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16歳になります

俺とケイトがダンジョンで激闘してから数年が経った。

俺は15歳、いや、今日の夜で16歳になる。

自分でも言うが、立派な青年になったと思うよ。


自室の鏡を見ると、そこにはヒロイックオンラインゲーム、略してヒロオンで俺がメインに使っていたキャラクターのアダスが映っていた。

幼い頃から何度もこの姿を見てきたが、今ではこの姿が自分自身の一部だと思えるようになっていた。

過去に何度も苦しい戦いを乗り越えてきたアダス。その姿は、俺の成長の象徴でもある。


「いやぁ、こう見るとイケメンだなぁ、俺」


「アダス兄様。」


「うおわぁっ!?」


突然後ろから声をかけられて、俺は思わず飛び上がった。心臓がバクバクして、冷や汗が流れた。


「け、ケイト?いつの間に!?」


俺は背中に冷たい視線を感じて、ゆっくりと振り返った。そこには、幼馴染みであり、ヒロオンで俺がサブキャラクターとして使っていたケイトが立っていた。

彼女は今年で15歳になる。俺より1つ年下で、兄と慕ってくれる可愛い妹分だ。


「すみません、アダス兄様。ノックしたのですが反応がありませんでしたので……それより兄様、明日でついに成人ですね。」


「あ、ああ、そうだな。」


今晩で俺は16歳になり、明日の朝には成人になる。この世界では16歳から一応、成人として認められる。結婚もできるし、都会で仕事にもつけるようになる。


夕方になると、家は祝祭の準備で賑わい始めた。ケイトの家族が来てくれた。


俺はリビングに入ると、すでにケイトとケイトの両親が来ていた。みんな笑顔で俺を迎えてくれた。


「「アダス君、おめでとう!」」


ケイトの両親が祝ってくれた。


「ありがとう、ございます。」


幼児の時からの家族ぐるみの付き合いだが、俺は少し照れながらも礼を言った。


パーティーが始まると、笑い声や会話が絶えなかった。俺はケイトと一緒に食事を楽しみながら、心の中でこの瞬間が永遠に続けばいいのにと思った。


「アダス兄様、本当に成人になるんですね。」


ケイトがしみじみと言った。


「ああ、なんだか実感が湧かないけどな。」


「でも、兄様ならきっと素敵な大人になると思います。」


ケイトの言葉に、俺は心の中で苦笑いした。

だって、成人式は二回目になるのだ。俺は前世では30歳だったので今日の夜で今世の年齢と合わせて46歳となる……オッサンだなぁ。


「そうか、もうそんな時期か。ケイト、覚えてるか?あのダンジョンでの激闘。あれがつい昨日のことのように感じるよ。」


ケイトは少し微笑んで、


「もちろん覚えています。アダス兄様の勇姿は決して忘れません。」


と答えた。


わいわいと騒いでいたがやがて夜が更け、パーティーも終わりに近づく頃、俺は一人で庭に出た。

夜空には無数の星が輝いている。今世で16歳になった俺は世界へ旅立てる権利を得た。

ケイト以外にも俺の作ったヒロイックオンラインのサブキャラクター達がこの世界にいるなら探し出してやる。ついでに、この世界を謳歌してやる!

そう、俺は心の中で決意を新たにした。


俺は転生者としての記憶が赤ん坊の頃からずっとあった。前世の日本では、こんなに暖かい家族や友人に囲まれていることはなかったかもしれない。世界を謳歌するついでに両親に孝行もしないとな。


「いったい誰が何のために俺をこの世界に転生させたかわからねぇけど、たのしませてもらうぞ。」


パーティーも終わり全てが寝静まってる頃、ベッドで寝ているアダスの頭上にステータス画面と似た青白い半透明のパネルが現れた。


『ーーー器の成長を確認しました。凍結したユーザーのステータスを解放し、現在のステータスと統合します。』


『ーーーステータスの一部が偉業に達したのを描くに新島舌のでユーザーに、称号【韋駄天】が与えられます。』


「うむにゃ、むにゃ……謳歌してやるぅ……」


自分の身に何が起こったかも知らず、アダスは未来へと夢見るのであった。

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