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ビセア  作者: クルッポー
魔気統合編
46/48

44話 ~己が剣を求めて~

「そういやお前、最近やけに大人しいな」


教室に入ると既に教卓に立っていた教師が俺に向かって話しかける


「それは良かったです」


「まだ2週間だしなんとも言えないが…ひょっとしてマジで俺の勘違いの線あんのか?」


さぁ?と手で軽くジェスチャーをして自席に着く


「おはよ〜」


「お、おはよっす……」


あれから2週間

隣との関係値に変化なし


いや、若干声が小さくならなくなったかな?

まだまだ時間がかかりそうだ


「今日の放課後また訓練場で集会があるらしいよ」

「また?面倒だね」


へぇ。そうなんだ


ちなみにこの会話の中に俺はいない


盗み聞きという奴だ。仲良くなれなかったし


この2週間でこの教室にはこの教室特有の空気感が出始めた

最初は前年などの友人がいなく緊張感漂う空気感だったものの、今となっては隣の人間と仲睦まじく話す者、グループでバカ笑いなどを交えながら話す者、十人十色という言葉がまさに当てはまる通り、この空間には馴染めていない人間が2人いる


俺と隣の子、マオスだ


いやね?俺は最初盗み聞きをしていた少女たちに話しかけたんだ


妙な壁を感じたものの、言葉にはちゃんと返答してくれたし、反応悪かったけど…


とにかく今年は友達100人だてじゃないと思ったんだ。だてだったんだ


何故か俺はその子らに話しかけるなオーラを感じる


俺…なんかしたかなぁ…何もしてないはずなんだけどなぁ…


それに!隣の子!隣の子も大概おかしい!

見た目はとても愛想が良さそうで、少しは話しかけられてもおかしくはない筈なのにぜっんぜん話しかけられない!

しかも遅刻常習犯!

なのに教室中誰も無反応!


話しかけるなオーラを感じないのが唯一彼女だけなので俺はなんとか必死に関係値を高めようと躍起になっているのだ


しかし進展なし…………


ま、まぁ今年も長いですし?気長に行く…行きます…


とりあえず訓練場に行った


「よしよし。全員集まったかね!?では始めよう!!んん?何が始まるかだって?」


カカカ教師は目を閉じる


クラスごとに固まって集まった生徒たちは、初日と同じようにカカカ教師の熱弁に付き合わされることとなった

そして整列という文化は存在しないのかもしれない


ルゥとシイナは…


クラスの中心となっている…

少しぎこちなさそうだ


カカカ教師が話し始めるとルゥたちのいるクラスがまず先に静かになった


…教育されているねぇ


「そう!超!実技演習!~己が剣を求めて~…だ!」


目をカッと見開いたと思ったら高らかに叫ぶ


「お前らには今から1ヶ月剣探しの旅に出て来てもらう!魔剣や聖剣を見繕うのはまだ不可能であろう!お前らは剣を入手することすら不可能であろう!」


「この1ヶ月の課題はこうだ。人剣を作る人間を探してこい」


いつぞやのスーサイドボーイが挙手をする


「それで…評価方法はどうするのでしょうか?」


「よくぞ聞いてくれたっ!何かを得て帰ってくるのは必然。では何を競うか。そう!速さだ!!先着順が第一の評価方法だ!」


「第二の評価方法はなにか…?そう!情報の質っ!!君たちが持ってくる情報の質で評価してやろう。本物を手にする事だけが評価の全てではないがなっ!」


………


さてはあいつサクラか?


名称変更の必要性が出て来たかもしれない


お前はスーサイドボーイからサクラボーイに名称変更だ


「次にだ!旅に出ることもあって1人では危険だ。ではどうするかな?そう!手を取り合おうではないか!お前らには今から1ヶ月の旅路を共にするペアを組んでもらう。2人組だ」


