15話 魔力の感覚
どれぐらい時間が過ぎただろうか、耳をくすぐる草に現実へと呼び起こされる。
気付けば仰向けに倒れていた。
…待てよ?一度整理しよう。
まず俺は鑑定を何度か行なった。その途中で頭痛は治っていたはずだ。つまり頭痛で寝てたわけじゃない。
ん?あぁそう言えばMP切れで倒れてたんだっけ…
え?MPそんなに使うの?鑑定って…
「ん…気絶してた…で合ってるよな?桐生」
先輩が目を覚ましたようだ。
状況理解が相も変わらず早いなぁ、尊敬するぜ。
「はい、俺も寝てたんすけど…」
「僕みたいに頭痛か?やっぱりきつかったか。」
「あいえ、それはないです」
「そう…」
目が覚めたとはいえまだ起き上がることが難しいらしい先輩は首だけをこちらに向けて話をしている。
しゅんとしてしまった…元々は薦めた俺の所為でもあるため少しきまりが悪くなってしまったな。
寝起きでまだ脳が覚醒しきれておらずボーッと空を見つめていたところ、木の枝あたりの空気がねじ曲がったような、そんな違和感を見つけた。
寝起きだし気のせいと思いを何となく左を向くと…
違和感がついてきた。やはり気のせいであった。自分の視界についてくるということは涙でぼやけているとかそんなものだろう。
ほら、目を擦ると消えた。ちょっと達成感でドヤった。ほんと、なんでだろ。
「…なぁ桐生。続きやるか?どっちにする。」
先輩はちょうど体を動かせるようになったのか体を起こしながら俺に聞き、本をペラ…ペラ…とめくり始める。
「多分寝たしいけると思います。やりましょう。」
「うん。やろう。」
先輩は本を捲る手を止めて音読を再び始めた。
「初回の鑑定時には総量の10分の1の魔力を必要とし、レベル1での他人の鑑定も同じ量を必要とします。その後はレベルや調べる対象によって異なりますが、レベルが2の状態なら魔力は1しか消費されませんので赤子でも魔力切れになることはないでしょう。」
…普通の人>赤ちゃん>俺…ね
いやワーストどころじゃねぇ〜
最底辺中の最底辺じゃん俺…あれ?体力もない魔力もない。何が残った?
……いや!まだスキルがある!スキルの能力分からないけど…
一応蘇るから!!
「お、今から書くことは魔力の総量を上げるうえで大切なことだって。」
なに!魔力の総量は増えるのか!低い魔力がアドバンテージになるわけではないのか…
よかったよかった…
何も良くないことは置いておいて、その方法にしっかり耳を傾ける。
「これにはポーズも影響するらしい。見ててね、まず足を組み、手の甲を膝に乗せる…瞑想だねこれ。なお、足をたたんで手を使い足の間で輪っかを作る…正座版の瞑想だねこれ。」
先輩のポーズにならい…女性の恥じらいというものを思い出して先輩とは違う正座をして瞑想の形をとった。
「次に魔力の出所を理解する。魔力が流れていることを意識するとよい…ふむ」
魔力の循環…ね…正直何も感じられない。適正ないのかな?
もしかして俺。それは嫌だ〜!
「あ。ごめん、ここ重要じゃないらしい。魔力の動力源は心臓部分で、血液中に魔力があると思えばいいのか…魔力の出所を自力で見つけるのは魔法の才能に溢れていても難しいから冗談のつもりで描いた…は?」
先輩の頭に青筋がピキッと現れた。
これは先輩が怒る寸前に出すサインだ。
この体の親が酷いことを話していた時もこれが出ていた。
「ま…まぁいい、魔力が流れているのを感じれたら、それが速く循環するように、出所から魔力をより大量に押し出すことを意識すると良い。」
しばらく、2人とも黙々とやり方を模索していた。
まず、魔力が体を流れるイメージは割とすぐに掴めた。
魔力切れを繰り返していたため、体に流れる魔力が消える感覚を何度も体験して感覚が身についていたのだろう。
しかし、真の問題はここからで、それを意識的に増やすというのが全く持ってイメージできない。それこそ血流を操作しろと言っているようなものだ。
「…もしかしたら、これが参考になるかも…?」
こっちに来てという合図の元、先輩の元に寄ると本の一部を見せて来た。
いや!だから俺読めないって!
俺の心情とは他所に本には人体図が載っており
「魔力は胸、脳、右手、右足、左足、左手、胸の向きに流れている」
流れる向きは決まっているらしい。
それを意識して再びやってみることにした。
さっきまではなんとなく「胸あたりからじわぁと出てるような?」ぐらいの感覚だったが、放出ではなく循環のようにぐるぐると巡っていること意識すると…なんだか行けそうに思えて来たぞ!
んで、魔力を消費する時は放出だ。
鑑定を行なった時は頭から、脳から魔力が抜け、
魔法陣を作った時は手から魔力が抜けてった感覚が微かにある。
……赤子以下の魔力で出る悪魔の族長…




