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ビセア  作者: クルッポー
準備編
35/48

33話 しがらみ 避けるつては

ルゥが学校に来ない


最初は大して問題に思わなかった

しかし、あるシイナの言葉で1つの可能性が見えてしまった 


「ルゥ…もしかしたら親にかんきん?されてるかもしれないよ」


監禁

あり得る話だ

自分の生き人形が変わってしまうのを避けるために教育を施す

ルゥの話を聞くからに想像に難くない


「ルゥの家の場所ってわかる?」


隣に座るシイナに前のめりで問いかける

その姿は側から見るとかなり切羽詰まった形相だっただろう


「うん…家の前までは無理言ってついて行った事があるんだ」


「放課後向かおう、急に嫌な予感がしてきた」


「うん!分かった!」


放課後、急ぎ足でルゥの住む家へと直進する


俺の家の前を通過しようとすると、アズサ姉さんが隣の家から出て来た

平日に何してんだ。働けよ


そういや今日休館日だった


すまん!


「あらぁ?リュウカさん、どうしましたか?」


「ごめん後で!」


「あらあら」


アズサ姉さんを突っぱね、俺とシイナは駆ける


「リュウカちゃん良かったの?」


「大丈夫!本人なんも気にしないから!」


一方アズサ姉さんは俺たちの後ろ姿を見て一言「黄と桃…今日はパンにしましょうかねぇ」

本当に何にも気にしてねぇ!

あとどんな思考回路してんだ!


急いだおかげか、そこまで時間がかからずにルゥの家に到着する


「それで?これからどうするの?」


「それはねぇ〜」


呼吸を整えて大きく息を吸うと足に踏ん張りを入れ、腹に力を入れる


…と違った時に面目が立たないため扉を強めにノックする


「正攻法さ」


「なんにも考えてないじゃんか〜!」


「はい、なんでしょうか…って子供か」


扉が小さく空いたかと思うと、少しだけ出た顔が見え、恐らく母親であろうという事が分かる


「お宅の娘さんについてなんですがーー」


俺が続きを話そうと思うと、話を遮って会話を終わらせに来た


「お話する事はありません」


扉を閉めようとするので足を扉に挟ませる


この街に錠前はないが、ドアを開けさせないようにする器具はある

そいつを作動させないために、次は手を食い込ませる


女性は顔からみるみる血の気が引いて行ってる


「こちとら任意聴取じゃないんですよ。強制捜査です。お宅の娘さんについて、話していただけますか?」


「だから話す事はなにもーー」


次に体を食い込ませ、体を全て扉の内に入れ込む


「では仕方ありませんね。聴取改め、取り調べを行います」


厄介者が引くと思い安心したのも束の間、相手の女性はさらに血の気を引かせる


「こ、これ以上は街内取り締まり部隊に報告をしますよ!」


血の気の引いた奴の吠えなんぞに怯むやつなどいないだろう


「ほう、その場合、家宅調査が行われるとは思いますが…」


死ぬんじゃないかってぐらいに更に血の気を引かせる


「おや、どうやら図星のようですね。では、調べさせて頂きます」


フラフラになった足、プルプルと震えた手から繰り出される束縛の手を避けるのは容易く、女性の裏に回り込んで廊下を駆ける


リビングらしき所から探すとーー


さっそくいた


「…!!…最低だ…」


ルゥは椅子に座らされた状態で、体を縛られ、手を縛られていた

急いで駆け寄ると、俺は縄を解き始めた


ほどなくして合流したシイナも、言葉を無くしつつも縄を解き始めた


「触らないで!!その子は私の可愛い可愛い子供なのよ!?ただ変な教育を受けていたから再教育しているだけ!!解くのをやめなさい!!やめろっ!!」


「…なぁ、あんたさ、嫌な予感がするから否定して欲しくて言うんだけどよ」


足を引きずりながらこちらに向かって来るその女性を見つめる


「この子の名前、言えるよな」


女性は動きをピタリと止め、この場の空気も止まる


「おいおい…冗談だろ…」


俺はルゥを解く手を止め、後頭部をかく

呆れすぎて、つい手が止まってしまった


ルゥを見ると、母親の事を見つめており、その瞳には絶望と涙が溜まっていた


「いやいや!!分かるわよ!!分からないわけないじゃない!!ねぇレイナ?」


ルゥと見つめ合い、ルゥに懇願するように声をかける


「それお姉ちゃんの名前!!!」


ついに決壊し、大粒の涙をポロポロと流しながら震えた声でルゥが叫ぶ


ほつれた縄を緩めると、椅子を振り解き、家を駆け出ていく


「あっ!待って!」


ルゥを追いかけるシイナにつられて、俺も追いかける、その前に一言だけ、表情を固まらせた女性に言葉を吐き捨てる


他人(ひと)の人生奪うんじゃねぇよクソダセェ」


俺はそいつの顔を見向きもせず、外へと駆け出した


あんなの母親じゃない。俺は認めない


シイナの背を追って暫く走ると、シイナが急に止まる


息を切らし、肩を動かしながら、人混みの多い左右の道をキョロキョロと探している


「どっち行ったか分かんなくなちゃった!!どうしよう!!」


泣きそうな顔でこちらに振り向いてくる


「私は左に行く!シイナは右行って!」


「分かった!!」


元気な声を取り戻しつつ、シイナは右へと駆け出す


俺も負けじと道を走ると、不意に足を止める


「待てよ…もしかして…」


俺は踵を返して再度走り出した

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