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ビセア  作者: クルッポー
準備編
31/48

29話 豪邸 まるで異世界

「絵面が激しいなぁ…」


ぽりぽりと頬を掻きながら少女が隣の席に腰掛ける


シイナだ


「リュウカちゃんって魔法上手?」


上手かどうか、それを測るには比較対象が必要なんだが…

まず、今までに見たことがある魔法使いは4人

ルゥ、アズサ姉さん、フユナ先生、そして旅芸人だ

なんか風呂場でもあった気がするが…風呂場で魔法なんて使わんしな!


つまり結論は分からん


「んー…勉強中かなぁ」


「こいつ雑魚」


俺の水筒を木っ端微塵にした野郎がしゃしゃり出てきた


「うるせぇギフテットモンスター。略してギフモン」


「意味分からん」


氷を熱魔法で温めながらルゥを威嚇する

魔法の氷なので時間が経てば無くなるのだが…

俺は一刻も早くそれを助けたいんだ!


「リュウカちゃんはお友達を作るのが上手なんだね!」


2年孤独だった俺に言うかねそれ。てか


「これ見てそれは強いな」


「あれ?違った?」


「そうでありたいと願うよ…」


ルゥが何かを言いかけようとしたところで朝のホームルームが始まった



「えぇ〜!?リュウカちゃんのお家に行ったの〜!!??」


シイナが悲しく絶叫する


「なし崩し的に仕方なく…」


ルゥがバツの悪そうな顔で呟く


「いや憎まれ口しか叩けんのかお前」


その頭に軽いチョップを…

したら殺されそうなので左手を振り下ろす寸前の微妙なところで手を止める


「?…なーんか仲良さそうでいいなぁ」


足を宙にぷらぷらと前後させながら黒板の方を向いて遠くを見るような仕草を取るシイナにいや、おいおい、と俺は突っ込む


「別に家に行くぐらい普通じゃない?」


「私たちないよ?お互いのお家行ったこと」


ん〜?この世界は他人の家に上がる文化がないのか?それとも防犯意識が高いのか?いや、鍵とかないしそれは無いか


「行く必要が無かっただけ」


「でも私のお家でおままごととかするのがちょっと夢だったり」


こちらに勢いよく振り向いたシイナは目を輝かせて


「ねぇ!今日私のお家来ない?」


そう提案をする


「いいね。行こうかな」


「…行く」


俺とルゥはそれに応じ、放課後にシイナ宅へと向かうことにした


そして放課後ーーー


俺たちはいつもの道…とは逆の方向に歩みを始める

その方向は坂や階段が多く、丘を登っているようだ

周りの建物は段々と大きく、そして豪華になり、しまいには家に門まで付いていた

ここはいわゆる高級街であった


まさか門がある家があるなんてな

自宅付近の家に鍵が無いのはただ単純に防犯意識が低いのか、防犯する必要がないのか…しかし、現状に不満はないし、皆同じような意識なんだとは思う


「しっかし家でかいな」


遠巻きで覗いたことはあったが、遠近法のためか何も考えてなかったのか、たいして大きいとは感じていなかったが為にかなり衝撃を受けている


「シィ金持ちだったのか…」


「もしかして…俺らの貧困さを嘲笑うために…!?」


ルゥにこそこそと悪ノリを誘うと、悪ノリに気付いたようで、便乗してきた


「ありえる…貧乏人は門を潜れないのよ!…とか」


「悪役令嬢ヨロシクな悪女なのかも…」


「私はそんなこと言わないよぉ〜!!もうっ!」


会話を聞きつけたシイナがぷりぷりと怒りを露わにする


「あはは、ごめんごめん冗談だよ」


「シィは天使」


「うんうん聖人君子だよきっと」


会って2回目だけど

正直よく知らんけど


「シィはかわいい」


「天才子役として名を馳せるねこりゃ」


「やめてよぉ〜!恥ずかしいじゃない!」


赤面を悟られぬよう顔を伏せ手を前にバタバタと振りながらシイナは、でも満更でもないような顔をしている


「もうっ!…あっ!着いたからこのお話はお終い!」


豪華な家と豪華な門が立ち並ぶその一角に、シイナの家があった

俺とは住む世界がまるで違うようで、門には門番が付いており、入る前ってのにいよいよ肩身が狭く感じてきた


「シイナ様。お帰りなさいませ。其方の御方々は?」


「ただいま!えへへ〜私のお友達!」


「新学年2日目にしてもうお友達を作ってしまうとは…!このトート、感激の限りで御座います…!」


「でしょでしょ〜!」


「お友達でしたら、是非是非お通りください」


無表情のまるでの門番を体現した男は、次の瞬間には破顔し、しまいには感極まって涙を流しながら門を押し開けた


感情の起伏を気にも停めないシイナの姿から、これが彼の普通なのだろう

いや、まぁ…こんな人間ちょくちょくいるよな。多分

スルーしよ


「庭だけで私ん家覆えるわ」


「同意」


俺の言葉に続いてルゥも首肯する


門を抜け、少しした所にある扉を確認した瞬間、僅かに扉が動いた


「?ねぇ、誰か家から出てーー」


次の瞬間には扉から飛び出てきた何者かが、俺とルゥ目掛けて飛びついてきた

その速さに為すすべなく床と激突し、更には思いっきり頭を打ち、余りの痛さに逆に何も行動を移すことが叶わなかった

ルゥは風魔法を使ったのか、たいしてダメージを受けなかったようで、飛びつきてきた何者かに顔を為すがままにされている


ルゥの顔はベッタリと濡れていた


「きゃーーーー!!ごめんなさい!ごめんなさい!この子を止めれなくって…」


俺らを急襲した生物は犬で…狼かな?

とにかく、俺らの身長を優に越しているその巨体で俺らに体当たりをしてきたようだった


「平気。こっちも」


ルゥはこちらをチラリと見て


「平気」


と返す


…いや平気、じゃないが?

くそ痛ぇし、こちとら痛すぎて声も出ないんだよ


「2人とも大丈夫!?」


呆気に取られていたシイナは、やっと気を取り直したのか俺とルゥの元に駆け寄る


「ちょっとお母さん!」


「ぬかったわ。まさかこんなに興奮していたなんて…」


痛みが軽減してきてやっと言葉を発せられるようになったので、狼をルゥに押し付けて立ち上がる


「いえいえ、気にしないでください。ほんとに」


立ち上がり、頭を片手で抱えながら、まだ若干の脳震盪が残っていたのか、ふらりとシイナに少しばかり身を傾ける


「ほんとにごめんなさい!なんと贖罪すればいいのかしら…」


「じゃあ…紅茶とパルツをお願いしようかな」


「パルツ…!私も欲しい…」


パルツとはクッキーのことである


「それで許されるなんて私はなんて幸運なの〜!!」


なんかシイナのお母さん宗教臭ぇな

宗教には嫌な思い出しかないな

チャイム鳴り止まんし開けたら隙間から足挟んで扉こじ開けるし後ろの姉ちゃんが別嬪で釣られそうになるし…

っていかんいかん。邪険な顔をしてるってことは鏡を見なくても分かる


そしてーー


「いらっしゃーい!さっ!上がって上がって!」


おぉお…!!


今に至る

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