エレベーターの安定性と制御技術
もしもし
「はい、こんばんは」
聞こえますか?
「ええ、聞こえています」
よかったです。今日はどんな日でしたか?
「今日は、仕事でした」
平日ですもんね、お疲れ様です~
「あっ、ありがとうございます。お兄さんもお仕事でしたか?」
いえ、僕は授業でした。いま大学帰りなんですよ
「おお、学生さんでしたか。若いですね」
若い、ですか、そうかもしれませんね。若くて未熟です。
「なに勉強してるんですか?」
あー。まだ特定の分野には特化してなくて、教養みたいなことしてます
「そっか大学生が専門決めるのって最後の方だったよね。そうだった気がする」
逆にお兄さんはどんな仕事なんですか?
「おれはねー。エンジニアなんだけど、うーん、エンジニアっていくつか種類があって、、うまく説明したいな。フロートってわかる?」
コーヒーにアイスが乗っている……
「それはコーヒーフロート。浮いているって意味ではあってるんだけどね。洋上の風力発電とか見たことない?」
ああ、わかりました。そのフロートですか。建設なさってるってことですか
「いや、ちょい違う。エンジニアって言っただろう。高いもの作ってると重心が揺れるんだよね。それを計測して計算して適切な位置を取るって言うメカニズムを作ってる」
それ……。それは、すごくないですか?
「いや、ありがとう」
お世話になっております
「いや、世話してないとおもうよ」
いいんです。ハンバーガーショップの人と通話したら、その人が働いている店舗じゃなくてもハンバーガー買ったことあったらお礼を言っています。巡り巡ってお世話になってたらそういうことにしてるんです。
「そうか、まだ巡ってもないかもな。おれが作ってるの、風力発電用じゃないもん」
そうなんですか
「実はね、宇宙エレベーター用なんだよね、知ってる? 軌道エレベーターとも言うんだけど」