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ビセア  作者: クルッポー
魔気統合編
45/48

43話 軟越剣と魔導剣

訓練場から解散した生徒たちはそれぞれの教室に戻っていった


4年生の党は校門から1番奥…か


教室に入るとすでに教師がおり、その姿に俺は見覚えがあった


「げ、また問題児が俺のとこに来やがった」


あぁ。去年と同じ教師が担任か。さっきから俺のことを眺めている


はて…?


「もしかして私のことを言ってるんですか?」


「自覚のない奴が1番の問題児なんだよ。今年は大人しくしてろよな」


「私…何かしましたか?言って下されば可能な限り修正します」


目の前の教師は言葉が詰まったかのように押し黙る。まるで呆れてものも言えない人のようだ

そしてはぁと息を吐く


「20、103、28、17。この数字が何かわかるか?」


「はて…?なんの関連性もない数字に思えますが…」


「俺教師やってて長いんだが、一見話せば分かる見た目してる問題児が1番扱いむずいんだよな」


「はぁ。大変ですね」


「さっきの数字。順に無断欠席、遅刻、補修やら説教の回数、クレーム。問題児でもなかなか狙えない数字出してるんだぞお前は。」


「それはなかなかに厄介な人間ですね」


「そんな他人事みたいに…お前のことだぞ」


はて…?俺はそんなに休んだ記憶がない


「あはは。冗談が得意だなぁ。それともあれか。きっと書類が改竄されてるんですよ」


「……もう席付け」


教卓に項垂れている教師を見て教師って大変なんだなぁと共感した


黒板には席順が書かれており、俺は1番奥の教卓から見て1番右端の席につく


ここが俺が1年間座る席…


いいね。授業サボり放題だ


俺の隣、教室の右端から2番目に少女が座ってきた


少女はショートボブの、一見にして元気はつらつそうな見た目をしている


屋上で隠れてた子だ


「はぁ…はぁ…おはよー…はぁ…これから…1年間…よろしくね」


「!?お、おはよっぅ…」


俺が激しく息切れしていることに驚愕したのか肩をビクッと動かす


だって階段キツいんだもん!


深呼吸をして呼吸を落ち着かせる


「名前はなんて言うの?」


「マオスっすぅ……」


最初の一文字目は声を張っているのに語尾に近づくにつれてありえんスピードで声が小さくなっていき、最後の方はもはや何を言っているか分からなかった


…もしかしなくてもコミュニケーションに難ありな子なんだな


いいねいいよいいじゃないか。そうゆう子ほど仲良くなった時に面白いって奴だ


「マオスちゃん。お友達になりましょ?」


マオスは体をビクンッと振るわせにへらぁと笑みを作る


…見た目と表情が釣り合ってない……


「うっ、うちでいいんすぁ……」


「嫌だった?」


「いえいえいえいえいえぃぇぃぇ……ぜんぜんそんなこぉ……」


…うんまぁ…これから長い付き合いになるだろうし…気楽に行くかね……


「お前ら座れーい!!!」


授業が始まった



「ふべぇ。いつもより短いのに長く感じたなぁ」


今日は昼前の解散なため昼食を取る必要はないのだが、俺たちはいつものように屋上に集まった


「リュウカがいなくて寂しい」


ルゥが座っている俺の腰あたりに抱きつくと、続いてシイナも俺の後頭部あたりに抱きつく


「私も悲しいよ〜!来年一緒になれるように頑張ろうね!」


「リュウカがもしダメだとしても私がわざと下がれば…」


「それはダメだよ。わざと下がるなんて私許さないよ」


シイナがルゥをギッと睨む


「ごめん…」


ルゥはしょぼくれて自らの非礼に謝る


「第一無理じゃないかな。ルゥとシイナ気に入られちゃってるし。それにーー」


あぶねっ


危うくデバフについて口走るところだった


………?


なんで言っちゃダメなんだっけ?


