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ビセア  作者: クルッポー
準備編
40/48

38話 危険なような安全なような

章末の休話的な感じです

「えぇ!?シイナは魔樹海行ったことないの!?」


俺とルゥは目をパチクリと開けて驚く


時は太陽が昇りきった頃だ


「うん。冒険者以外は立ち入り禁止だって言われてるし…」


「真面目だなぁ、ほれぼれするね。シイナだけだよ?……この中では」


急に自信がなくなったため、最後は早口でぼそっと喋る


「じゃあ、シィも行こう」


「行きたいけど…ダメって言われているし」


シイナはとても行きたそうにしている。あと一歩ってところかな


「大丈夫だよ!全部ルゥが守ってくれる!だってルゥは天才魔法使いなんだから!」


「嬉しい。もう一回いって?」


「ルゥは天才魔法使いのところ?」


「そう。もう一回」


「ルゥは天才魔法使いだよ!」


「嬉しい。一生忘れない」


言葉を何度も頭で反芻したのか、胸に当てた手をぎゅっと握り締めて感傷に浸っている


そこまで嬉しい言葉なのか…?


「2人がそこまで言うんなら…ついて行ってもいいよ?」


「素直じゃないんだからぁ」


ツンデレのような返答をしたシイナはエヘヘと笑ってお茶目を濁した



放課後、俺たちは日が落ちる前にと急ぎ足で魔樹海へと向かったおかげでいつも家に着くのと同じぐらいの時間に到着する事ができた


「小一時間潜ったらすぐ出るよ。日も落ちちゃうしね」


「緊張するね!」


「ふっふっふ。それは無用の産物というものよ」


「?、またリュウカちゃんが変な事言ってる」


シイナはくすくすと笑う…


………また?


「ま、まぁ…すぐに分かるさ」


グルルルロォッ


少し潜ると、すぐに狼タイプの魔物が現れた


そう、魔樹海に入るとすぐに魔物が出てくるのだ


最初の2回はなんだったのだろうか?


剥き出しの牙ごと空に浮かび、こちらに向かって一直線に飛びついてくる


すかさずルゥは風魔法の魔法陣を展開する

その極限まで圧縮された風の刃は肉を断ち骨を断ち命を断つ


一呼吸の間に群れを成した魔物は全て、処刑台が如く首を一直線に断ち切られていた

潰えた命はやがて灰と変わる

強い魔物からは魔石が入手出来るのだが、それはここら辺の魔物が大して強くない証明だろう


そういえば、これもまだ言ってなかった気がする

この世界、宙に魔法陣を出すか、杖を用いるか、詠唱をするかはノリで決めるらしい


ノリとは少々誇張が過ぎたが、それらを用いると魔力効率が上がったり発生速度が変わるらしい

そのため、コストがかからないリーズナブルな空中魔法陣が主なのだそうだ


「…思ったより怖くないでしょ?」


「怖いけど…2人がいるし安心かな」


「どう?魔樹海は」


「…なんだか楽しいかも!」


「良かった」


「我々、安心安全な運転を常日頃より心掛けております」


そんな訳で、ルゥがいる時、最早魔物の巣窟は昼下がりのピクニックとして様変わりするのだ


「ここに来るのも今日で今年最後かな」


緊張感を喪失した3人は、普段と変わらない呑気さで会話を弾ませる


「どうして?」


「いよいよ寒くなってきてるし。そろそろ雪が降りそうじゃない?ねぇ、ルゥ」


ルゥもこくりと頷く


「雪が降ってきたら、流石に魔樹海は危険かな。冬に出現する魔物は強いしね」


「そうなんだ…冬の魔物って?」


「雪化粧した普通の魔物だよ。積雪の動きづらさを貫通してくる魔物と戦うのは骨が折れるし…私はなんにもしてないけど…木に積もった雪の塊が特に危険だよ。あれは殺気を立てずに私たちを埋める暗殺のプロなんだよ。もはやあれが1番強い魔物まである」


「怖いね…」


「でしょ?」


それでふと思い出した。ついこの間、学科別交流が執り行われたのだが…

そこには俺の兄とおぼしき人物の姿があったのだ

朧げなのは、ツチノコのような出現率とあまりにも変貌した容姿に確証が得られなかったためだ

人並外れたその容姿と戦戦骨々としたオーラに俺はなんだか恐怖と孤独を感じてしまったのだ

どうしてそうなってしまったのか。近づくことすら叶わないのは何故なのか

何故俺に接触しようとしないのか

最早彼にしか分からない


そして、そこにレイナの影は微塵もなかったのだ


「そういえば、学科別交流の学年シイナのお姉さんがいる学年じゃなかったね」


「そう!それ私驚いてたのよ。リュウカちゃんお姉さまと仲がいいんだね。私全然気づかなかったわ」


「些細な縁だよ。特段仲がいいって訳じゃないし」


「姉妹揃ってなんて、なんだか素敵な縁だね」


「そうかな…そうかもね」


「お姉さまの学年との交流は来年だと思うよ」


「そうなんだ。教えてくれてありがとう」


そっか。来年か


楽しみだな。ルリとも会えるだろうし


時間が来たため、俺たちは魔樹海を後にした


まるでピクニック!!


…いつものことだけどね

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