生徒たちが動き始める


俺もシイナとルゥのとこに……いや、あいつらは仲良いし俺とは組まないか。2人組って言ってたし早い者勝ちだもんな。それに…俺弱いし


俺は1人でに悲しくなってしまった


「もう1つ!大事なことを伝えていなかったな。ペアは同じ教室にいる人間のみだ。あまりの実力の乖離は争いを生むものだ」


カカカ教師はチラリと一瞬俺の方を見た


とんでもなくムカつくけど、悲しむ理由が無くなったからな。チャラにしてやんよ


再び動き出した生徒はそれぞれペアを組んでいく

3人組が衝突したり騒ぎ出したりいろいろと始まった


疎外感半端ない


俺は涙目になりながら訓練場の端っこで丸くなっているマオスの元へ近づいていく


「マオマオちゃ〜ん。こんな人気のない私でよければ組まない?」


メソメソしている俺を見ると、不意に右、左、右、後ろ、ときょろきょろし出してやがてこちらを向き自分を指差す


「え、えと、うち…すか?」


新たな喋り方だ

言葉が飛び飛びになってはいるものの語尾がしっかり聞き取れる


なんだか猫と接しているみたいだ

面白い


「うん。マオマオちゃん」


「うち、の、あだ名…っすか…?」


「うん。マオマオちゃん」


ブワッ


驚愕から一転、大粒の涙を大量に流し始めたマオスは周りの目を気にせずにわんわんと泣き始めた


「ぶえぇ〜!!嬉しいっすぅ〜〜!!うち、友達いなくて…ズビビ…あだ名で呼ばれるのが夢で…!!うっうぅ〜」


そんなに嬉しかったのか。俺の選択はドストライクど真ん中を突っ切ったのだろう


にしても……


なぜ誰も彼女に反応を示さないんだ…?


普段いくら影が薄かろうとこんなにも大声で泣けば誰かしら反応するだろう


いったいなぜ?


「ちょっ!一旦落ち着きなよーー」


「リュウカちゃんどうしたの?…ってまさか…泣かせたの…?」


後ろから現れたシイナとルゥはこの惨状を俺がやったと思ったらしい


実際そうだけれども


「いやさ、あだ名で呼んだらこの子嬉しくなって泣いちゃったらしい…」


シイナの説教を恐れた俺は何とか誤解を招こうとする


シイナの説教は怖いんだ。おっそろしいったらありゃしない


「嘘じゃないの?」


「ほんとほんと!それにーー」


俺の言葉に被せるようによく知らん奴が会話に参戦して来た


「どうされたんですか?シイナ様。ぜひ私と四人組になって一緒に冒険しましょう」


様!?


まぁいいや。そう呼ぶのが好きなのかもしれない


よくわからん少女はシイナを誘ったが、それがおかしかったのかシイナの顔は邪険になる


四人組…?


ほう…


「今そんな話をしている暇ではないでしょう!?見てわからないの!?泣いている子がいるのよ!?」


確かにそうだ。TPOがなってないな


「…?…なんの話を…?」


いやいや泣き声も聞こえるでしょうが


「何を言ってるの!?ほら!そこにいるじゃない!」


「え…?…あ…ほんとだ…気が付かなかった…これは失礼しました」


おいおい冗談きついぞ?


しかし、少女の反応からして演技ではなさそうだ


どうゆうことだ?…いや、そんなことを考えている場合ではないな


「マオマオちゃん。とりあえず落ち着いて…ほら、ゆっくり深呼吸してね?ほぉら吸って…」


なんとか深呼吸などさせて落ち着かせてやる


「落ち着いた…?」


「はいっす…」


「少し聞いてもいい?」


シイナがずばり質問する


「みんなあなたのこと無視していたけれど。どうして?」


やはり集団的ないじめを想起するのが普通だろう


この状況は確実に普通じゃない


「うちぃ……物心ついた頃から影が薄くぇ……」


「でもっ…!2人ともうちのことを見てくれて…!こんなに嬉しいことはないっす…!」


いつもの喋り方をやめ、今回のみかもしれないがはっきりと喋ってくれる


「私もいるよ」


ぬるっと俺の隣にルゥが姿を現す


今完全に気配消してたな。やるやん


「…リュウカちゃんはマオスちゃんと組むの?」


うちの名前覚えていてくれてたんすか!?とでも言わんばかりにシイナを見上げたが、泣き疲れたのか何も言葉を発さずに壁にコテっと背もたれをついた


「うん…そうだよ。2人ももう組んだんでしょ?」


「うん…それでね?提案があるの。私たちで四人組を作らない?」


「四人組?嬉しいけど…さっきの子とかはいいの?」


シイナはガクッと項垂れる


「うん…これ後で話したほうがいいのかも。一旦帰るね…」


シイナとルゥはげっそりとした姿でここを後にした


「大方決まったかね?では以上だっ!ではお前ら!解散だっ!本日この時刻をもって通常授業は1ヶ月間停止する!」


ようし!冒険だ!


心が躍るなぁ!

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