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ビセア  作者: クルッポー
初めの1週間
2/48

1話 目覚め

ん…ここは…どこだ…?


気がつけば花畑が広がる真ん中でただ呆然と突っ立っていた。


俺は居酒屋で先輩と…あれ?寝ちゃったのか。

…にしても、なんか花とか空とか妙に鮮明でそして白っぽい。


霧がかった目の前をなんとなく眺めていたらふいにぽぉっと空中に紫色の光が湧いて出てきた。その光の塊は大きさを増していってある一点でぴたっと変わらなくなった。


「…お目覚めになられましたか。桐生海樹様。」


何かの声が脳内に直接響く。なんか気持ち悪いな。


「…気分を害されてしまったようなので音声発生方法を変換します…」


心を読んだのか…?ま、夢だしいいか。


「桐生様、ここは夢ではございません。あなたは亡くなられました。」


紫の光から透き通るような綺麗な女性の声が聞こえてくる。…ん?死んだ?まさか


呆れたように首を横に振ると…


「…私は西部第27地区を担当する女神です。」


あ。こいつ無視してきやがった。…そーいやこんなに鮮明な夢は見たことがない。となると自称女神の言ってることは本当なのか?


「あなたにはこれより27地区1番星にい…転生して頂きます。転生につきましては我々より能力を付与します。」


「ありがとうございます」


「それとは別に1番星の難易度によりこのカードより選んでいただきます。」


…あれ?体が言うことを聞かない。やっぱり夢か…あ、タロットカード…


体が勝手に2枚のカードを取る


「…ふむ…そのカードですね?ありがとうございます。」


結局カードの内容を知ることはできずにいた。


「それでは!2人の男性が転生します!果たして彼らはどう生きていくのか?私女神がお送りいたします!」


うわっ急に叫んだ…というかこれはどうゆう状況だ?なにか…かんが…え…


…っ!!意識が…!とんで…くっ!






うっ…ここは…どこだ?…そういえば俺事故って…体はどうなってるんだ?


うおっ髪!邪魔!


ばっと自分の手を、そして身体を見た。


小っちゃ、え?思わず後頭部を掻くと自分のボサボサでガッチガチの髪の毛でなくふわふわでサラサラな何かに触れた。焦って首うらにも広がるそれを眼前に手繰り寄せる。


…金…髪…?


…え?


そっそうだ!カツラだ!カツラだよ!なんだよ焦らせやがって…

そう思い髪をぐいっぐいっと引っ張ったが


いてっ


自分の毛根が悲鳴を上げるばかりであった。


痛みに顔をあげると…どこ?ここ。式場?何かを祝っている雰囲気だけは感じ取れた。なんだろうと思って周りを見渡していると看板が目に映った。


『誕生日会』


やはり俺の読みは正かったようだが一体誰の祝いなのか、それだけが謎に包まれている…それだけじゃないけど。


「リュウカ、誕生日おめでとう」


「疲れているのは分かるのだけどほら、主役なのだから立ちなさい。…リュウカ、あなたに言ってるのよ。ほーら、お兄ちゃんも。」


「「うわっ!えっ!?」」


あぁ、祝われてるの俺ね。あと、この感じ多分隣の少年は兄と見て間違いはないだろう。


「ッ…何寝ぼけたこと言ってるの!ほらはやく!」


「「え、あ…はい。」」


びっくりして思わず立ってしまった。


その後目の前のあまりにも奇妙な光景に目を奪われてしまった。

眼前には色とりどりのどれをとっても美味しそうな料理なんか存在せずに串刺し魚内臓入りが乱雑に置いてあり、ものは試しと食べてみると…


これは…ひどい…


見た目だけでなく味も最悪。というかしょっぱいと苦いのダブルパンチでKO。


実は料理には肉もあり、こっちはブロックに切り出された肉がてきと〜うに置いてある。魚のお口直しに食べてみると…味はそこまで良くないが、肉がありえないほど硬い。


…が、ワイルドっぽくて正直悪くはない。


食事への関心が薄れた頃、ようやく自分の置かれている状況に疑問が湧いてきた。


…女…になったのか…股間がなんともいえない感覚に陥っている。


…というか……なにこれ。どーゆう状況だ?

居酒屋の、あのときの車と衝突した痛みの鮮明さは夢ではないことだけは分かる。

となると…転生とか?はは…まさかな…はは…あー…


これマジなやつ?マジなやつじゃないこれ?え?マジか!え!?うっそマジで!?せめて来週のアニメの最終回見てからが良かったわ!でもいいや!めっちゃ興奮してきたんだけど…!


「なぁ、ちょっといいかい?」


あまりにいきなり話しかけてきたもんで肩をぴくっと踊らせてしまう。


「ど…どうかしましたか?」


「今から何するか…分かる?」


「…さぁ?」


「だよねぇ〜、はぁ」


いきなりなんだこいつ


あ、てかこいつ兄弟じゃね?声からしてそうだわ。


なんて思いながら目の前の兄弟をただぼんやりと眺めていると、手を顎に触れさせて模索模索…と呟いている。


はは、まるで先輩の仕草そっくりだ…


…先輩説濃厚?転生したのは俺だけだとは限らないじゃないか。

だ、が、だ。確かめるすべはないに等しい。本人に直接聞くなんてもし違ったらどうするんだ。


…どうもなんねーか。変なやつって思われるだけだしな。うし、聞こ。


「先輩今日飲み行かないすか?」


俺は兄弟にしか聞き取れない声量で話しかけた。

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