「それに?」


シイナが反応する


「ううん!なんでもないよ!私も2人に追いつけるように頑張るね!」


「?うん…、待ってるね!…ちょっと話変えてもいい?」


「なあに?」


何とか誤魔化しは聞いたようだ


最近濁してばっかな気がするが…まぁ気のせいだろう


「お友達は出来た?リュウカちゃん1人だととっても寂しそうにしてたから」


1、2年の頃の話か

1人が寂しくない訳ない

じゃあなんでボッチだったかって?


タイミングが大事だと思うんだ

この2人は初動隣の席だったから仲良くなれたのであって、離れていたら全くの別の話となっていただろう


そういえば去年は2人以外に友達とか作らなかったな……


あれ?もしかして俺人付き合い苦手か?


「出来たよ〜。2人は?」


「出来たよ…それもクラス全員とね…」


何故だか2人ともあまり自分たちの話には乗り気じゃないみたいだ


「凄いじゃん!何が嫌なの?」


「聞いてよ!私たちの担任はあの訓練場で話してた変なおじさんだったの」


「私たち2人をちやほやした」


「そうなの!私全然強くないし、優秀じゃないのにクラスの皆んなが凄いんだねって集まってきて…私そんな友達なんか欲しくない!!」


シイナは涙目になって抱きつく力を強める


グエッ


「私あの人好きじゃない」


ルゥ…!分かるよ…!俺もだ!


しばらく愚痴を言い合う時間が続き、一通り話したため解散することにした


その間俺はずっと抱きつかれ続けていた


「………あ。そうだ。ルゥさ、申し訳ないんだけどちょっと先に帰っててもらってもいいかな?ちょっとだけ知りたいことがあってさ」


「…お風呂までには帰ってきて」


ルゥは若干不満げに呟く


「もちろん!」


俺はまず先に治療室に行くことにした


俺が知りたいこととは、ズバリフユナ先生だ


「ごめんくださーい」


コンコンコンと扉をノックして中に入る


呼吸は近くのベンチで整えてきた


「あら、こんにちは。リュウカちゃん。どこか悪いところでもあるの?」


毎月決まった日にちにフユナ先生は治療室にて働いている


「ないよ。お話ししにきた」


「嬉しいわ。最近働き詰めでちょっと疲れてたの」


「それは辛いね。どのぐらい働いてるの?」


「うーん…200連勤かな」


バケモンかよ


「あぁごめんなさい違ったわ」


まぁ流石に違うよな


「にひゃく…はち。だったわ」


変わらんて


「え…?てことは前会った時既に100連勤…?」


「そうなるわね。もう!ほんっとこの街は人使いが荒いんだから!リュウカちゃんの担任持てないし…」


「ごめん、最後なんて言ったの?」


最後のセリフがあんまりにぼそっと言ったために聞き取れなかった


「何でもないのよ。それで?何か聞きたいことがあって来たんじゃないの?」


フユナ先生は終始ニッコリとしている


「あぁそうだった!今日学校で剣の事について話してて、魔法使いは剣を持って戦うって言ってたんだけどフユナ先生は何か武器持ってるの?」


「その方は剣が好きなのかしら。別に剣だけじゃないわ。杖だったり本だったり、または槍や打撃だったり、色々いるわ。まぁ、剣が1番一般的ではあるのだけれどもね」


「その人は戦士と近接戦闘することになったら瞬殺されちゃうって…」


「それは魔法を常時発動してないからかしらね。聖剣とは相性が悪いのだけれど、魔力で身を固めれば瞬殺はされないわ」


なんか…カカカ教師とフユナ先生には情報的バイアス…話している次元の差異を感じる


この俺の弱さでフユナ先生の言葉を鵜呑みにするのは少々危険かもしれないな


「それで?結局フユナ先生はどんな武器を?」


ピィンッーー


途端に周囲の音が消え去り、何か、見えない何かに現世から隔別された感覚を覚えた


「今から見せるものは誰にも教えちゃダメよ?」


「フユナ先生…何かした?」


「ええ。絶音魔法に認識阻害魔法、隔絶魔法をかけたわ。安心して。リュウカちゃんに危害が加わることはないから」


そう言うと空中に歪みが生じてなにか…異次元にでも繋がっていそうな穴が生じた


フユナ先生はそこに腕を突っ込み、穴から剣を取り出す


これは…まさか…!!


