6話 ぶらりぶらり
今、俺の手には鑑定書が4枚ある。
しかしどれの紙にも鑑定不能の文字が記されている。
「………その紙、絶対誰にも見せないでくださいぃ〜じゃないと名物が〜!!!」
腰が引けたのか腰をプルプルとさせている彼女は半泣きになりながら俺に抱きついてせがんできた。
なんだか申し訳なくなってしまったので、了承しギルドから立ち去った
もらった鑑定書はスカートにポケットがついていたので折り畳んでポケットにしまおう。
「……それにしても俺の転生特典、どんな能力だろ」
まず生き返るというのがひとつだろ?多分まだあるはずだ。ワクワクが止まらないなこれ。
することも無くなったので、取り敢えず空を見た時に見えたあの高い塔を目指すことにした。
さて、俺は今ワンピースを着ているわけだがロングなため普通に歩きづらい。世の中の女性ってこんなに大変なものを着てるんだな。段差を上がるときに邪魔だし、太ももあたりに風が吹き込んで少し寒い
靴は厚底で身長を少し誤魔化せてるかな?誤差だけど…
厚底のお陰で助かっているところもある。靴の技術が良いのか底の素材は柔らかく、昨日全力で走っていても足に負担はかからなかった。
そうそう、道についてなんだが街の中心部は石造りなのに、街の中心から離れていくにつれ土の道に変わってくるのだ。予算不足かな?幸い、自宅の前の地面は石造りだったので安心だ。
高い塔は街の中心部にあったようで,住宅街から一転、大きな開けた道に出た。街の中心部の広場には大きな窪みがあり、窪みの下までは階段で行くことができるようだ。
階段を下ると階段に隣接してより大きい段差があり、恐らくそこは座席だろう。
窪みの中心では単独ライブが行われていたが,座席は閑散としていた
…いや、正確にはおっちゃんたちの昼寝スポット…か。最初から最後までポエム的な歌詞ばかり歌っていて聞いていたこっちまで恥ずかしくなってきたぞ…!
ちょっとここにはいれんわ。帰ります。まぁ彼には頑張って欲しいつもりです
どてっ
「あいたっ…」
…べ…別に階段登る時にスカート盛大に踏んで転んでなんかねーし?あっ、てか「あっ」とか言って歌止めてるんじゃないよお兄さん!プロ意識持ってよ!うわぁそのせいで昼寝してたおっちゃんたちこっち見てくんじゃん!
その場から逃走を図ろうとしたが、
またもやスカートに足を引っ掛けて転んだ。
…もう何も言わずに全力で早歩きをしながらツカツカとその場から逃げるように去った。
そのまま俯きながら体の動くがままに進んでいたところ、いきなり話しかけられた。
「…おい、こっから先は魔樹海だ。嬢ちゃんのようなやつが入っていい場所なんかじゃねーよ。帰んな」
「…あなた誰です」
いつになくテンションが低かったため、ドスの効いた声を発してしまった。
「別に誰だって良いだろ。俺は名乗るほどでもねぇしがねぇ冒険者よ。俺んことはどーでもいんだよ。ほら、帰んな」
魔樹海…ねぇ…
少し、いや、とてつもなく興味をそそる言葉が出てきた俺はもう気分が天元突破しそうなほど良くなっていた。
「すみません」と一瞥し、その場から去った…ように見せかけて曲がり角の物陰でその冒険者が消えるまで隠れた。
冒険者のおっさんがいなくなるのを見届け、そしてそのまま魔樹海とやらに足を踏み入れ、その先へと奥へと入っていった。
鬱蒼とした森はみるみる暗くなってゆき、足を踏み入れたことに少し後悔して引き下がろうかと迷ったが、もはや選択肢は奥へと行く道一択しか俺の心の中にはなく,森の魅力に引き込まれていった。
子供は探索が好きだと言うが,俺の人格はこの体に引っ張られているのだろうか。いや、今はそんなのどうでも良い,また後で考えても良い話だろう。
どれぐらい歩いただろうか、疲れが見えてきたため、少しの休憩をとそこら辺のずっしりしていそうな木に腰をかけた。
「ん?なんだこれ」
なにか、透明感のある海にような深い青のような、またもや明るい青のような、表現が難しいけどつい魅入ってしまう石が転がっているのを見つけた。試しに拾ってみると先端が鋭く、子供の手のひらサイズでポケットに入りそうだったので取り敢えずポケットに突っ込んでおいた
グルルル…
歩みを再開して、しばらく歩いていると、凶暴な動物が出すような音が背後から聞こえてきた。
おそーるおそる背後を振り向くといた。
遠くにこちらを見ながら牙を立てている熊が
全力で走った。
グアァァァ!!!
それに合わせるようにドッサドッサと大地を揺らすような音を立てながらこちらに向かってきた。
ひぇ〜
これまた死ぬとまじで思った。
音がどんどん迫って来てもう真近まで迫ったとき、
ピタッ…っとその走る音は止まった。
音が止まったため思わず振り向くと熊はまるで舌打ちをするかのような態度でノッシノッシと帰っていった。
???
顔に滴る汗を拭いつつなぜ帰ったか辺りを見渡すと、一つの方向にチラチラと明かりが見える。
もう帰りたい。もしかしたらこの森から出られるかもしれない。
そう思って疲れた体に鞭打って明かりに方向に向かった
そしてその明かりへ抜け出し、開けた場所に出ると、
そこに待ち受けていたのは…!!!