1.カズは時々夢を見る-もしも時間が遡れたなら-
全44話予定です
読んでくださって本当にありがとうございます!
レイドライバー 1から6 を読んでいない方は、お手数ですがそちらをお読みになってから今作をお読みください(前作からの続きものになります)
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https://mypage.syosetu.com/2478453/
実は、もう一つの並行世界線という事で、ヒューマンシリーズという作品群を寄稿しています(全て完結済みです)
もしよければこちらも読んで頂けるととても嬉しいです!
ヒューマン 1 -繰り返される事件と繰り返す時間遡行-
https://ncode.syosetu.com/n2996hx/
ヒューマン 2 -再び繰り返される事件と再び繰り返す時間遡行-
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【R-18】ヒューマン 3 -時間遡行によってもたらされたものは-(これだけR-18なので作者ページに載っていません)
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曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップする予定です(例外あり)
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1話が大体1500文字前後ですので読み足りないかもしれませんが、スキマ時間にでも!
カズは時々夢を見る。
それは自分が時間を遡って過去の自分の行動や周りの状況を変える、その代わりに記憶を対価として失う、そんな夢である。
――もしかしたら別の自分がそんな体験をしているのかもな。
カズはSFのようなオカルトのようなものは否定しない派である。オカルト、と一言でいっても千差万別である。それは、たまたま現在の科学で解明できていないから[オカルト]と呼ばれているだけで、もし解析方法があればそれはオカルトではなくなる、というのが彼の意見だ。
カズの研究だってそうだ。
はじめは誰もこんなにしなやかに動くロボットを、それも人が乗って操縦するロボットなどは誰も考えもつかなかった。あるとすればそんなのはアニメやコミックの世界だけの話だったのだ。それが、カズが研究に従事するようになるタイミングで技術が飛躍的に伸びていったのだ。
それは、カズの功績ももちろんあるが、他の人たち、それも周りにいた人物の功績も大きく関係している。
天野千歳という、カズの最愛の、爆発事故が原因で生き残るためとはいえコアユニット化されて、カズとは二度と意思疎通が出来ない女性と、襟坂恵美という自ら進んでカズの乗る機体の[チトセ]の乗る機体のサブプロセッサーになった女性と。
もちろんその他の人間の功績も大きく寄与しているのは事実なのだが、この三人の技術が基礎になっているのもまた事実である。そしてカズは、現在その研究所の所長をしている。
――もしも時間が遡れたなら、千歳を[チトセ]にしなくて済んだのに。
そう悔やむ事が多かったし、今でもよく夢で彼女と平穏な日々を暮らしている夢を見る事がある。
だが、現実はチトセとは生きてそこにいるのに、一生かかっても話が出来ないでいる。コックピットにカズが入れば、ほんの数十センチ先にチトセは確かに存在しているのに、だ。
現在は[ゼロゼロ]と呼ばれるようになった恵美だけがチトセとの意思疎通を許可されている。だが、それも外部にアウトプットは出来ない。それは、レイドライバーの第一世代を運用するにあたっての絶対の決まり事になった。
千歳が生み出した研究成果よりも政府は規則を徹底させたのだ。
――オレはいつになったら解放されるんだろうか。
とも考える。
それはカズが自身にした施術の事である。
レイドライバーのパイロットは女性でなければならない。それは子宮という独特の器官から出る信号、世の中では[第六感]などと呼ばれるそれを相互で行き来させる為だ。もちろん、操縦はパイロット自身が行うのだが、そういう独特のシステムで構成されている。
第一世代であるカズの機体にはチトセが乗っている。そして彼女とのリンクを構築するのにパイロットにも子宮が必要なのだ。それも近親者の。
そこで、カズはチトセとの[子供]を、いや[子供の部品]を身体に埋め込んでいる。それを介してコアユニットであるチトセと接続しているのだ。
だが、これは相当にリスキーなものになる。
言うまでもなくそれは拒絶反応である。半分は自分の細胞とはいえ、もう半分はチトセの遺伝子だ、拒絶反応が出てもおかしくない。
それを抑え込む画期的な方法。それが恵美の開発したクスリである。これを使用すると外部から移植された臓器に対して拒絶反応をほぼ抑え込む、という画期的なものなのだ。
これが普及すれば臓器移植の世界に革新の風が吹く事は間違いない、と言いたいところなのだが、重大な副作用がある。
それは、投与された人の寿命を削ってしまうというものなのだ。
免疫機構に作用して、目的のものの反応を抑える。が、その代わり細胞のアポトーシスを誘導してしまうのだ。
アポトーシス、つまり細胞の自殺、それは寿命とも密接に関係している。これは通常の細胞でも起こる日常的なものなのだが、このクスリはそれを身体全体でかなり早めてしまうのである。現段階ではカズの余命がどのくらいあるかは性格には不明だが、減少速度からして[そんなに長くはない]とされている。
――出来ればその前には。
退役して、チトセを[千歳]に戻してあげたい、そう考えている。出来れば二人で余命を過ごしたい、と。だが、コアユニットのスーツは一度着ると皮膚と融合して離れなくなり、皮膚の一部になる。だから爆発事故で大やけどを負った千歳を助ける事が出来たのだが、その代わり、彼女はもう自分の躰で外を歩くことが出来ないのだ。
ではどうするか。
そこで、恵美がくれた贈り物がある。それは襟坂恵美本人の、脳以外の体だ。
現在は冷凍保存されている。
[千歳ちゃんに必要になったら使って]そう恵美は言い残して、サブプロセッサーになったのだ。その体に千歳の脳を移植して、例のクスリを使えば、あるいは数年くらいは一緒にいられるだろう。
だが、それより先にカズの寿命が来ることも考えられる。
では自分の機体に誰か別のパイロットを乗せるか?
答えは言うまでもなかろう、チトセの乗る機体だ、絶対に人には譲りたくない。
――オレはこれからどうすればいい?
自問するが、自答はいつも帰って来ないのである。
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