5話 名はリュウカ
「おはようございます〜何かお探しですか?」
酒場の空気に気圧されていると不意に声をかけられた。
彼女はメガネをかけていて髪型はショートボブ。もはやテンプレになりつつある受付嬢のイメージをそのまま持ってきたような格好をしていた。
「あの、ここはいったい…」
まだギルドとは決めきれないと思っていたから、この人に聞くことに決めた
「あら初めて来られたのですね!歓迎いたします、ここは酒場と交換所を保有している国立ギルドとなっております」
やはりここはギルドで正解のようだ。国立と言っているからに推測すると、おそらくこの世界には国境が存在しそれぞれを地球と同じように国と言い表していることがわかる。さらに国の運営する企業をわざわざ宣言するということは私営の企業もあるはずだから今いるこの国は共産主義的な体制をとっていないことがわかる。
酒場…は傍においといて、交換所とはなんだろうか。気になる
「交換所…ですか?」
「はい、冒険者が収取したものをカマネと交換する場所です。当店は交換所の中にある、あるものを1番の強みとして謳っているんですよ」
「そうなんですね」
「そうなんですよ。ちなみにそれは鑑定なんですけど…」
自分で言うんかい
「今誰もいないので鑑定…してみませんか?」
「…ちょっと興味あるかも…」
「ではやっちゃいましょう!ギザの部屋でやりましょう」
「ギ…ザ…?」
ギザってなんだ?ギルド専門用語?
「えっ…知らないんですか!?あわわ、未就学児だったんですね…」
彼女は心底驚いた表情を見せ、小さな声でそう呟いた。
「ま、ま、取り敢えずあちらの奥のところで鑑定しましょう」
そう言うと、俺はギルドの建物の入り口から見て右側の1番奥の部屋に案内され、席に通された。
どうやら鑑定は彼女がやってくれるそうで部屋の真ん中にある机の中からゴソゴソと重量感のある石板を取り出した。
鑑定とか交換はこの個室でやるのか…人に見られたり聞かれたりしないし結構いいシステムじゃね?
「では、唾液をこちらに垂らしてもらって…」
「ちょっ!待ってこださいよ!絵面!絵面最悪ですよ!?」
「はは、ご冗談ですよ〜ご冗談…やってくれれば幸いなんですけどね…」
んん?今なんか聞いちゃいけない事を聞いたような…ってかこの人今すげぇやべぇ顔してる。やっぱり知らない大人についていっちゃいけないって本当だったんだなぁ。
「ではこちらに足を置いてください」
うーん独特。手とか顔とかで計るもんだと思ってたよ。
彼女は石版を少し高い台に置き、そこに俺は片足を置いた。
…なんか下から邪な視線を感じ下…もとい彼女をちらりと覗き込むと
じー…だらー…
ヨダレを少し垂らしてスカートの隙間を覗き込んでいる…うわぁきもちわりぃ。
異世界の受付の方は清楚だって信じていたのに!
ピピピ,ピッコリピッコリコリコリコリーン
え?今のが終わりの合図?終わりの合図聞きづらいな〜。なんで?
「はっ!終わりましたね。こちらが鑑定結果となります」
彼女は俺に石板の下から敷いていたであろう紙を取り出した。
鑑定…
俺にどんな力があるのかな
まさか!転生特典のチート能力とかあるかも!
わくわく
俺はそっと鑑定結果が映し出された紙を受け取る
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ランドウ・クタンセア・リュウカ 5歳
Level1
HP:100/100 MP:10/10 SP:11/11–12/12
スキル枠:[天命LV8][恐怖耐性LV3][隠密LV2]
称号:[天照*束縛*][思金=巫女賢人*束縛*][克者]
[鑑定不能:項目不明]
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ステータスで何か特別なものは…ないか。SPの読み方が分からんぐらいだな。称号については…てか称号ってなんだよ…まぁいいとして、なにやらカッコいい名前が幾つかある。やっぱり転生特典とかあんだね。
「ちなみにですね、我がギルドでは最高の鑑定版LVダナを取り扱っているんですよ。さらに普段は手を鑑定するだけでいいんですけど、足で鑑定することによってより精度を高め,[鑑定できませんでした]を無くすことができるんですよ!ふふん。あっ、つい力が入ってしまいましたね」
「え?鑑定不能と書いてるんですけど…」
「ふふん、そうでsy…え?そ、そんなぁ〜我がギルドの名物にギズがついちゃう〜」
汗をダラダラと垂らしながら目をぐるぐるとさせている。
よほどこれを売りにしてたんだろうな
「そ、そうだ!もうギザ度計りましょう!」
否定する理由がなかったのでそれに応じた
「…どうでしょう。鑑定できませんの文字はありますでしょうか…」
「あります」
「ひえ〜!えっと、あっと、そ、そうだ!もう一度計りましょう!」
「…どうでしょう。鑑定できませんの文字はありますでしょうか…」
「…あります」
「ひえ〜!…………以下略