入りかぁ……なんだか寂しいわね!」
「いや、母さん。まだ俺は16歳だよ?」
俺が突っ込むと、母ルミナスは笑った。
「そうねぇ、でもアダスはもう立派な青年よ。それに……」
母さんは急に真剣な顔になり、俺の目をまっすぐ見て言った。
「成人したら、あなたはこの家を出ていくの?」
「おおー、良く気づいたね母さん。俺はさ、旅に出ようかと思ってるんだ。」
「そう。なら、アダス。成人式が終わったら私達から話があるの。」
母さんはそう言うと立ち上がり、キッチンに向かった。俺はその後ろ姿を見ながら、何か大事な話をされるんだろうなとぼんやり思った。
ちなみに、父アダムスは黙ってお茶を飲んでいた。
朝食後、俺は徒歩で祭壇がある教会へ向かった。