格納魔法!!??


へぇえ!!!やっぱり実在するんだ!!!


うっひょぉぉぉ〜〜っっ!!!


「これが私の剣。軟越剣エミズよ」


カッコいい…てか美しいな


透き通るようなエメラルドグリーンを基調としたフォルムはどんな人だろうと美しいと音を上げる他ないだろう


「はい。おしまい」


再び収納魔法の穴に突っ込んだと思ったらまたもや急に音が入り始め、普段の日常に強制的に戻ってきた


「教えてくれてありがとう!フユナ先生!めっちゃカッコよかった!」


「見せた甲斐があったわね。喜んでくれて何よりよ」


フユナ先生にお礼を言って治療室から去った俺が次に向かった場所はーー


そう、図書館だ


コンコンコンと図書館の中のスタッフルームの扉をノックする


「アズサ姉さんいますか〜?」


しばらくすると、いつもの如くぬるっと扉から髪、顔を覗かせる


「おやおやぁ?今日はお早いですねぇ。オヤツですか?」


「パルツ食べたい!」


パルツとはいわゆるクッキーのことである(以下略


「元気がいいですねぇ」


そうなのだ。ペナルティ解除にようやく体が慣れて来たのか、やっと階段を登っても息が切れなくなったのだ。元気なのだ。


焼きたてのパルツを頬張りながら、当初の用事を思い出した


「ねぇねぇ。アズサ姉さんは剣持ってる?」


「持ってますよ。見ますか?」


即答だ。その提案に乗る以外の選択肢はないだろう


「見る!」


アズサ姉さんが手を横に突き出すとアズサ姉さんの影から闇がうねるように腕に伝い、手から闇が剣の形を模るように伸びていく


やがて完成した闇を一度アズサ姉さんが力を入れて握ると影は暗転して霧散し、艶びやかな漆黒の剣が現れた


「魔導剣ベルゴと言います。本当はもっと簡略化して出せるんですけどねぇ、カッコつけちゃいました」


剣を握っていない方の手で自分の頭をコツンと叩く

彼女なりのお茶目ポーズだ


「めっちゃカッコいいよ!やっぱ漆黒の剣って映えるよなぁ」


「おや。リュウカさんにはそう見えるんですねぇ」


「???どうゆうこと?」


「いえいえ、良き目をしているなと」


よく分からん姉さんの発言を無視して剣の美しさに惚れ惚れしていると、この部屋の扉がバコッ!と乱暴に開けられる


「やっぱりここにいやがったなぁ!?そんな変な格好してねぇでとっとと仕事に戻れ!」


初めて会った時にアズサ姉さんを叱っていた人だ


俺は無言のまま剣を持ったままのアズサ姉さんを呆れの混じった視線で見つめる


「いやぁ…私今サボってたんですよねぇ…あ、いや違いますよ!私はこの子の子守をしていたんですよぉ。この子親と逸れちゃって」


サボりの言い訳に俺を使って来やがった…賄賂があるからなっ!何も言わないでやるよ


はークッキーうま


「んな訳あるかっ!お前いつもこの子といるじゃねぇかっ!ごめんねぇ。ここでゆっくりおやつ食べてていいからさ」


子供には甘いのか、惨状を肴にクッキーを食べている俺の頭を優しく撫でてアズサ姉さんを部屋から引っ張り出していった


「うぅ…助けてくれませんか?リュウカさん」


涙目でこちらを見てくる…そんな顔をされたら俺も流石に…


はークッキーうま


「…あのぉ、せめて立たせてくれませんかね。私にも人間の尊厳というものが…」


首根っこを掴まれて引きずられているアズサ姉さんのうわ言をフルシカトして多分副館長の彼女は去っていった


………


ん?


変な格好…?


まるで剣など見えていなかったかのように…?


この世界に来てから疑問が増えていく一方で一向に減らない


もどかしくもあるが面白いからいいか

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