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ビセア  作者: クルッポー
初めの1週間
14/48

13話 怠惰な館長

学校から去ってしばらくした頃、俺たちは行先を失いただただ散歩をしている時間となった。


「暇だね。」


「暇…ですね」


「「……」」


「帰ります?」


「帰ってもやることないよね。」


「そう…っすね」


なんか先輩と共有しときたい事とか他にあるかな…あっ!


「先輩…この世界魔法がつかえるっぽくないですか?」


「うんまぁ、MPもあるわけだしね。」


「図書館にもしかしたらそういう系の本があるかも知れないので行きません?」


先輩の目がきらりと光る


「!図書館があるのかい!?ぜひ行きたいものだね。」


そういえばそうだった。先輩は大の読書家ということを忘れていたよ。


「よし!決まりですね。ついてきてください」


俺たちは急ぎ足で図書館へと向かった。…先輩に急かされて半強制的に。


だが、今後悔をしている。なぜなら俺は全く文字が読めない!自分のあまりの計画の無さにむしろ惚れ惚れするね。

さて、まだ先輩は字が読めないということを知らないようだし、もう図書館に着いてしまったけど伝え——


今、俺の目の前で不思議なことが起こった。何が起きたか分からねぇと思うから、今起こっていることをありのまま話すぜ。なんと先輩はひょいと手に取った本を意味が分かっているかのように読んでいるのだ。

意味がわからねーぜ。意味が分からない文字なのになんで読めるんだ…


「先輩、文字読めるんですね。」


「…え!…あっうん…そうだ…よ」


「どこで知ったんすか」


知りたいがあまり言葉を若干被せてしまった。しかも変な反応だし…


「…うーんと、あの、…その…そうそう転生特典だよ。」


「なるほど!そうだったんですね!」


そうだったのか。くそ〜めっちゃ実用的じゃんいいな〜羨ましいぜ


「ところでさ、この本魔法の使用方法が乗ってるみたいだ。」


「まじっすか!早速やりましょう!」


その一言で全ての考え事がぶっ飛んだ。あるのはただ、魔法が使いたい。それだけだ。


どうやらこの本は、というかここらの本は全てレンタル料を支払わなければならないらしい。

早速、俺たちは受付らしきところで座っている人に話しかけてみることにした。


「おやおやぁ?お嬢さん方本を借りにきたんですねぇ。ギザ冊ギザラカマネよ。うふふ」


お、今ちょっとわかったことがあるぞ?恐らくギザというものは1ということを表してるのだな?あと円じゃなくてカマネという通貨だな。たまに耳にしてたけど多分そうだな。


受付のお姉さんはゆったりとした服を着ていて、ゆっくりと話すのが特徴の人だ。髪は長く黒に近い紫色をしており、大人の艶めかさがある。…胸も生活の邪魔にならなそうなぐらいにはあり、そのちょうど良いサイズ感もまた色気を漂わす一員として担ってんのかね。


「おやぁ?あなたたち魔法がつかえるんですねぇ」


「いえ、これから試そうかと思いましてね。」


先輩は軽く俯いてから頭の後ろをポリポリと少しかき、ポケットからコインを1つ取り出して机にポンと置いた。

今じゃないと思うが、先輩は金髪のサラサラな髪を目が完全に隠れるぐらいにまで伸びている。本人は邪魔と言っており、髪をセンター分けしていた。先輩の転生先は容姿端麗な少年のようだ。羨まs…おっと今じゃないね、話を戻そう。


「あらぁ。そうなんですね。頑張ってくださいね。応援してますよぉ。その本は今からギ月先までに返してくれたら大丈夫ですよぉ。こちらお釣りですね。私は少し眠いので寝ますねぇ。おやすみぃ。……あら?間違えた。…おやすみぃ〜」


彼女は腕を枕にして睡眠を始めた。…有り難うございましたって言いたかったのかな?

マイペースな人だなぁと思いその場を去ろうとしたら、お姉さんの後ろからズカズカと足音が近づいてきた。

マイペースな彼女のすぐそばに止まるとゴチンッ!とゲンコツを喰らわせた。

ゲンコツを喰らわせた女性はマイペースなお姉さんよりひと回り、いやふた回りぐらい小柄な人で、こちらは淡い銀色の髪を肩まで下ろしていた。


「いったぁ〜!もーぅ何するんで…ウゲ」


「こらっアズサお前ウゲとはなんだ。ウゲとは。仕事中に寝るな!」


「ふへぇ〜だって眠いんですもん!」


「だってじゃない!」


またゲンコツが彼女に降り注ぐ。彼女の頭にぶつかって終わると思ったらそのまま拳を回転させ始めた。


「いひゃい!ってイタタタ!ぐりぐりしないでぐりぐりぃ!」


「もうこいつはほんとうに〜。反省しないんだよなぁ…すみませんね、後できっちり教育しときますので。有り難うございました。また来てくださいね。」


「…あのぅ…教育って…いったい…」


俺たちが去っていく間にも言い争い(一方的な説教)は続いた。


「ったく、館長なのに怠けんなよ!」


「でもぉ〜」


「でもじゃない。」


またゴチンッ!と鉄拳が落ちる音がした。

平和だなぁ…って館長!?あの人が!?すげぇ人選ミスじゃないかこれ。


ところでなんだが、先輩はこの図書館から出るまで終始ダンマリであった。

こころなしか顔色も悪いような…

先輩の様子が変わったのは銀髪の少女が来てからだ。


なにかトラウマでもあったのかな。

このことは…俺も大人だ、そっとしておこう。

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